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勇者がもたらすもの
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勇者が魔王を倒すには、魔王と戦って勝つこれが条件。
そんなことは、この世界に来て間もない俺でも簡単に想像できる。
そしてこのことは、この世界でもそれほど違いはないらしい。
事の起こりはおよそ1000年ほど前の話だ。
当時、この世界は暗黒期と呼ばれていて、1体の竜型の魔王が好き勝手に暴れまわっていたんだとか。
そこでとある神様が竜型の魔王、後に竜王として語られるそうだが、この竜王を討伐するために一人の若者を異世界から呼び寄せることになった。
その若者は強さはさほどではなかったようだが、とにかく頭が良かったそうだ。
結果、その若者は神の意志に見事に答え、竜王を打ち倒し世界に平和をもたらす。
そしてその後、勇者は元の世界へ戻ることを選択するらしいのだが、魔王を倒すと連れてきた神々から異世界に戻ることの他にもう一つ、願いを叶えて貰えるらしい。
(そんな話、俺は初めて聞いた…)
とは言っても中には叶えられない願いもある。
例えばこの世界に存在してはいるがあっちの世界には存在しないもの。
なので大抵の勇者は財産と願い、今まで手に入れた金貨や銀貨などを貰っていくんだとか。
通常であれば、これで一件落着と行くそうなのだが…
それは勇者個人のお話であって、残された世界の方では、そんな簡単に話はまとまらなかったらしい。
なんでかというと、その時の竜王、世界が暗黒期といわれる時代だけに、歴史上でも屈指の魔王だったそうだ。
それだけに、その勇者は多くの国を跨ぎ様々な者の協力を得て魔王を倒すことになる。
竜王を倒した時には、神々が作ったとも言われる武器や防具、アイテムなど様々なものを持っていた。
当然だが、そういったものを元の世界へと持っていくことはできない。
なので彼は、自分が管理していたダンジョンにそれらのものを隠して元の世界に戻っていく。
このダンジョンは今では竜神のダンジョンと呼ばれ、複数の神により厳重に管理されているらしいのだが、何故だか知らないが、それらの中の一つが世に出てしまう時があるらしい。
これまでに二度ほど…
この世界では誰もが知るシスギ・タオの英雄譚。
単純に竜王とシスギの戦いのみではなく、当時シスギが使っていた武器や防具、アイテムの詳細なども語られている。
それらの内、一つでも出回るとどうなるか。
伝説と特徴が合致するアイテム。
どの国も、どの人物も一度手に入れると手放したくはないと考える。
その結果、多くの国が身勝手な言い分を繰り広げるようになり、瞬く間に戦争へと発展したんだとか。
神はこの問題がダンジョンではなく、人間の欲望であると考えたため静観を決める。
そして一度目の戦争は幸いにも早めに終息した。
神々が安堵したのもつかの間、それからほどなくして、また竜神のダンジョンで保管しているものの一つが世に出てしまう。
一度ならず二度までもというのもあるのだが、この二回目の争いにおいて勇者というのは、珍しい武器や防具を持っている存在だというのが世間に一気に広まる。
これに不審に思った神は、どうやら自分達の中に裏切り者がいるようだというのを突き止めた。
ただ突き止めたとは言っても、それは個を特定できたということではなく、あくまでも存在をという話。
その後も調査を続けある程度まで絞りこんだ結果、今俺が拠点としている山までたどり着いたんだとか。
ただ絞りこんだとはいっても、ここから先は人間の社会に必要以上に食い込まなければいけない可能性も出てくる。
そうなると他にも問題が生じるらしいのであまりそういったことはしたくない。
ということで連れてこられたのが俺なんだとか…
という話をきいたのだが…
ハッキリいって魔王討伐よりも面倒だと感じるのは俺だけだろうか?
「えーっと…ガイアス様、誰を倒すかというのは…」
「お主にはそこまでは望んどらん。尻尾を見つけてくれるだけでじゅうぶんじゃ」
いや…その…
見つけるのが難問な気がするんですけど…
「明日向かう、コーネリアでしたっけ?その街には協力してくれる人とか神様とかはいるんでしょうか?」
「一応、いるぞ。と言うか、むしろお主の存在は神々には筒抜けなのでな、表面上はどの神も怪しまれないようにお主に協力するはずじゃ」
んー…
コッチからアッチは正体不明、でもアッチからコッチは丸裸って、不安しかありませんね。
あまり深入りしないようにだけ気を付けよう。
「ちなみになんですけど、それ以来勇者が殺されるんですか?実際にヤられたという話は…」
「前回、どっかの国の王は勇者と書いて鉱山と読むとか言って勇者を追い回しておった…そして、他の国の王は勇者の力は世界を滅ぼせる力があると言っておった者もおってな、もう毎回結局は国民総出という感じになってしまうんじゃ…」
なんだそれ…
どこの国か知らないが、助けてもらった勇者を鉱山とか…
奪う気まんまんじゃねーかよ。
黙って帰らせたら財宝の隠し場所が分からないとか、そんな話か…
更に勇者の力は世界を滅ぼせるって…
確かにそうなのかもしれないが、自分達が倒せない魔王を倒してもらってそんな言い方はないのではないか。
一気にやる気が削がれてしまったが、ここで俺がふてくされて、惰性に任せるのも一つの選択肢なのかもしれないが、その場合、俺が異世界に戻れる日が遠くなるというだけなんだよね。
人知れず悪いヤツを見つけて、ガイアス様に報告ですか…
なんだか非常に面倒な気がする…
俺の場合は二つ?
