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第十三話 上司と部下
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第十三話 上司と部下
「べにーさん、これ本当に大丈夫かい?」
「方向と出力さえズレなければ」
航とベニーは、松の群生地から戻り、
針葉樹の細めの倒木を何本かを、
体に巻きつけて、持ってきていた
蔦のロープで纏めていた。
もっと先まで見に行こうと思ったのだが、
崩落でもあったかのように深くえぐれた地形になっていた。
背の低い木やススキのような穂を付けた
植物が急な斜面に生えている状態であり、
使えそうではあるものの、流石に危険だと判断した。
迂回すると上まで登ることになり、足腰に不安が
ある以上は、安全第一という事で、当初の予定通り、
針葉樹の乾いた倒木や折れている枯れ木を集める作業を
しているのだった。
滑落した時も、ツタのおかげで体へのダメージが
かなり守られた。
まさに自然の鎧だ。
今はそれを使い、長さ2m前後、太さ10~15センチほどの
倒木や枯れ木を3本程まとめて、二つ準備している。
他にも、枝や枯れた葉の束を背負える程度に抑えて
集めていた。
浮いて引っ掛かっているような倒木を少しずつ
ずらし、元気な木の根元に這わせて、足場を
作り、足場を広げ、集めて蔓で縛る。
どのみち、外れるだろうが、時間短縮で
まとめて、下に落とすという方法で、
急斜面を一気に滑らせて運ぶことにした
という事で、今に至る。
「ベニーさん、ここでどうでしょうか?」
「あと2度右へ」
「2度……」
「半歩右へずらしてください」
半歩も動いたら結構なズレになりそうだが。
ふんっ
と、ずらしてみるがほとんど動いていない。
「そこです」
ここで良かったようだ。
後は、引っ掛けてある下の
止めを越えさせれば、滑り出すはず。
脇に回り込み、先に潜らせていた、
横木を使い、梃子を利用して、
体重をかけて揺らし、少しずつ
ずらしていく。
ズズ、ズ、ズザザザーッと
一気に滑り落ちていった。
案の定、途中の埋まっていた根に絡まっていた岩に
当たり、ばらけながら滑り落ちていった。
土も一緒に滑り落ちていくのを見ながら。
環境破壊だが、今は致し方ないと
自分に言い聞かせる。
実際、他に方法が見当たらなかったので
楽で速いこの方法となったのだ。
斜度の緩いところは一本ずつ引くしかないが、
かなり距離を短縮できる。
人力の何とひ弱な事か。
一本ずつなら、ツタで編んだロープを使っても
行けそうだが、ロープを編む時間が無く
準備は出来ていなかった。
持ってきたツタを使い、少しずつ下ろせれば
何とかなるのではないか、と簡単に考えていた。
いっそ落としてしまえば早い、というのは、
もちろんベニー監督のご指示だ。
合理的な事に関しては監督に任せるのが
一番だ。
続いて、第二弾を装填し、下に滑落させる。
次に来るときは、もっと準備をしてから
来れるだろう。
まずは、最低限の確保が重要。
ラッキーな事に、ここには、
一人で使うには十分の木材
が散らばっている。
悪く言えば、人の手が入っておらず
荒れ放題ともいえるが……。
ふかふかで、音が鈍いものと、明らかに
朽ちかけているものと枯れ枝とを束ねて
一緒に背負う。
ベニーを肩にかけ、20kg近い木材を背負って
降りる。
「ベニーさん……」
「スーツのナノマシンの活性を5%解放し
筋力補助に当てます」
優しいが……。
「体内のナノマシン活性ではだめなのかい?」
「筋肉の裂傷度合いを考慮すると
損耗率が跳ね上がります。」
スーツを強化したほうが、省エネと
いう事ですね……。
「でも……」
と、言いかけたところで安心の説明が返ってくる。
「斜面を降りきるまでの間なので、
形状維持には問題ありません」
過去の嫌な記憶は再現されないようだ。
