ephemeral house -エフェメラルハウス-

れあちあ

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結局言われた通りに支度を済ませ、少しだけ待ってると外からいつものバイクの音が聞こえた。

その音を合図に、家を出て下に降りてくとわざわざヘルメットを外して、バイクから降り、私に駆け寄ってくるいつものアイツがいた。

「おまたせゆいちゃん。」

「触んな」

折角整えた髪の毛を、まぁ崩さないように優しくではあるけどわしゃわしゃっと撫でてくるセナの手をぶっきらぼうに払うと「怒んないでよ~」とおどけて言ってくるセナ。

何だかその姿に変な安心感があり、さっきまで抱えていた空虚な気持ちは飛んでいく。

「レンももう向かってるって言ってたからちょっと急ごっか。」

レンも呼んだんだ。

何だかんだやっぱりこの4人が安定で、自分で言うのも何だけどカイト達には混ざりきれないような、そんな私たちだけの関係がある。

初めて会った時から、近いのか遠いのか分からない変な距離感ではあるけど、会う度にその1回が濃い思い出を残す私たちは、きっと特別な関係なんだろうって最近実感する。

あの時から変わらず、私の中で安心感をくれるこのタンデムシートに跨り、セナに身体を寄せ、急いでいるせいかいつもより少し粗めな走り方をするセナに、振り落とされないようにただしがみついて、目的地のあの海に向かった。



駐車場に着き、相変わらずバイクから降りるや否やタバコに火をつけるセナと2人で、自然と歩幅を合わせいつもの階段に向かう私たちより先にそこで待っていた2人が、仲睦まじく迎えてくれ、いつものように階段に腰をかけ、相変わらず寂しそうに波の音を立てる"私たちの海"を眺めながら談笑をしていると、レンがみんなを代表してこの不思議ちゃんに尋ねた。

「てかさ、いきなり呼びつけてどうしたん。なんかあった?」

それまで電話で喋ってた私達もあまり状況を把握してないんだから、そりゃレンはもっと不思議に思うよね。

「ん?あー、そうだったね。真面目な話今からするからお前らも真面目な顔して聞いて。ちなみにゆいちゃんと結婚する話ではないよ。」

何ともふざけた切り出し方をするセナを横目に、全員が真剣な面持ちで望むと、それまでヘラヘラしてたセナが少し真面目な顔になり、そして…。

「3人ともさ、迷惑じゃなければ何だけどね。おれ、学校辞めた頃からずっと考えてたことがあってさ。これは誰か1人でも反対だったら無かったことにして欲しいんだけど。」

伝わる。セナが緊張してるのが嫌ってほど伝わる。
何を言われるのか、私までドキドキするし、もし私にとって嫌な事だったらどうしようと考えてしまう。それが怖くて今日は行きたくなかった。でも、こんなに真剣に自分の考えを言おうとしてくれてるんだ。

少し言うのを躊躇っていたセナが口を開いた。








「おれらさ、4人で一緒に東京住まない?」






一瞬、頭の中が真っ白になったのがわかった。

期待と不安と、現実的で非現実的な、確実に私たちの人生を動かすセナの提案に、全員が息をするのを忘れてそんな提案をしたセナを注視していた。

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