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71.屑
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「旦那様お連れしました」
「通してくれ」
中からの返事を待って扉が開かれた
「わざわざ来てもらってすまない」
ローガンはそう言いながらソファの向かいの席を勧めてきた
「手短に」
それだけ言ってソファに座る
不満そうな表情を浮かべたローガンに文句があるなら部屋に戻ると伝えると慌てて態度を変えた
「まずは改めて謝罪させてもらいたい。娘が…ブリーナが申し訳なかった」
「…」
俺は無言のままローガンを見据える
悪いのは娘だけじゃなく、それを止められないあんたもだと言いたい
「それで…これは一つの頼みなんだが…」
「…」
「娘と婚約してはもらえないだろうか?」
その言葉に俺は沈黙で返す
「商人という仕事柄、君達の望むものを手に入れる力は他よりも秀でている。金でも宝石でもいくらでも用意させてもらう。だからどうか…」
ローガンはテーブルにこすりつけるように頭を下げた
「あの子は言い出したら周りの意見を聞かない。私にはもう抑えることは出来ない」
現に今もどこかの部屋で暴れているのが聞こえて来る
「…だから俺に押し付けると?親の言葉さえ聞けない不良品を?」
「ふ…不良品とは失礼な!」
ローガンが声を荒げた
「失礼?あの様子を見ていてどっちが失礼か判断も出来ないのか?あんな女を喜んで婚約者に迎えるほどお人好しに見えたか?」
「決してそういうわけでは…」
「じゃぁどういうわけだ?さっき俺は言ったはずだ。あの女のようなわがままで空気の読めない女が一番嫌いだと」
「…」
「そもそもただの客としてのもてなし以外はお断りだと最初に伝えてるはずだろう?貴族や商人のこういう振る舞いが嫌だから釘を刺してたことすらわからないか?」
「それは…!」
「どうせ腕利きの冒険者を言いくるめて取り込もうとしたんだろうけど、俺らにも選ぶ権利ってもんがあるんだよ」
「何だと?」
ローガンの顔が歪んだ
下手に出たり怒り狂ったり随分と忙しそうだ
「それにあんたが用意できる金なんて俺にとったらはした金だ」
「な…?!下手に出てればこのガキ…!」
怒鳴ろうとしたローガンを睨みつける
苛立ちからちょっと威圧してしまったのは仕方ないということにしておこう
「気に食わなかったら恫喝か?それ、人としてどうなんだ?不良品を押し付けようとして思うとおりに運ばなければ怒り狂う…同じ冒険者にはそう紹介するとしよう」
「待ってくれ!今のは…」
「一度吐いた言葉を取り消すのか?商人であるあんたが?」
「!」
信用が何よりも重視される商人にあるまじきことだと言外に突き付ける
「もうあんたと話すことは無い。この時間からじゃ宿は取れないから泊めては貰う。でも朝一で出て行かせてもらう」
俺は掃き捨てる様に言って部屋に戻った
「どーだった?」
「あの女と婚約してくれと」
「「はぁ?」」
まぁ、そう反応するよな
「あんな不良品誰が好き好んで婚約するかっての…」
「あれは酷いもんなぁ…典型的な甘やかされたろくでなし。親まで屑となると最悪だなぁ…」
「うん。あれは無理。義理でもあんな姉、絶対嫌だわ」
2人もそうとうストレスがたまってたか?
まぁあの態度にあの食事なら当然と言えば当然かもしれないが…
「とりあえず、いつでも出られるように準備だけしといてくれ」
「了解~じゃぁ今のうちに少しでも休んどいた方がよさそうだね」
「ああ」
テーブルの上にあった料理は既に食べつくされている
さらに食器類は洗浄して積み重ねられていた
俺はそれをインベントリにしまう
それを見て2人は自分たちの部屋に戻って行った
「通してくれ」
中からの返事を待って扉が開かれた
「わざわざ来てもらってすまない」
ローガンはそう言いながらソファの向かいの席を勧めてきた
「手短に」
それだけ言ってソファに座る
不満そうな表情を浮かべたローガンに文句があるなら部屋に戻ると伝えると慌てて態度を変えた
「まずは改めて謝罪させてもらいたい。娘が…ブリーナが申し訳なかった」
「…」
俺は無言のままローガンを見据える
悪いのは娘だけじゃなく、それを止められないあんたもだと言いたい
「それで…これは一つの頼みなんだが…」
「…」
「娘と婚約してはもらえないだろうか?」
その言葉に俺は沈黙で返す
「商人という仕事柄、君達の望むものを手に入れる力は他よりも秀でている。金でも宝石でもいくらでも用意させてもらう。だからどうか…」
ローガンはテーブルにこすりつけるように頭を下げた
「あの子は言い出したら周りの意見を聞かない。私にはもう抑えることは出来ない」
現に今もどこかの部屋で暴れているのが聞こえて来る
「…だから俺に押し付けると?親の言葉さえ聞けない不良品を?」
「ふ…不良品とは失礼な!」
ローガンが声を荒げた
「失礼?あの様子を見ていてどっちが失礼か判断も出来ないのか?あんな女を喜んで婚約者に迎えるほどお人好しに見えたか?」
「決してそういうわけでは…」
「じゃぁどういうわけだ?さっき俺は言ったはずだ。あの女のようなわがままで空気の読めない女が一番嫌いだと」
「…」
「そもそもただの客としてのもてなし以外はお断りだと最初に伝えてるはずだろう?貴族や商人のこういう振る舞いが嫌だから釘を刺してたことすらわからないか?」
「それは…!」
「どうせ腕利きの冒険者を言いくるめて取り込もうとしたんだろうけど、俺らにも選ぶ権利ってもんがあるんだよ」
「何だと?」
ローガンの顔が歪んだ
下手に出たり怒り狂ったり随分と忙しそうだ
「それにあんたが用意できる金なんて俺にとったらはした金だ」
「な…?!下手に出てればこのガキ…!」
怒鳴ろうとしたローガンを睨みつける
苛立ちからちょっと威圧してしまったのは仕方ないということにしておこう
「気に食わなかったら恫喝か?それ、人としてどうなんだ?不良品を押し付けようとして思うとおりに運ばなければ怒り狂う…同じ冒険者にはそう紹介するとしよう」
「待ってくれ!今のは…」
「一度吐いた言葉を取り消すのか?商人であるあんたが?」
「!」
信用が何よりも重視される商人にあるまじきことだと言外に突き付ける
「もうあんたと話すことは無い。この時間からじゃ宿は取れないから泊めては貰う。でも朝一で出て行かせてもらう」
俺は掃き捨てる様に言って部屋に戻った
「どーだった?」
「あの女と婚約してくれと」
「「はぁ?」」
まぁ、そう反応するよな
「あんな不良品誰が好き好んで婚約するかっての…」
「あれは酷いもんなぁ…典型的な甘やかされたろくでなし。親まで屑となると最悪だなぁ…」
「うん。あれは無理。義理でもあんな姉、絶対嫌だわ」
2人もそうとうストレスがたまってたか?
まぁあの態度にあの食事なら当然と言えば当然かもしれないが…
「とりあえず、いつでも出られるように準備だけしといてくれ」
「了解~じゃぁ今のうちに少しでも休んどいた方がよさそうだね」
「ああ」
テーブルの上にあった料理は既に食べつくされている
さらに食器類は洗浄して積み重ねられていた
俺はそれをインベントリにしまう
それを見て2人は自分たちの部屋に戻って行った
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