いや、そういう交渉の話ではないんです…
そんなことは、この世界に来て間もない俺でも簡単に想像できる。
そしてこのことは、この世界でもそれほど違いはないらしい。
事の起こりはおよそ1000年ほど前の話だ。
当時、この世界は暗黒期と呼ばれていて、1体の竜型の魔王が好き勝手に暴れまわっていたんだとか。
そこでとある神様が竜型の魔王、後に竜王として語られるそうだが、この竜王を討伐するために一人の若者を異世界から呼び寄せることになった。
その若者は強さはさほどではなかったようだが、とにかく頭が良かったそうだ。
結果、その若者は神の意志に見事に答え、竜王を打ち倒し世界に平和をもたらす。
そしてその後、勇者は元の世界へ戻ることを選択するらしいのだが、魔王を倒すと連れてきた神々から異世界に戻ることの他にもう一つ、願いを叶えて貰えるらしい。
(そんな話、俺は初めて聞いた…)
とは言っても中には叶えられない願いもある。
例えばこの世界に存在してはいるがあっちの世界には存在しないもの。
なので大抵の勇者は財産と願い、今まで手に入れた金貨や銀貨などを貰っていくんだとか。
通常であれば、これで一件落着と行くそうなのだが…
それは勇者個人のお話であって、残された世界の方では、そんな簡単に話はまとまらなかったらしい。
なんでかというと、その時の竜王、世界が暗黒期といわれる時代だけに、歴史上でも屈指の魔王だったそうだ。
それだけに、その勇者は多くの国を跨ぎ様々な者の協力を得て魔王を倒すことになる。
竜王を倒した時には、神々が作ったとも言われる武器や防具、アイテムなど様々なものを持っていた。
当然だが、そういったものを元の世界へと持っていくことはできない。
なので彼は、自分が管理していたダンジョンにそれらのものを隠して元の世界に戻っていく。
このダンジョンは今では竜神のダンジョンと呼ばれ、複数の神により厳重に管理されているらしいのだが、何故だか知らないが、それらの中の一つが世に出てしまう時があるらしい。
これまでに二度ほど…
この世界では誰もが知るシスギ・タオの英雄譚。
単純に竜王とシスギの戦いのみではなく、当時シスギが使っていた武器や防具、アイテムの詳細なども語られている。
それらの内、一つでも出回るとどうなるか。
伝説と特徴が合致するアイテム。
どの国も、どの人物も一度手に入れると手放したくはないと考える。
その結果、多くの国が身勝手な言い分を繰り広げるようになり、瞬く間に戦争へと発展したんだとか。
神はこの問題がダンジョンではなく、人間の欲望であると考えたため静観を決める。
そして一度目の戦争は幸いにも早めに終息した。
神々が安堵したのもつかの間、それからほどなくして、また竜神のダンジョンで保管しているものの一つが世に出てしまう。
一度ならず二度までもというのもあるのだが、この二回目の争いにおいて勇者というのは、珍しい武器や防具を持っている存在だというのが世間に一気に広まる。
これに不審に思った神は、どうやら自分達の中に裏切り者がいるようだというのを突き止めた。
ただ突き止めたとは言っても、それは個を特定できたということではなく、あくまでも存在をという話。
その後も調査を続けある程度まで絞りこんだ結果、今俺が拠点としている山までたどり着いたんだとか。
ただ絞りこんだとはいっても、ここから先は人間の社会に必要以上に食い込まなければいけない可能性も出てくる。
そうなると他にも問題が生じるらしいのであまりそういったことはしたくない。
ということで連れてこられたのが俺なんだとか…
という話をきいたのだが…
ハッキリいって魔王討伐よりも面倒だと感じるのは俺だけだろうか?
「えーっと…ガイアス様、誰を倒すかというのは…」
「お主にはそこまでは望んどらん。尻尾を見つけてくれるだけでじゅうぶんじゃ」
いや…その…
見つけるのが難問な気がするんですけど…
「明日向かう、コーネリアでしたっけ?その街には協力してくれる人とか神様とかはいるんでしょうか?」
「一応、いるぞ。と言うか、むしろお主の存在は神々には筒抜けなのでな、表面上はどの神も怪しまれないようにお主に協力するはずじゃ」
んー…
コッチからアッチは正体不明、でもアッチからコッチは丸裸って、不安しかありませんね。
あまり深入りしないようにだけ気を付けよう。
「ちなみになんですけど、それ以来勇者が殺されるんですか?実際にヤられたという話は…」
「前回、どっかの国の王は勇者と書いて鉱山と読むとか言って勇者を追い回しておった…そして、他の国の王は勇者の力は世界を滅ぼせる力があると言っておった者もおってな、もう毎回結局は国民総出という感じになってしまうんじゃ…」
なんだそれ…
どこの国か知らないが、助けてもらった勇者を鉱山とか…
奪う気まんまんじゃねーかよ。
黙って帰らせたら財宝の隠し場所が分からないとか、そんな話か…
更に勇者の力は世界を滅ぼせるって…
確かにそうなのかもしれないが、自分達が倒せない魔王を倒してもらってそんな言い方はないのではないか。
一気にやる気が削がれてしまったが、ここで俺がふてくされて、惰性に任せるのも一つの選択肢なのかもしれないが、その場合、俺が異世界に戻れる日が遠くなるというだけなんだよね。
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