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190話 - 忠犬
しおりを挟む「キャアアアアア!」
「魔物が出たぞおおおおお」
あ、やっべ!
ここ皆が宴会してるど真ん中じゃん!
”拡声”ッ!
『みんな落ち着いて!この子が言ってた子!みんなをこれから守ってくれる子だから!!ここに魔物が来たらこの子が追い払ってくれるから!エデンの門番だからね!落ち着いて!』
あの、集落の門番に吠えたワンちゃんがこの子ね……
……いや、最初は炎狼でやろうと思ったんだよ?
で、クラムと作戦前に炎狼捕まえに行こうと思ったんだけどさ……
・
・
・
『おっきいほうがいいよ~?びっくりするじゃん~!』
『おっきいってなにを捕まえるの?』
『まんなかにいたやつ~!』
『え!?ヘルハウンド捕まえんの!?まぁ一理あるか……。じゃあやるだけやってみるか?』
「我は……空におってええかのぉ……」(カタカタカタ)
・・・
『こいつめっちゃ闘争心凄いじゃん……』
GRRRRRRR……
『ずっとむかってくるねぇ~?』
もうボコボコなのに暴れるの絶対やめない。
というか僕等攻撃するつもりないのに襲い掛かってくるんだ……
途中からこいつもう無理だわって思ったんだよ。
向いてないよこの子の性格は……
死んでも闘争心折れないタイプの魔物だな……
気高き魔物なのかなぁ?
もう僕ら引こうと思ってるのにさ?
負けてるのに喰いかかってくるんだよ。
僕らが行こうとする度双頭で火炎放射してくるんだよね。
僕魔物だからか気持ちがなんとなく伝わってくるんだよね。
大体襲い掛かられるときって何も考えずこっちを殺そうとしてるか、喰ってやるって感じなの。
だから遠慮なく倒すんだけど、こいつどっちかというと闘争心で僕等と戦ってるんだよなぁ……
ステータス1万超えてるし結構知能高いんだろうなぁ……
AOOOOOOOOOOOOO!!
ゴアッ
『もう!しつこいッ!!全力……”威圧”』(カッ……)
キャインッ!(カタカタカタカタ)
ク~ン……
(感服です。ご主人に忠誠を誓います。私をお連れ下さい)
『は!?ご主人!?』
『いまこえきこえたよ~?』
え、なんだこれ?
意思伝達の方か??
”鑑定”!
-----
★意思伝達
会話なく意思の伝達が可能。拒否も可。
加護主、被加護のもの。
特別な契約、忠誠を誓った者。
その他、管理下に置く全ての者からの意思が受信可能になる。
※尚、相手側がこのスキルを所持しない場合受信のみとなる。
-----
なんかめっちゃ進化してる!
意思伝達の詳細なんか久しぶりにみたもん!
管理下全てって何!?僕に伝えたいって思ったら意思受け取れるってこと!?
範囲が広すぎて分からん!
ってか誰も管理してるつもりない!!
・
・
・
ってことがあったんだよね……。
まぁ、炎狼より強いし楽だしねって思ってこの子にお願いしたの。
で、この子忠誠を誓ってるっぽいから家族とは違うみたい。
加護は入らなかった。
そして……
最初この子に付ける名前をフレイムから取ってフラムにしようと思ったんだけどね?
さすがにこれ以上似た名前の子増やすのはやめておこうとおもってさ。
じゃあもう忠犬ってハチ公しかないじゃんね……。
ということで今この子がここにいるというわけです。
『ごめんよハチ公……寝ちゃってた』
『ハチ~よしよし~』
「この子もかわいいですね~うふふ♪」
キャンキャン!
(私も食事をいただいてもよろしいでしょうか?)
『あ、そうだそうだ!ほい!これオークキングのお肉!ありがとう、計画助かったよ』
ワンッ!
(いつでもお任せください。では陰で戴いて参ります)
『あ、大丈夫!って感じでこの子絶対にここの人傷つけないからみんな仲良くして?エデンの番人してくれる子だから!無理にとは言わないから慣れたら撫でに行ってあげてよ?』
「そうなのか……怯えて悪い事したな」
「ハチちゃん?こっちおいで?」
あ、悪意ないってわかれば意外と平気なんだ?
「ハイエルフは元々魔物と共存してますので♪人を襲わないとわかっている魔物とは友好的ですよ?」
そうだった!魔物と過ごしてるもんね?
はぁ……よかった……これでエデンの番人ができた。
地球ではヘルハウンドって地獄の番人してるんだけどね……
よく見るとかわいいよ?
凄い忠誠心だし。もっと気楽でいいのにねぇ?
この子もちょこちょこ育てよっかな?
いや、でもなぁ……
ヘルハウンド街に連れて行くのは絶対やばいだろ……
この子多分キャシーより強いんじゃないかなぁ。
ここで過ごしてもらうのがメインになりそうかなぁ……
「できたわよ~?ロックスのクリーム仕立て。久しぶりにつくったわ?」
あ!待ってました!