では、降りますかね、と
航は後ろ向きになり、足元を覗きながら、ゆっくりと急斜面を
降りて行った。
乾いた土がボロボロと斜面を転がっていく。
「この土、粘土にできたりしないかな?」
「表面は乾いていますが、ほとんどが腐葉土ですので難しいですね」
ベニー監督の難しいは、「出来るけど高度な技術
を必要としますよ?」の意味だ。
少しずつだがコミュニケーションの解像度が
上がってきている。
おじさんだって学ぶんだ。
土なら何でもよいわけじゃないんだな。
と、子供の頃の記憶の中の油粘土やら、動画で
見た、赤い土やら、白っぽいのやら
いろいろな土を思い浮かべる。
粘土か……。
崩れやすい地面を、根の足場を利用しながら
ゆっくりと、滑り降りていく。
余計な事を考えていたせいか、
手が抜ける、体勢を崩す。
滑りそうになる。
そんな事を繰り返しながら、ゆっくりと
しかし確実に、足場を気にしながら降りてゆく。
土を浴び、全身土埃まみれになりながら、
背中には薪に使うための木を括り付け、
土壁にへばりついて頑張っている。
残りどれくらいだっただろうか、
下を確認しようとしたところで、ものの見事に
足が抜け、手で自重を支えられず、大の字
状態で下まで滑り落ちていった。
ドンっと
柔らかい地面に着地した勢いのまま、
背負っていた荷物の重みに耐えきれず
後ろへ転がってゆく。
勢いを止めようと、両足を突っ張ったが
勢いを抑えきれずに、うつ伏せ状態で、
そのまま滑っていく。
滑りながら、こんな状況昔あったなと思い出す。
過去に自動二輪車でのツーリング中に
山道で砂利を踏んでしまい転倒。
アスファルトの上を転がり、勢いのまま滑り、
踏ん張ろうとして、奇跡的に物理現象が噛み合い、
見事なまでに、中腰のまま立ち上がり、数メートル後ろ向きで
滑り続けた時の事故の記憶が蘇る。
バトル漫画で攻撃を受けて吹っ飛ばされて
後ろに立ったまま滑っていく
そんな、映像が被った。
あの時も、現実でこんな事って本当にあるんだな、
なんて考えてたっけ……と。
悠長にしている場合ではないが、どうにもできない。
ベニー監督の指示があるまで、まな板の鯉として、
とりあえず地面にかじりついて、勢いが止まるのを
待つのみ。
天命を待つ以外に成す術のない状況に、半ば諦め
ていた。
滑っていると、地面の中の石や根や枯れた木や
いろいろな何かが、腹の下を通り、
通る度に、グッ、ガッ、ゲッと、何とも言えない
声を発していた。
流石にそろそろ止まってくれ。
そう願った矢先、唐突にそれは訪れた。
ガッという衝撃と共に……。
衝撃と同時に頭の後ろにも痛みが走る。
ゴスッという鈍い音と共に、滑り台は止まった。
何かに挟まって止まったようだった。
「痛たたた」
頭をさすりつつ、横を見るがよく見えない。
手足をばたつかせながら、徐々に上へと
這い出していく。
もがいてもがいて、なんとか体の自由が効いた
ところで、振り返ると大きな木のうねりのような
輪っかの間に滑り込んだ様子だった。
「状態チェック完了しました」
「身体に生存に関わる損傷はありません。
頭部内に、重大なダメージはありません。
頭皮下に内出血が認められますが、
許容範囲、現状維持で問題ないと判断します」
「しかしながら、私のシミュレート結果に誤差が
出てしまった事はお詫びしなければなりません」
滑り落ちた事かな?と思い。
結果として、無事だったのだからと。
「あれは、予期せぬ出来事で、こうして無事
だった訳だし、お詫びなんていらないでしょ?」
「いえ、滑落はシミュレートの範囲内でしたが、
そこに至るまでに誤差が生じました」
ああ、なるほどね、きっともっと手前で止まる
想定だったんだろうな、と。
「何度も言うけど……」
「想定以上に持ちこたえました
負荷強度を上方修正します」
落ちるのは想定内だったと?
それよりもだ、負荷強度を上方へ修正
という事は……。
不穏どころの話ではないぞ?
