異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

文字の大きさ
12 / 78

リンへの報酬

しおりを挟む

元々、俺がいた世界ではコロニーというのは植民地という言葉が一般的な意味だったと思う。
場合によってはある特定の人たちの集まりなんかもコロニーといった言葉で表すことがあったはずだ。

そしてダンジョンにおけるコロニーというのも、ほぼ同じような意味合いがあるようで、例えば今回のゴブリンのコロニーというのは簡単に言うとゴブリンの巣のようなものらしく、これをダンジョン内に設置しておくとゴブリンが定期的に召喚されていくらしい。

なので登録というのは支配という意味もふくまれるのだろうか。

ゴブリンは通常の召喚で使用魔力が20、コロニーが2000ということは100回ほどゴブリンが召喚されると、そこからは自動で利益を産み出してくれるというわけなのだが…

もちろん今の段階で、そんな余裕などあるはずもない。
そして先程、ゴブリンと戦ってきたわけで、そんな状態で「ゴブリンを召喚したいか?」と問われると真っ平ゴメンである。

ということでこうなったらもう一つの目的、自分のレベルアップについても検証しようと思い、先の戦いで獲得できた魔石(微)を使用してみると、案の定レベルが1つ上昇しステータスは以下のようになった。

タカヒロ・イダ(26☆1)
種族     人
レベル  3
体力    15
魔力      0
力        14
俊敏      9
器用    11
適性     内政E 戦闘E+ 生産E
スキル 言語(パッシブ)

やっぱり予想通りの結果のようで、今1つ朝方1つの合計で2つ魔石を使用でレベルが1上昇。
特殊条件などが無いようで、とりあえず結果が出てホッとした。
でも…相変わらず☆の意味が全くもって今の段階では不明だ。
そして魔力は上がってくれと期待してみたが、やっぱり上がらなかった。

とはいえ、ほんの少しだが自分が強くなったのは事実である。
今の段階では全然強くない俺だが、ステータスは少しでも有効活用をしたい。

ということで先程、俺とリンはゴブリンと戦闘をしたホムンクルスは一度解除を行いもう一度作成し直した。
これで俺もリンもレベルが3のホムンクルスを使用することが出来るからだ。

「よーし!じゃー、リン。後はさっきの続きだな!」

リンの方もやることは終わったようなので、俺がそういうと彼女は嬉しそうに頷く。
ということで俺たち二人(本体)は小屋の中に入り、ゴブリン狩りを再びスタートすることにした。

★☆★☆

俺とリンのゴブリン狩りは夕方まで続いた。

レベルが一つ上がって数値的にはほんの少しの上昇に感じたステータスだが、戦いを行ってみるとこれがなかなかな上昇を感じることができる。

レベル2の時はゴブリンにあえなく転ばされた俺だったが、レベル3になってからはシッカリとゴブリンを押さえつけることができた。
押さえつけることができれば後は簡単、リンの魔法という他力本願で後は、この流れを二度三度と時間が許す限り繰り返すだけなのだ。

ということで夕方、そろそろ日も落ちてきて夜はなんとなく慣れてないから止めようとと思ったときに俺は魔石(微)を合計で6つほど手に入れていた。

昼間に1つ手に入れたので今日の収穫は全部で7つ。
後はこれをレベル上昇に使用しようと思ったのだが、なんとなくリンが俺の方を見ている。

「リン?どうした?」
「んーとねー…」

若干、物欲しそうな顔をしている。
一瞬、疑問に思って考えてみた結果…

多分、彼女は何かご褒美的な物を期待しているのだろう。

確かに今日の戦闘はリンがいなければ決定力にかけていたのは誰の目にも明らかだ。
俺のステータスは俺とリン、両方において共有されるので、本当であれば俺が使用して少しでもレベルを上げるのが効率が良いはずなのだが、そうはいっても感情というのはまた別の話だろう。
これで自分で全部独り占めというのは、問題がある気がする。

「ごめんね、リン。今日の分はこれだから半分づつ分けようか。後、これだけだと申し訳ないから、今残っているリンの魔力6は全部自分で使っていいよ」
「うん。あー…あー…でも…そうなくて…」

俺は魔石を3個渡して、そう言ったのだが何だかリンの顔が晴れやかではない。
ご褒美とか、報酬とか、そんな感じのことを期待していたのだと思うが…
違うというのか?

「ん?どうした?」
「このあとなにするの?」
「この後は夕御飯食べて色々やって、早めに休もうかなとか思っているけど」
「リンもいい?」
「あー、もちろん良いよ」

と俺が言った直後、リンの顔が一気に晴れた。
パーっと明るくなり、俺の周りを跳び跳ねるようにしている。

彼女の行動を見て「もしかしたらリンは俺に食べ物をねだりたかったのかもしれない」と思った俺はアイテムボックスから何かないかと探して見たところ、流石20代独身の独り暮らし。

ロクなものがなかった…

本当なら夕食は昼食べたパスタ関係の料理で適当に済ますつもりだったのだが、今の彼女の反応を見ると食べたことのない食べ物の方がいいのだろう思う。
そう思いながら「小さい子にあげるような飴やガムなどあるかな?」と思ったのだが、そんな物は見当たらない。
せいぜいあるとすれば、忙しい朝などにパッと食べれるようなショートブレッドタイプの栄養補助食品がいくつかある。
後は最低限の食材とかがあるけど、疲れている今から感謝の気持ちで料理というのはなんとも…
一応その栄養補助食品もプレーン、メープル、チョコレートと3種類の味があるのだが…
お世辞にも子供が好き好んで食べたいようなお菓子には思えない。
お茶やジュースなどでも良いとは思うのだが、昨日のお茶の反応とか見ると若干違う気がする。

といっても色々考えてもアイテム欄の中身が変わるわけではない。
なので、とりあえずその栄養補助食品、3種類を1つずつ出してリンにあげると彼女は嬉しそうにそれを俺から貰い受ける。

「はいこれー」

俺の行動に気をよくしてくれたようで、彼女は今あげた魔石3つから1つをよこしてきた。

恐らくは彼女なりの感謝の印なのだろう。
そんな気を回してくれなくて良いのになと思ったのだが、とりあえず彼女が嬉しそうにしてくれるので俺は黙って受けとることにした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...