チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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4-146.救出したそのあとに

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「シア!」
「遅かったか…」
父さんとカルムさん、そしてコーラルさんが母さんと共にいた
多分、母さんの転移で来たんだろうけどまるっと無視させてもらう

「頼む…命だけは助けてくれ…!」
男が縋る様に訴えて来る
「レティが嫌がってあんたはやめたのか?」
「それは…」
「ならあんたの頼みを聞く必要はないよな?」
「シア!」
母さんが止めようと俺の名前を口にする

『フル―フ』
唱えた瞬間男と屋敷にいた全ての人間を黒い粒子が包み込み、一部は体内に、残りは四方八方に散っていく
「一体何を…」
「殺すなんて楽な方法とるはずがないだろう?未来永劫苦しめばいいんだ」
「な…」
「お前らとお前らにつながっていた奴ら、その子孫が性行為をしようとすればレティが感じた恐怖や嫌悪感、苦痛を感じるようにした。お前がしたことを、お前らが見て見ぬ振りしたことが、どれだけの苦痛か身をもって知ればいい」
こんな奴らの血なんていっそ絶えてしまえばいい

「あと、今後ここにいる全員の5親等内の血縁から、一人でも俺の関係者に余計な行動を取れば、その瞬間に全員の足が砕けるから」
まぁ、俺たちへの敵意の濃さでその程度は変わるけど
流石に血のつながりも薄く何もわかっていない子供の足を砕く気はない
「5親等内の血縁って…どれだけの規模になるのか…」
コーラルさんが呟いた

婚姻を繰り返し薄まっているとしても相当な規模になる
中には平民になった者もいるだろう
見知らぬ誰かの取った行動である日突然足が砕けるかもしれない恐怖におびえて暮らせばいい
使用人たちから悲鳴が上がる
「何で俺達まで…」
「主を止めなかったなら連帯責任だろう?レティがこの屋敷に連れてこられたのを知らなかったとは言わせない。こんなことが初めてだとも言わせない」
こいつらは見なかったふりをして口をつぐむことで普通より多くの金を手にしてるはずだ
そんなやつに手加減する必要を感じない

「…もう、いいだろう?」
父さんがレティごと俺を抱きしめた
冷え切っていた心が少しずつ温もりを取り戻す
「皆殺しのような事態にならなくてよかったよ」
コーラルさんが呟くように言った
きっと父さん達も同じように思っていたんだろう
明らかにホッとしたのが見て取れる
「ごめん」
「いや。伝えてなかった俺達が悪い。お前にあの屑を生かすだけの理性があってよかった」
レティが襲われていたなら止められなかったかもしれないとはあえて口にしなかった
きっと言わなくても気付いてはいるだろうけど…

コーラルさんはこの町の騎士団に既に連絡を入れていたらしく、屋敷だった場所にかなりの騎士が駆けつけてきた
リトスに結界を解除してもらうと、更地になったのを目の当たりにして、半ば呆然としながら男と使用人を連行していった
屋敷の周りには野次馬が大勢集まっていた
おそらく奴らからかなりの勢いで噂が流れていくんだろう
俺としてはそれで近づいてくる馬鹿が減るならそれでいい
しがみつくレティを再び抱き上げて、こんなことは二度とごめんだと心底思った
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