「いやいやいやいやいや」
全力で反論する。
「それは勘弁してほしい。
生存確率を上げ、生存期間を少しでも長く
は、分かるが負荷の強度をというのはダメだ」
「人には余力というものが必要で……」
必死にベニーを説得し、条件保留で手を打つ。
負荷強度を上げるとかいう、無茶な筋トレは
論外です。
無茶な指示を留めたという安心感と
無事、今の危機を乗り切った達成感を感じながら
深呼吸をし、体中についた土を払っていった。
ポケットの中が土だらけだが、今はそのままでいいか。
少し頭をのぞかせている、小さなキノコの頭をそっと
撫でるのだった。
土を払い終え、荷物を背負いなおし、
落とした木はどこかと周囲を見る。
ふと、自分を助けてくれた倒木に気が付く。
お礼を言わないとな。
お礼を伝える為に手で撫でようとして
異様な光景に目を疑う。
巨大な木が横たわっていたのだった。
大きいな……。
たどっていくとほどなく巨大な根が
目に入る。
「こんな大きくてしっかり張った根の木が
倒れる事もあるんだな」
根を覗き込みながら、独白する。
もう少し見てみるか、と足を進めると、
「うぉ」
足の片方が急に沈んだ。
咄嗟に手を伸ばし根を掴んで
沈まないように踏ん張る。
「穴……?」
みると大きく窪んでいるのが見えた。
「落ちたら上がるの大変そうだな」
窪みを覗くと、層に分かれた色違いの
土が見えた。
「どうやら、倒れた原因は、土の中の
粘土層が深く根を張るのを阻害していた
為ですね」
そうなのか、と感心しつつ。
粘土層、という言葉が気にかかる。
「粘土層という事は?」
と、ベニー監督へ問いかける。
「粘土の層です」
と、返ってくる。
「持って帰りましょう」
さらに追撃が来る。
「いや、荷物が……」
「負荷強度……」
「よし、サンプルに少し持って帰ろう!」
監督には逆らえない航であった。
後書き
最後までお読みいただきありがとうございます。
山下り編が一話で収まらず、次回へとつづく
形になりました。
過去の回想はふざけた訳ではなく、良い案が浮かばず
苦肉の策で作者の過去の体験を描写しましたので
不自然かもしれませんが、ご了承くださいませ。
楽しんで頂けましたら幸いです。
それでは次回またお会いしましょう。
お気にいりやいいね頂けると励みになります。
「べにーさん、これ本当に大丈夫かい?」
「方向と出力さえズレなければ」
航とベニーは、松の群生地から戻り、
針葉樹の細めの倒木を何本かを、
体に巻きつけて、持ってきていた
蔦のロープで纏めていた。
もっと先まで見に行こうと思ったのだが、
崩落でもあったかのように深くえぐれた地形になっていた。
背の低い木やススキのような穂を付けた
植物が急な斜面に生えている状態であり、
使えそうではあるものの、流石に危険だと判断した。
迂回すると上まで登ることになり、足腰に不安が
ある以上は、安全第一という事で、当初の予定通り、
針葉樹の乾いた倒木や折れている枯れ木を集める作業を
しているのだった。
滑落した時も、ツタのおかげで体へのダメージが
かなり守られた。
まさに自然の鎧だ。
今はそれを使い、長さ2m前後、太さ10~15センチほどの
倒木や枯れ木を3本程まとめて、二つ準備している。
他にも、枝や枯れた葉の束を背負える程度に抑えて
集めていた。
浮いて引っ掛かっているような倒木を少しずつ
ずらし、元気な木の根元に這わせて、足場を
作り、足場を広げ、集めて蔓で縛る。
どのみち、外れるだろうが、時間短縮で
まとめて、下に落とすという方法で、
急斜面を一気に滑らせて運ぶことにした
という事で、今に至る。
「ベニーさん、ここでどうでしょうか?」
「あと2度右へ」
「2度……」
「半歩右へずらしてください」
半歩も動いたら結構なズレになりそうだが。
ふんっ
と、ずらしてみるがほとんど動いていない。
「そこです」
ここで良かったようだ。
後は、引っ掛けてある下の
止めを越えさせれば、滑り出すはず。
脇に回り込み、先に潜らせていた、
横木を使い、梃子を利用して、
体重をかけて揺らし、少しずつ
ずらしていく。
