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4-177.ナゼか増える
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『黒煙』はしばらくこの町に滞在することになったらしく暇さえあればうちにやって来る
ちび達も新しい遊び相手ができて嬉しそうで何よりなんだが…
「なんでこんなことに?」
俺もレティも何度も首をかしげることになった
『黒煙』が来てから数日ごとに冒険者が家にやってくる
しかもすべてSランク以上
そのすべてがしばらく町にとどまるという
一体何が起こってるのかさっぱりわからない
ルークの話ではギルドが大変なことになっているらしい
そりゃそうだろう
普段Aランクパーティーですらこの町に滞在することは少ないのにSランクパーティーが複数滞在中なんだから
中には普段人と関わろうとしないと言われるパーティーまでいるのに、そのパーティーですらうちに顔を出す
「お前らとの顔つなぎの意味もある」
そろそろ生まれそうだという頃にカルムさんが言った
「顔つなぎ?でもそれだけで長期滞在はないよな?」
「もう一つの理由はその腹の中の子だ」
カルムさんは俺の膝を枕にして眠るレティを見る
「え…っと?」
どういう意味かしばらく考えてみたものの答えは出ない
「レイとサラサの心配症が発動中だ」
「父さんたちの?」
「ああ。龍神族の、しかも人族から種族変化した規格外のお前の子だ。何があるかわからないだろ?」
「それは…まぁ」
そこが俺たちも一番不安な部分でもある
「だから、何があっても少しでも対処できるようにあいつらが呼び寄せた。報酬はサラサの料理だ」
「は?」
高ランクが滞在してるのは父さんたちの依頼のようなものってことか?
そういえば母さんとナターシャさんはちょくちょく町に出かけていたような…
それが料理の関係なんだろうか?
「高ランクには大概回復専門が入ってる。それに多少荒事があっても大抵対応できる」
確かにロイさんのようにかなりレベルの高い回復系魔法を使える人がいた気がする
荒事ってのは…生まれた瞬間から龍化する可能性もあるってことだろうか?
「…龍が絡んでると?」
「可能性はあるだろ?」
ここでないと言い切れないのが悲しいな…
なんせレティの子というだけならともかく、俺の血を引く子だ
自分に起きてきたことを考えれば本当に何が起きてもおかしくはない
「そんな理由でよく応じてくれたな?」
「あいつらなら応じるさ。サラサの料理もあるがお前たちに会いたがっていたからな」
「俺たち?」
「前のスタンピードの時にお前とルーク、シャノンには会ってるんだよ。その頃から先が楽しみだと言い続けてるくらいだ。それが冒険者になったと聞いて連絡してくる奴らもいたな」
「そうなのか?」
「今回の話を持って行ったときにお前達との合同依頼を条件にしようとしたやつもいるくらいだからな」
まじか…
それはマジでうれしい
「さすがにそれを俺たちが確約することは出来ないから自分で交渉しろと言ってある。覚悟しとけよ?」
「え…」
「まぁ出産が終わってからにしてくれとは言ってあるけどな」
「え?ってことはみんな出産後も町にいるってことか?」
それは大丈夫なんだろうか?
「ギルマスもキアナも喜んでるぞ?ギルドの食堂は時々サラサの食堂と化してるし、手の空いてる奴らが講習をしてくれることもあるらしい」
それは参加者が殺到するやつでは?
「ちゃっかり有料で実施中だ。新人講習は無料らしいがな」
「さすがキアナさん。ひょっとしてルークたちも受けてる?」
「いくつかは受けてるな。殺到したのは抽選になるらしいからそこは運次第だ」
高ランクにつられて町に来ている冒険者がやたらといるとぼやいてたのはそのせいか
てっきり依頼がなくなるからだと思ってたけど違ったようだ
ちび達も新しい遊び相手ができて嬉しそうで何よりなんだが…
「なんでこんなことに?」
俺もレティも何度も首をかしげることになった
『黒煙』が来てから数日ごとに冒険者が家にやってくる
しかもすべてSランク以上
そのすべてがしばらく町にとどまるという
一体何が起こってるのかさっぱりわからない
ルークの話ではギルドが大変なことになっているらしい
そりゃそうだろう
普段Aランクパーティーですらこの町に滞在することは少ないのにSランクパーティーが複数滞在中なんだから
中には普段人と関わろうとしないと言われるパーティーまでいるのに、そのパーティーですらうちに顔を出す
「お前らとの顔つなぎの意味もある」
そろそろ生まれそうだという頃にカルムさんが言った
「顔つなぎ?でもそれだけで長期滞在はないよな?」
「もう一つの理由はその腹の中の子だ」
カルムさんは俺の膝を枕にして眠るレティを見る
「え…っと?」
どういう意味かしばらく考えてみたものの答えは出ない
「レイとサラサの心配症が発動中だ」
「父さんたちの?」
「ああ。龍神族の、しかも人族から種族変化した規格外のお前の子だ。何があるかわからないだろ?」
「それは…まぁ」
そこが俺たちも一番不安な部分でもある
「だから、何があっても少しでも対処できるようにあいつらが呼び寄せた。報酬はサラサの料理だ」
「は?」
高ランクが滞在してるのは父さんたちの依頼のようなものってことか?
そういえば母さんとナターシャさんはちょくちょく町に出かけていたような…
それが料理の関係なんだろうか?
「高ランクには大概回復専門が入ってる。それに多少荒事があっても大抵対応できる」
確かにロイさんのようにかなりレベルの高い回復系魔法を使える人がいた気がする
荒事ってのは…生まれた瞬間から龍化する可能性もあるってことだろうか?
「…龍が絡んでると?」
「可能性はあるだろ?」
ここでないと言い切れないのが悲しいな…
なんせレティの子というだけならともかく、俺の血を引く子だ
自分に起きてきたことを考えれば本当に何が起きてもおかしくはない
「そんな理由でよく応じてくれたな?」
「あいつらなら応じるさ。サラサの料理もあるがお前たちに会いたがっていたからな」
「俺たち?」
「前のスタンピードの時にお前とルーク、シャノンには会ってるんだよ。その頃から先が楽しみだと言い続けてるくらいだ。それが冒険者になったと聞いて連絡してくる奴らもいたな」
「そうなのか?」
「今回の話を持って行ったときにお前達との合同依頼を条件にしようとしたやつもいるくらいだからな」
まじか…
それはマジでうれしい
「さすがにそれを俺たちが確約することは出来ないから自分で交渉しろと言ってある。覚悟しとけよ?」
「え…」
「まぁ出産が終わってからにしてくれとは言ってあるけどな」
「え?ってことはみんな出産後も町にいるってことか?」
それは大丈夫なんだろうか?
「ギルマスもキアナも喜んでるぞ?ギルドの食堂は時々サラサの食堂と化してるし、手の空いてる奴らが講習をしてくれることもあるらしい」
それは参加者が殺到するやつでは?
「ちゃっかり有料で実施中だ。新人講習は無料らしいがな」
「さすがキアナさん。ひょっとしてルークたちも受けてる?」
「いくつかは受けてるな。殺到したのは抽選になるらしいからそこは運次第だ」
高ランクにつられて町に来ている冒険者がやたらといるとぼやいてたのはそのせいか
てっきり依頼がなくなるからだと思ってたけど違ったようだ
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