異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

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昨日の記憶

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眼が覚め時間を確認したら、午後の1時を過ぎたところだった。
朝方に寝たこともあって、まだ全然眠い、疲れがとれていないのだが、日の光が部屋の中に思いっきり差し込んできて、ゆっくりと眠るどころではない。

ルカが急遽、俺たちの仲間に入ることになり、それ関係で色々と慌ただしかった。
最初は俺が泣きつかれ、その後、どうしようかというところでガイアス様にバトンタッチ。
一時はどうなることかと思ったが、ガイアス様の方での話は幸いにもそれほど面倒なことはなかったようで、めでたくと言ってもいいのかどうかは分からないが、この度、ルカが俺たちダンジョン側に来ることになった。

それはいい。
本来であれば、よくはないのかもしれないが、ただ彼女自身も心を入れ換えるなど言ってくれたので、先ずは俺の方としても信じることにしたからだ。

それだけに俺の方としては、もうこれでゆっくりと眠れると思ったのだが…

どうやら俺の目論見というのは甘かったようで、ガイアス様は別な話を俺たちに始めた。

なんの話かというとリンについてだ。

彼女は昨夜、俺たちと一緒に話をしている最中。
ママ創造神からの連絡を確認後、部屋に閉じ籠ってしまったのだが

これがどうやら反抗期…
じゃなかった…
拡張期と呼ばれる時期なんだとか。

この拡張期というのは、ママから貰った階層というのをリンがどのように利用するのかを考え、実践していく期間らしく、ダンジョンが成長するためには欠かすことが出来ないものらしい。

最初は「へー…なるほどなぁ~」と他人事のように聞いていた俺だが、この拡張期について色々と聞く内にどんどん頭が痛くなってきた。

先ずは彼女の居場所「確認してみなさい」と言われ、部屋の扉を開けて確認してみると、そこに彼女はいなかったのだ。
代わり大きな繭のような物が部屋の隅にあるだけだった。
どうやらこの繭の中身が彼女らしく、現在彼女は絶賛無防備な状態なんだとか。

近々、フローラ、レント、ミンネの三人を人里に送り届ける予定だったので、明日か明後日には一度この場所を離れるつもりだった矢先のできごとである。

全くどんな嫌がらせなのかと頭を抱えてしまうが、不幸はこれだけではなかった。
というかこれだけであれば、小屋にはカロリーがいるので世話を任せることができるだけに、別に大した不幸にはならない。

というのも今まで俺は、リンから供給される魔力を元に色々とやって来たのだが、今回、急に彼女がこんな状態になってしまった。
なので彼女の魔力については今までどうように供給されるのかを問いただしたところ、めでたく拡張期が終了するまでは魔力が一切供給されないという答えが返ってきてしまったのだ。

これには参った。
正直、なんの前触れもなくいきなり聞く話だとは思えない。
もう一気に力が抜けてしまい、その後、ガイアス様も色々と大切な話しをしていたわけだが、そういったことはどうでもいいと思えるほどに気が落ちてしまっていた。
おかげで知りたかった合成のことはなんとなくしか覚えていない。

そんな感じで集中力が途切れた俺。
本来であれば、そのままいつの間にか自室の布団の上でグッスリといきたかったわけだが、眠り中途半端に途中で目覚めて今に至る。

「おはようございます。旦那様、流石にお顔がすぐれないようですが大丈夫でしょうか?」

昨日の出来事?
いや、数時間前の出来事と言った方が良いのかもしれないことを色々と思い出しながら扉を開ける俺に挨拶をくれるカロリー。

「あー…、おはよう。まー、一日くらいならなんとかなるでしょ。コーヒーある?」

俺は軽く手をあげていつも通り挨拶を返す。
結構な睡眠不足だが、それでも一日くらいであれば、眠い程度でなんとか乗りきれるかな?
そんな事を思いながら、俺はいつもの習慣で彼女にコーヒーを注文。
起きたら先ずは最初の一杯というのは俺の中での習慣だからだ。

「はい、ございます」

彼女の方も心得たもので、既に用意は整っているらしい。
それも何故かホットコーヒーの状態で…
どんなタイミングなのか知らないが、彼女のティータイムというのは、いつもどんな時も準備は抜群なのだ。
コーヒーか紅茶、ホットかアイスかなんていうのは、毎回俺の気分次第でしかないのだが、彼女が外したことがない。
理由を教えてくれないのは知っているので、無駄なことは考えないようにしている。

「はーい。ありがとう」

そのまま、彼女に一言礼を伝えた後、俺はいつものように席に座りコーヒーを飲んでいたのだが、程なくして少し離れた場所に男が直立不動の姿勢で立っているのに気づいた。

多分、年齢は30前後?
俺よりは少し上な気がする。
身長は俺よりも少し高い。
髪の色は金色で髪型は短髪のスポーツ刈りに近い感じだ。
見た目としては体型が筋肉質で、いかにも体育会系という感じがする。
服装は下は普通に着ているが、上は結構な薄着。
なんだが昨日、俺達がサブダンジョンから持ってきた粗末な服っぽい。

一瞬、目線が合った。

気づいてしまった以上、反応した方がいいと感じた俺だったが、なんと返していいのか分からない。
とりあえずということでとっさに軽く会釈をする。

男の方も気づいてくれたみたいで、ニコッと笑ってくれた。

良かった。

見た目が厳つい男だから、いきなりガッツリ体育会系の挨拶などされたらどうすればいいのか反応に困ったところだ。
大人しい感じで返してくれて安心した。
よく見ると若干緊張した面持ちにも見える。

そんな時にカロリーが後ろから俺に耳打ちをしてくれた。

「あれ、リンゴですよ」

えっ…?リンゴって誰だっけ??
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