異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

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立場

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「そんなら先ずは、なんか代わりの物ねぇべか?」
「代わり?ハッ…」

コロンが女の子達の姿を指差した瞬間に気がついた。
ついさっきまで捕らえられていた彼女たち。
その格好はというと、上も下も下着一枚という格好なのだ。

そして当の本人たちもその事実には今気づいたようで、フローラなんかは顔を一気に赤くして下を向いてしまった。

「あっ…ごめんなさい。何か代わりの物がないか俺、探してきます」

フローラの反応で俺の方も途端に恥ずかしくなった。
とりあず、今の状況だと視線に困ると考えた俺は、なにも考えずにこの部屋から出ていった瞬間…

「あっ…つっ…いた…」
「ギギィ…」

何かとぶつかってしまう。
「あれっ?」などと思いながらぶつかった対象を確認してみると、それはゴブリンだった。
確か先程、別室で話をしてそのまま待っているように指示を出したと思うのだが…

と考えるや否や俺の前を何か影が横切る。

「クソっ!コイツ!」

影の正体はルカだった。
彼女は俺とぶつかり、もんどりをうって倒れたゴブリンに物凄い勢いで向かい一瞬で馬乗りの姿勢になる。

「あっ…、ルカさん。ソイツは…」

とここで俺の声がつまった。
それはゴブリンに対して馬乗りになり首を締め上げている彼女の顔があまりにも物凄い顔だったからだ。
俺にとっては何でもない相手に他ならないゴブリンだが、彼女にとっては先程まで捕らえられていた憎い敵に他ならない。
彼女がいつ捕まってどのようにして縛られたのかという詳しい経緯は聞いていないのでハッキリとは言えないが、彼女にとって決して良い思いとはなっていないハズだ。
それに横を見るとミンネが今にも泣き出しそうな顔で黙ってみていて、フローラの方は右こぶしを強く握りしめていた。
この様子から察するに、二人も何らかの屈辱を味わっている可能性がある。
そう考えると「大丈夫」の一言が出なかった。

「おい、いいかげんにすれ」
「イタい…あっ…ちょっと…」

言葉が出ない俺を察してなのか、コロンがゴブリンとルカの間に割って入る。
だが怒りの感情が爆発している彼女は、止まる気配を見せない。
言葉だけでは止まらない彼女に、最終的にはコロンは彼女の髪を引っ張り無理矢理止めるという方法をとっていた。

「恨みあんのはわがんけど、今は旦那様のモンだでな、その辺さしとけ」
「あー…ちょっとイタいって…イタい…」

ゴブリンから手を離し、捕まれた髪を振りほどこうと抵抗をするルカ。

「旦那様の物ということは…タカヒロ様が調教テイムなさったのですか?」

えっ…っと…テイムってモンスターを従えるってことでいいんだよね…

「はい。先程このダンジョン内で見えるゴブリンについては全て支配テイムしています」
「そうですか…ルカ、聞こえたでしょう!今のやり取りが、今すぐやめなさい」

フローラの様子が一瞬、寂しそうに見えたが、次の瞬間非常に強い口調でルカに呼び掛けていた。

この二人って知り合いとかなのかな?

「うっさいわね。もう止めてるわよ。って言うより、こっちとしてはもうアンタの指図受ける義務ないんだから」

どうやら知り合いどころか、因縁まである仲なのかもしれない。

「ルカさん、大丈夫ですか?」
「取り乱してごめんなさい。ええ、もう大丈夫」

直ぐに彼女の様子を確認しようと、近くまで寄ってみたが、俺が近づいた頃には彼女の方も落ち着いたようで、特に暴れたりもしなかった。

本来であればコロンじゃなく、俺が間に入るのがベストなんだよね…

若干の後悔をしつつも、俺たちはダンジョン内で彼女たちの着替えの代用品がないかを調べるため、一つづつ部屋を見ていくことにした。

★☆★☆

「あれ?ここは?」
「トムライノバデゴザイマス」

二つほど部屋を回ると、そこには彼女達の着替えというより、今まで多くの人を襲ったのだろうと思われるような衣服や武器の類いが無造作におかれている部屋があった。
なので彼女たちは今、その部屋で着替えを行っているというわけなのだが、俺の方はというと別な部屋で大量の魔石を発見したのだ。

今の状況的に腰を落ち着けて数えるということはできないが、ざっとみるだけでも、1000以上…いやその倍は確実にある。
なんでそんな数があるのか、そしてこの部屋が何故トムライノバと呼ばれているのか、最初は不思議に思ったのだが直ぐに答えは出た。

ゴブリンたちの話ではコロニーを通して1日4匹ほどの同胞が生まれるらしい。
ということは1年を経過すると1400以上のゴブリンたちが生まれるハズだ。
俺がここに来てから倒したゴブリンの数は恐らく数百位だと思う。
そしてこのダンジョンの前にいたゴブリンたちが二十ちょっと。
それ以外には今のところゴブリンたちを見ていない。

また、フローラなどを始めに少ないとはいえ僅かながらに人の出入りもある地域のはず。
となるとそこには争いに巻き込まれたゴブリンたちというのがいるはずで、それの多くが恐らくは今、目の前にいる魔石ということなのだろう。

こういっては何だが、俺の中でゴブリンというのは侵略というイメージが強かったのだが、彼らにも仲間たちを弔う気持ちということをこの時初めて俺は知った。

考えれば考えるほど俺はどちらの立場に立てばいいのか全く分からなくなっていく…
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