ズズ、ズ、ズザザザーッと
一気に滑り落ちていった。
案の定、途中の埋まっていた根に絡まっていた岩に
当たり、ばらけながら滑り落ちていった。
土も一緒に滑り落ちていくのを見ながら。
環境破壊だが、今は致し方ないと
自分に言い聞かせる。
実際、他に方法が見当たらなかったので
楽で速いこの方法となったのだ。
斜度の緩いところは一本ずつ引くしかないが、
かなり距離を短縮できる。
人力の何とひ弱な事か。
一本ずつなら、ツタで編んだロープを使っても
行けそうだが、ロープを編む時間が無く
準備は出来ていなかった。
持ってきたツタを使い、少しずつ下ろせれば
何とかなるのではないか、と簡単に考えていた。
いっそ落としてしまえば早い、というのは、
もちろんベニー監督のご指示だ。
合理的な事に関しては監督に任せるのが
一番だ。
続いて、第二弾を装填し、下に滑落させる。
次に来るときは、もっと準備をしてから
来れるだろう。
まずは、最低限の確保が重要。
ラッキーな事に、ここには、
一人で使うには十分の木材
が散らばっている。
悪く言えば、人の手が入っておらず
荒れ放題ともいえるが……。
ふかふかで、音が鈍いものと、明らかに
朽ちかけているものと枯れ枝とを束ねて
一緒に背負う。
ベニーを肩にかけ、20kg近い木材を背負って
降りる。
「ベニーさん……」
「スーツのナノマシンの活性を5%解放し
筋力補助に当てます」
優しいが……。
「体内のナノマシン活性ではだめなのかい?」
「筋肉の裂傷度合いを考慮すると
損耗率が跳ね上がります。」
スーツを強化したほうが、省エネと
いう事ですね……。
「でも……」
と、言いかけたところで安心の説明が返ってくる。
「斜面を降りきるまでの間なので、
形状維持には問題ありません」
過去の嫌な記憶は再現されないようだ。
では、降りますかね、と
航は後ろ向きになり、足元を覗きながら、ゆっくりと急斜面を
降りて行った。
乾いた土がボロボロと斜面を転がっていく。
「この土、粘土にできたりしないかな?」
「表面は乾いていますが、ほとんどが腐葉土ですので難しいですね」
ベニー監督の難しいは、「出来るけど高度な技術
を必要としますよ?」の意味だ。
少しずつだがコミュニケーションの解像度が
上がってきている。
おじさんだって学ぶんだ。
土なら何でもよいわけじゃないんだな。
と、子供の頃の記憶の中の油粘土やら、動画で
見た、赤い土やら、白っぽいのやら
いろいろな土を思い浮かべる。
粘土か……。
崩れやすい地面を、根の足場を利用しながら
ゆっくりと、滑り降りていく。
余計な事を考えていたせいか、
手が抜ける、体勢を崩す。
滑りそうになる。
そんな事を繰り返しながら、ゆっくりと
しかし確実に、足場を気にしながら降りてゆく。
土を浴び、全身土埃まみれになりながら、
背中には薪に使うための木を括り付け、
土壁にへばりついて頑張っている。
残りどれくらいだっただろうか、
下を確認しようとしたところで、ものの見事に
足が抜け、手で自重を支えられず、大の字
状態で下まで滑り落ちていった。
ドンっと
柔らかい地面に着地した勢いのまま、
背負っていた荷物の重みに耐えきれず
後ろへ転がってゆく。
勢いを止めようと、両足を突っ張ったが
勢いを抑えきれずに、うつ伏せ状態で、
そのまま滑っていく。
滑りながら、こんな状況昔あったなと思い出す。
過去に自動二輪車でのツーリング中に
山道で砂利を踏んでしまい転倒。
アスファルトの上を転がり、勢いのまま滑り、
踏ん張ろうとして、奇跡的に物理現象が噛み合い、
見事なまでに、中腰のまま立ち上がり、数メートル後ろ向きで
滑り続けた時の事故の記憶が蘇る。
バトル漫画で攻撃を受けて吹っ飛ばされて
後ろに立ったまま滑っていく
そんな、映像が被った。
あの時も、現実でこんな事って本当にあるんだな、
なんて考えてたっけ……と。
悠長にしている場合ではないが、どうにもできない。
ベニー監督の指示があるまで、まな板の鯉として、
とりあえず地面にかじりついて、勢いが止まるのを
待つのみ。
天命を待つ以外に成す術のない状況に、半ば諦め
