異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

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爵位

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パッと見た感じ、微妙に色がついていて布なのか紙なのか判別がつきにくいそれ。
どうやら羊皮紙と呼ばれる羊を始めとした動物の皮を加工した紙のようなものらしい。

この世界にも俺がいた世界と一緒の植物繊維を原料とした紙もあることはあるらしいのだが、ただ高価なものらしく、通常のやりとりでは書面というと羊皮紙でのやり取りが主流となるそうだ。

という話を聞いたとき、紙であれば俺のアイテム欄にストックがある。
なので後は「取り出して登録してしまえば自由に複製できて大儲けじゃないの!」と思ったのだが、食物繊維を原料とした高価な紙というものは国家が利権を独占しているようで、勝手にやっているのが見つかると色々と面倒なことになるんだとか。

なるべく普通に生きていたい俺。
そんなことを聞いた瞬間、紙で儲けるという考えは綺麗さっぱり忘れて、今度は紙に書かれている内容へと目を向ける。

そこには主に俺に関する内容が書かれていた。
どうやら俺はガイアス様がよその大陸から呼び寄せた冒険者兼探索者ということになるらしい。
護衛役として旅を同行している途中、ふとガイアス様が国の査察でこの山に足を踏み入れて、俺がベンケーを倒しゴブリンのダンジョンを踏破した。
ガイアス様って神官でありながら国の役員でもあったんですね。
(それなのにガイアス様の宗派は国境とかではないらしい)

今後はガイアス様を身元保証人にした上で、この山を本拠地として、クランなる組織を立ち上げゴブリンダンジョン(これが正式名らしい)を運営していくというのが、今後の流れになるらしく、そういったことを認めてもらうための書類というのが今、目の前に置かれているらしい。

そして、どうやらこれにより俺は名誉騎士爵という貴族の仲間入りを果たすらしい。
この世界での貴族の階級というのは大公(主に王族)、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士と種類があり、この中で国からの任命を受けていない場合、爵位の前に名誉というのがつくそうなので、どうやら俺は爵位は名誉騎士。
名乗るときは名字も名乗るらしいので正式名がタカヒロ・イダ・ナイトとなるそうだ。
後に国から認められると名誉というのがとれる代わりに、「フォン」というのがつくらしくタカヒロ・フォン・イダ・ナイトなどと呼ばれるんだとか…
ちなみにこの「フォン」というのは一代限りで次世代以降も爵位を名乗らせる場合、別な功績などが必要になってくるらしい。

更にいうと「フォン」までいくと他にも国から権利なども認められるらしいが…
正直そんなことはどうでもよい…

今、俺が活動しているこの山は正式には国の領土ということになっている。
今回の騒動が片付いたという報告を国に行い、審査の方が通ると名誉騎士から騎士になるらしいのだが、なぜそんなことを既に決定事項のように言えるのかというと、現段階ではガイアス様が子爵相当で国の監察官を兼任しているので、名誉騎士というものに任命できるんだとか。
そしてこれらが全て片付いたら、多分、この山は俺の領土となるらしいので、そうなったらある程度、好きにダンジョン関係のことができらしいというのも合わせて聞くことができた。

なんだか聞いていると結構、時間がかかる気がする。
リンが今、あんな状況だけに少し位の時間がかかるのは別に気にしないが、その間に余計な邪魔とか入ったりしないんだろうか…

そんなことよりも明日以降、レントやフローラ、ミンネと一緒に街に降りた後は、直ぐに帰還せずに暫くは、街に書類を提出したりなどということをしなければいけないようなのだが大丈夫なのだろうか…

自分で言うのもなんだが、今の状態ではかなり不安だ。
その話の最中で「ライックって何?」と聞いてみたら、横にいたフローラに思いっきり白い目で見られてしまった。
なんでもガイアス様の宗派の名前らしく、思想や信念、良心などを公の秩序を乱さない範囲においては自由であることを保証する考え方になるそうだ。
なので彼女としては、それを入信しているはずの俺が知らないというのはどういうことなのか、ということなのだろう。

宗派とか言っていたから、てっきり○○教とか名前がつくと思ったら思いっきり変化球って…
今度からはガイアス様、前もって説明をお願いしますと心の底から俺は願った。

ちなみにフローラはライラックでは無いが、ライラックの内容を見事に熟知していたようで、この説明を俺に説明してくれたのが彼女である。

★☆★☆

ミンネやフローラを届ける際のこと、俺に関する書類のことなど街に行った時に最低限行わなければいけないことなどを一通り聞いた後、ルカが奥から一台の機械のようなものを両手にのせて持ってきた。

どうやらフローラが前日、俺に見せてくれたカードのようなもの。
あれを俺用に作るらしい。

「では、これをお主にやろう。なくすなよ」
「はい。ありがとうございます」

ガイアス様が俺に青っぽいカードを手渡す。
確かフローラのカードは灰色っぽい見た目だった気がする。
宗派によって何種類かに分かれているのだろうか。

「次にどちらでも良いのでカードの短い方の端を持ったまま、この魔道機の溝にあてなさい」
「へー…魔道機ってことは魔力で動いてるんですか?」
「あのー…タカヒロさん…?何を当然のことを…」

フローラが遠慮がちに困惑しながら俺の質問に答えを返す。

「えっ…?当然?なんでですか?」
「何か物を動かすには動力というものが必要です。その動力が魔石から採取できる魔力というだけの話ですから」
「あー…そういうことなんですね。なるほど」

俺は彼女の話に相づちを打ちながら、ガイアス様の指示通りにカードを魔道機へと通す。
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