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93.こっちが恥ずかしい
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「ただいま~」
カフェを出た後、俺達は商会で買い物をしてから帰ってきた
家に帰ってからリビングに顔を出すのは母さんから刷り込まれた躾のたまものだと思う
反抗期…のような時期に顔を出さずに自分の部屋に直行したら、引き摺ってリビング連れて行かれた…なんて記憶も今となっては懐かしい
リビングに居たのは母さんとナターシャさん、そしてメリッサさんの3人だ
「お帰りなさい…あら?」
「どうかした…え?」
「まぁ…」
3人共が顔を上げてこっちを向いた瞬間固まった
「は?」
その理由が分からず首をかしげているとレティが身じろぎをした
まずい…
俺はレティの肩を抱き寄せたままなのを完全に忘れていたらしい
「まずった…」
ぼそりと呟いた俺の言葉にレティが苦笑する
それを見て母さんたちが笑い出す
「やっとけじめつけたのね」
「やっとって…」
「やっとでしょう?周りは皆気付いてるのにうだうだと…」
ナターシャさんの呆れたような言い方に返す言葉もない
だからってうだうだとってちょっと酷くないか?
「本当にそういうところはレイとそっくりね」
「父さんと?」
「そうよ。レイも自覚した途端人が変わっちゃったからね~」
「人が変わる?」
「レティシアナちゃん」
「はい!」
母さんに名前を呼ばれたレティが背筋をのばす
「シアをお願いね」
「は、はい…」
「この子、何でもかんでも自分で抱え込んじゃうから気を付けてやって。それと…」
「それと…?」
「自覚しちゃったから始まると思うのよ」
「始まる?」
レティが混乱したように俺を見るけど、母さんが一体何が言いたいのか俺にもわからない
「溺愛と執着よ」
「「!」」
俺達は同時に息を飲んだ
でもきっと理由は違うんだろうな…
マジで勘弁してほしい
「抱きつぶされて困ってる時は相談に乗るわよ」
「え…っと…」
「レイとサラサちゃんの血、しっかり継いでるからね。聞いたことない?高ランク冒険者程…って」
「あ…高ランクの冒険者程、絶倫…?」
レティはつぶやいて顔を真っ赤に染めた
ちょっと待ってくれ…
「そうそれ。魔力高いと余計辛いらしいのよね。シアの魔力は…ね?」
「ね?じゃねぇよ…」
「何照れてるのよ?普通のことなんだから恥ずかしいことでも何でもないでしょうに」
呆れたように言う母さんに驚いた
「サラサちゃんも変わったわよね?」
「え?」
「昔はシアと同じような反応してたじゃない?」
「そうだっけ?」
「そうだったわよ。私とメリッサが話してる時でもサラサちゃん真っ赤になって可愛かったもの」
「…聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど?」
何が嬉しくて母さんのそういう話を聞かなければならないんだ?
「そんな時代もあったかもしれないわね。それはそうと、あなた達の部屋の間の壁はどうする?」
「は?」
「すぐ取り外せるのよ。あれ」
「何言って…」
それ親から進める話なのか?
いや、この世界の常識から考えれば普通なのかもしれないけど…
「まぁ外し方は後で教えるわね。あと、シアにこれを渡しておくわ」
母さんは俺達の動揺をものともせずに魔道具を押し付けてきた
「これは?」
「左が遮音効果発動。右が解除ね」
「遮音って…!」
「それは大事よ~?この家は小さい子も多いんだから当然でしょう?」
「当然でしょう?じゃなくて…!」
俺が困惑しながらも言い返しているとレティが突然笑いだした
「…レティ?」
「ごめんなさい…でもシアがいいようにからかわれてるのが可笑しくて…」
「レティ…」
レティの言葉に脱力した
「そういうシアも初めて見るわね」
そう言ったのはメリッサさんだ
初めてって…ほんと勘弁してくれ
「まぁ冗談はさておき、シアもレティシアナちゃんも成人してるから2人の間のことにとやかく言う気はないわ。その代わり何が起きてもちゃんと自分たちで責任取りなさいよ?」
「分かってる」
「はい」
俺達は同時に頷いた
「ならよし。シアに大切に思う相手が出来て、その相手がレティシアナちゃんだってことは私達もとても嬉しいわ。だから今日はお祝いよ」
「そうね。ご馳走いっぱい作りましょうね」
「あ、メリッサはゆっくりしてなさいよ?いつ生まれてもおかしくないんだから」
自分もと言おうとしたメリッサさんにナターシャさんが釘をさした
いや、どう考えても動けないだろ?