ていた。
滑っていると、地面の中の石や根や枯れた木や
いろいろな何かが、腹の下を通り、
通る度に、グッ、ガッ、ゲッと、何とも言えない
声を発していた。
流石にそろそろ止まってくれ。
そう願った矢先、唐突にそれは訪れた。
ガッという衝撃と共に……。
衝撃と同時に頭の後ろにも痛みが走る。
ゴスッという鈍い音と共に、滑り台は止まった。
何かに挟まって止まったようだった。
「痛たたた」
頭をさすりつつ、横を見るがよく見えない。
手足をばたつかせながら、徐々に上へと
這い出していく。
もがいてもがいて、なんとか体の自由が効いた
ところで、振り返ると大きな木のうねりのような
輪っかの間に滑り込んだ様子だった。
「状態チェック完了しました」
「身体に生存に関わる損傷はありません。
頭部内に、重大なダメージはありません。
頭皮下に内出血が認められますが、
許容範囲、現状維持で問題ないと判断します」
「しかしながら、私のシミュレート結果に誤差が
出てしまった事はお詫びしなければなりません」
滑り落ちた事かな?と思い。
結果として、無事だったのだからと。
「あれは、予期せぬ出来事で、こうして無事
だった訳だし、お詫びなんていらないでしょ?」
「いえ、滑落はシミュレートの範囲内でしたが、
そこに至るまでに誤差が生じました」
ああ、なるほどね、きっともっと手前で止まる
想定だったんだろうな、と。
「何度も言うけど……」
「想定以上に持ちこたえました
負荷強度を上方修正します」
落ちるのは想定内だったと?
それよりもだ、負荷強度を上方へ修正
という事は……。
不穏どころの話ではないぞ?
「いやいやいやいやいや」
全力で反論する。
「それは勘弁してほしい。
生存確率を上げ、生存期間を少しでも長く
は、分かるが負荷の強度をというのはダメだ」
「人には余力というものが必要で……」
必死にベニーを説得し、条件保留で手を打つ。
負荷強度を上げるとかいう、無茶な筋トレは
論外です。
無茶な指示を留めたという安心感と
無事、今の危機を乗り切った達成感を感じながら
深呼吸をし、体中についた土を払っていった。
ポケットの中が土だらけだが、今はそのままでいいか。
少し頭をのぞかせている、小さなキノコの頭をそっと
撫でるのだった。
土を払い終え、荷物を背負いなおし、
落とした木はどこかと周囲を見る。
ふと、自分を助けてくれた倒木に気が付く。
お礼を言わないとな。
お礼を伝える為に手で撫でようとして
異様な光景に目を疑う。
巨大な木が横たわっていたのだった。
大きいな……。
たどっていくとほどなく巨大な根が
目に入る。
「こんな大きくてしっかり張った根の木が
倒れる事もあるんだな」
根を覗き込みながら、独白する。
もう少し見てみるか、と足を進めると、
「うぉ」
足の片方が急に沈んだ。
咄嗟に手を伸ばし根を掴んで
沈まないように踏ん張る。
「穴……?」
みると大きく窪んでいるのが見えた。
「落ちたら上がるの大変そうだな」
窪みを覗くと、層に分かれた色違いの
土が見えた。
「どうやら、倒れた原因は、土の中の
粘土層が深く根を張るのを阻害していた
為ですね」
そうなのか、と感心しつつ。
粘土層、という言葉が気にかかる。
「粘土層という事は?」
と、ベニー監督へ問いかける。
「粘土の層です」
と、返ってくる。
「持って帰りましょう」
さらに追撃が来る。
「いや、荷物が……」
「負荷強度……」
「よし、サンプルに少し持って帰ろう!」
監督には逆らえない航であった。
後書き
最後までお読みいただきありがとうございます。
山下り編が一話で収まらず、次回へとつづく
形になりました。
過去の回想はふざけた訳ではなく、良い案が浮かばず
苦肉の策で作者の過去の体験を描写しましたので
不自然かもしれませんが、ご了承くださいませ。
楽しんで頂けましたら幸いです。
それでは次回またお会いしましょう。
お気にいりやいいね頂けると励みになります。
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