異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

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道中での会話①

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先程まで下着姿だった女性三人が準備を終えて俺のいる部屋まで来た。

フローラは上下とも銀色の鎧に身を包み、銀色の槍を装備していた。
なんだかどっかの王宮の騎士団とか、貴族様という雰囲気が漂っていて非常に似合っている。

ルカはフローラとは対照的に鎧で身を固めるのではなく、どちらかというと移動に重点を置いた出で立ちに見える。
荷物はあまり入っていないようだが、大きめの袋を担いでいる辺り、戦士や騎士というよりはどちらかというと旅の商人という感じだ。

そしてミンネは村娘という感じで山移動に向いている感じはしないが、今の状況でそこまでの贅沢は言えない。
とりあえず着替えが終わったということで、俺たちは拠点の方へ移動を開始した。

★☆★☆

帰りの道中…
ずっと無言というのも何だか気まずい。
なので、一言二言、何気ない言葉を交わしていくとだんだん会話も繋がっていく。

だがそうすると異世界に来て間もない俺には、全く予想のできない内容も増えていくものだ。

「タカヒロ様、ダンジョン探索をしているということは、クランには所属していないとはいえ、どこかの教えを信仰されているんですよね?」

とフローラが訪ねてきたのだが…
探索しているから信仰?
探索はサブダンジョンに入ったことと言うのは分かるのだが、信仰というのは何だろう…
あっちの世界にいた知識だと宗教とかのことだと思うのだが…

「ええ…まぁ…」

探索と信仰の間にどんな繋がりがあるのか全く分からない俺は、曖昧な表情で頷くのが精一杯だ。

「ちなみにどちらの宗派ですか?」
「そういったことはこれからお会いするガイアス様の方に全て任せています。それはそうとして、ミンネちゃんが見当たらないようですが…」

後ろにいたルカが会話に入ってきて、一瞬どうしようか迷ったが…
とりあえず、宗派とか信仰とか宗教系な感じは間違いないようなので、ガイアス様に丸投げすることにした。
ガイアス様の方にはまだ一切知らせていないが、あの方であればどうにかしてくれると思う。

そして話題を変えたいと思った俺は、当たりを見渡したときに、外見的に最年少であろうミンネの姿が見えないのに気づいた。
変だなと注意深く見ていると、少し離れたところでコロンが何やら指を指している。
目で追ってみると離れたところで、誰かが座っているようだ。

「あー…、疲れちゃったか。そうだよね。小さい子にはちょっとペースが早かったか。目的地はもう少しなんですけど、そうだよね。無理をするのもあれなので、一度休憩を入れましょう」

見るからに他のメンバーよりは体力の無さそうなミンネ。
格好も移動向きではないように感じたし、それでなくとも先程まで捕らえられていただけに、肉体的、精神的にも付加がかかっていたハズだ。
そしてその後、山登りなんて、よっぽど慣れていないときついと思う。
幸いこの山にはゴブリンたちを除けば、それほど危険な生物もいないようなので、移動を無理に急ぐ理由もない。
ということで俺たちは一度、休憩を入れることにした。

★☆★☆

休憩の間、フローラは丁寧にとあることを語ってくれた。

この世界には俺のような人間と俺が知っているもしくは想像できる生き物の他に、魔物モンスター亜人デミヒューマンというのがいる。
亜人デミヒューマンというのは人間とは良好な関係を気づくものが多いようなので特に問題はないようだが、魔物モンスターというのは実に厄介な存在とされている。

人に対して害をなすことも多く、意思疏通の方法も限られる。
そして体内に宿している魔石と呼ばれる石は、武器や防具を始めとして、様々な事象の源となるということで、いつしか魔物モンスターを狩る者というのが現れだしたという。

ただそうは言っても魔物モンスターというのは、人間よりも力が強かったり、素早かったり、はたまたスキルと呼ばれる厄介な特殊能力を持っていたりで、なかなか人間の力にはおえなかったりする。

中には魔物モンスターとわたりあえる人間もいるようだが、そんなのは一握りの例外だけ。

そこで最初の頃は、そういったことをモンスターのように人間とは異なる能力を持つエルフや獣人などの亜人デミヒューマンに色々と頼んでいたらしいのだが、次第に魔物モンスターの数も増えていき、自分達だけでの対処を迫られる場面というのも増え、人間たちは対処の方法を探していく。

そんな時にとある聖女様の元に神からのお告げが来たという。
そのお告げによると、神は特定の条件下において人間たちに不思議な力を授けてくれるらしい。

そこでモノは試しと数人が神殿で祈りを授けたところ、神からアビリティというものを授かることが出来たんだとか

(この祈りのことを後に『神頼み』と呼ぶようになったそうです)

そんなことを言いながらフローラは俺に一枚のカードを見せてくれた。

アイテム欄の中に入っているキャッシュカード位の大きさで、素材は詳しくは分からないが何かの金属を思わせるような灰色のカードである。

それには

所属 大地の剣
信仰 スミス教
氏名 フローラ(19 ☆1)

と記載されていた。

この文字が読めるのは、俺のスキルの影響か?

そんなことを思っていると…

「アビリティーオープン」

とフローラは声を出す。

するとすぐにカードの上に何やら情報のようなものが浮かび上がってきた。

フローラ(19 ☆1)
レベル 9
体力     27
聖力       9
力   11
俊敏     45
器用     27

適性 内政E+ 戦闘E- 生産E
スキル 初級回復…接触者限定

なんだか見に覚えのある気がするのは俺だけなのだろうか…
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