それでも動こうとするその気持ちは嬉しいけどさ
ただその祝と言う名の場で、色々と恥ずかしい思いをする羽目になったのは言うまでもない
カフェを出た後、俺達は商会で買い物をしてから帰ってきた
家に帰ってからリビングに顔を出すのは母さんから刷り込まれた躾のたまものだと思う
反抗期…のような時期に顔を出さずに自分の部屋に直行したら、引き摺ってリビング連れて行かれた…なんて記憶も今となっては懐かしい
リビングに居たのは母さんとナターシャさん、そしてメリッサさんの3人だ
「お帰りなさい…あら?」
「どうかした…え?」
「まぁ…」
3人共が顔を上げてこっちを向いた瞬間固まった
「は?」
その理由が分からず首をかしげているとレティが身じろぎをした
まずい…
俺はレティの肩を抱き寄せたままなのを完全に忘れていたらしい
「まずった…」
ぼそりと呟いた俺の言葉にレティが苦笑する
それを見て母さんたちが笑い出す
「やっとけじめつけたのね」
「やっとって…」
「やっとでしょう?周りは皆気付いてるのにうだうだと…」
ナターシャさんの呆れたような言い方に返す言葉もない
だからってうだうだとってちょっと酷くないか?
「本当にそういうところはレイとそっくりね」
「父さんと?」
「そうよ。レイも自覚した途端人が変わっちゃったからね~」
「人が変わる?」
「レティシアナちゃん」
「はい!」
母さんに名前を呼ばれたレティが背筋をのばす
「シアをお願いね」
「は、はい…」
「この子、何でもかんでも自分で抱え込んじゃうから気を付けてやって。それと…」
「それと…?」
「自覚しちゃったから始まると思うのよ」
「始まる?」
レティが混乱したように俺を見るけど、母さんが一体何が言いたいのか俺にもわからない
「溺愛と執着よ」
「「!」」
俺達は同時に息を飲んだ
でもきっと理由は違うんだろうな…
マジで勘弁してほしい
「抱きつぶされて困ってる時は相談に乗るわよ」
「え…っと…」
「レイとサラサちゃんの血、しっかり継いでるからね。聞いたことない?高ランク冒険者程…って」
「あ…高ランクの冒険者程、絶倫…?」
レティはつぶやいて顔を真っ赤に染めた
ちょっと待ってくれ…
「そうそれ。魔力高いと余計辛いらしいのよね。シアの魔力は…ね?」
「ね?じゃねぇよ…」
「何照れてるのよ?普通のことなんだから恥ずかしいことでも何でもないでしょうに」
呆れたように言う母さんに驚いた
「サラサちゃんも変わったわよね?」
「え?」
「昔はシアと同じような反応してたじゃない?」
「そうだっけ?」
「そうだったわよ。私とメリッサが話してる時でもサラサちゃん真っ赤になって可愛かったもの」
「…聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど?」
何が嬉しくて母さんのそういう話を聞かなければならないんだ?
「そんな時代もあったかもしれないわね。それはそうと、あなた達の部屋の間の壁はどうする?」
「は?」
「すぐ取り外せるのよ。あれ」
「何言って…」
それ親から進める話なのか?
いや、この世界の常識から考えれば普通なのかもしれないけど…
「まぁ外し方は後で教えるわね。あと、シアにこれを渡しておくわ」
母さんは俺達の動揺をものともせずに魔道具を押し付けてきた
「これは?」
「左が遮音効果発動。右が解除ね」
「遮音って…!」
「それは大事よ~?この家は小さい子も多いんだから当然でしょう?」
「当然でしょう?じゃなくて…!」
俺が困惑しながらも言い返しているとレティが突然笑いだした
「…レティ?」
「ごめんなさい…でもシアがいいようにからかわれてるのが可笑しくて…」
「レティ…」
レティの言葉に脱力した
「そういうシアも初めて見るわね」
そう言ったのはメリッサさんだ
初めてって…ほんと勘弁してくれ
「まぁ冗談はさておき、シアもレティシアナちゃんも成人してるから2人の間のことにとやかく言う気はないわ。その代わり何が起きてもちゃんと自分たちで責任取りなさいよ?」
「分かってる」
「はい」
俺達は同時に頷いた
「ならよし。シアに大切に思う相手が出来て、その相手がレティシアナちゃんだってことは私達もとても嬉しいわ。だから今日はお祝いよ」
「そうね。ご馳走いっぱい作りましょうね」
「あ、メリッサはゆっくりしてなさいよ?いつ生まれてもおかしくないんだから」
自分もと言おうとしたメリッサさんにナターシャさんが釘をさした
いや、どう考えても動けないだろ?
それでも動こうとするその気持ちは嬉しいけどさ
ただその祝と言う名の場で、色々と恥ずかしい思いをする羽目になったのは言うまでもない
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