いいや、また考えよっと!!
『へぇ~オレンジ色の魚だ……これサーモンとかかなぁ?うまそ~!!』
『おいし~!これすごいすき~!つくりかたおしえて~?』
「クラムちゃんはお料理好きなのね?いいわよ?」
「……おいしい……毎日食べたい」
クラマミルク系大好きだもんな?
ハイエルフの郷土料理は全体的に北欧っぽい感じの料理が多いかも。
僕も食べたい……お子2人に食べられちゃう……
『エステルさん……僕も食べたいのですけれども……』
「クロムさん、はい、あーん♪」(パクッ)
『………うん、めっちゃおいしい』
「嫌なのですか……?グス」
『嫌なんじゃないの!恥ずかしいの!みんなこっち見てるよ!?』
「では大丈夫です!はい、次どうぞ?お口空けてください?」
『何が大丈夫なの!?』
僕はお祝いの席の間ずっとハイエルフの暖かい目に見守られていた。
そしてずっとエステルに抱かれたまま食事をとっていた。
皆は各々好きなところで話をしていた。
クラマとクラムは料理を作ってくれたお姉さんのところにピッタリ張り付いていた。
エルンさんとおばあちゃんが意外と気が合うようだね?
ハイエルフの集団の中に入り盛り上がっているようだ。
皆各々の楽しい時間を過ごせてていいなぁ。
僕はこういう時間が好きなんだ。
色んなハイエルフの人が僕と1人ずつ話をしにきた。
ハイエルフの今までの辛かった話やこれからへの希望。
僕達への感謝とか色々。
人数が多いので皆気を使って少しずつだったが皆と言葉を交わした。
ハイエルフってすごいなぁ。
行動ひとつとっても本当に皆が皆を尊重してるの。
見ててすごく気持ちいいよ。優しい種族なんだなぁ。
まだ名前は覚えられないけれど少しずつ覚えていきたいと思う。
そして絶対最後には一言。
エステルを末永くよろしくって言われた。
エステルは皆に大切にされて幸せだな。
末永くかぁ……
とりあえず千年生きられるようになんないとなぁ……
「私が最後ですね。エルノアと申します。エステルの母です。この度は私共の家族をエルフの手よりお助けいただきありがとうございます……本当に……御礼の申し上げようもございません……うぅ」
「お母様……グス……」
『あぁ、お母さんなんですか!泣かなくて大丈夫ですよ……って言われてもって感じだな。今後はのんびり好きなように過ごしていただければ幸いですので……。協力は惜しみませんので何かあったら気軽に相談して下さい』
「はい……はい……」
エステルのお母さんはしばらく泣き止まなかったがそのうちぽつりぽつり話だした。
母との時間を作る為に他の皆は早めに切り上げていたのかもしれないな。
エステルが幼少期はとてもやんちゃな子だったこととか。
本に興味を持ちだしてからそればっかりで食事もとらないようになったこと。
エステルは恥ずかしそうだったけど幼少期の話を聞けるのは中々楽しかった。
エステルがデフォ敬語なのってさ?
少しくらい丁寧に行動しなさいってところから始まったらしいよ?
ぽいぽい。要所要所出てるところある。
お淑やかかって言われると時と場合によるってかんじ。
それがエステルのいいところだけどね。
ちなみにお母さんはエステルをもっと落ち着かせた感じかなぁ?
すんごい癒し系というか……
小さいデメテル様って感じかなぁ?
同じ色の金髪でとても長い髪をふわっと編んでるね。
エステルとちょっと違う編み方だけどね?
お淑やかなお母さんに憧れてエステルが真似を始めたらしいよ。
ほわ~ってしてる。もうその一言に尽きる。
見てるだけで心地よく眠れそうだ……。
お母様に年齢なんて聞かない。
ただ、少しエステルよりは大人っぽいかな?
それでも20代中頃くらいにしか見えないなぁ。
ハイエルフの年齢ほんとに謎だ……
「エステルのことを末永くお願いします」
お母さんとは長く話せたなぁ。
1時間以上話してたかな?
これからは沢山話す機会あるしね。
またエステルのこと教えてもらおっと。
『もちろんです!ってかそれってハイエルフの決まりの挨拶なんです?皆から言われましたもん。長寿の種族っぽいですよねぇ~。エステルは家族に大切にされて幸せですねぇ』
『え、いえ……そうではなく……指輪が……。エステルはクロムさんからいただいたのでしょう?』
「あ!お母様!ダメです!しーっ!!」
『指輪?そうですね?僕が作ってあげましたけど……。何がしー、なの?』
「あ、いえ……」
「あらあらエステル、ふふふ。ハイエルフの左手小指の指輪は長い生を末永く共に歩もうという誓いに贈られるものですよ?」
なんだとおおおおおおおおおお!?
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