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2.旦那様とのご対面

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「あなたが本当に呪われていて、世間の言う恐ろしい対象だとしたら…ご家族からこんなに愛されているとは思いません。だから私も少しでもいい関係を築けたらいいと思います」
「!!」
アリシャナはこの時初めてエイドリアンの表情が変わるのを見た

「…ごめんアリシャナ」
「テオ?」
「俺酷いこと言った」
テオは本当に申し訳なさそうに言う
「テオの言うことも理解できます。だから気にしないで」
「ありがと。これからよろしく。姉さん」
照れ臭そうに笑いながらテオは言う

「キミを歓迎するよ。アリシャナ」
「私たちの事をそんな風に見てくれた人は初めてだわ。あなたのような娘が出来て嬉しいわ」
バックスとオードリーは嬉しそうな笑みを見せた
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
そう返したアリシャナの目から涙が零れ落ちた

「おい?」
「ごめ…なさ…居ることを肯定してもらったのは初めてで…」
アリシャナの言葉に4人は顔を見合わせる
突然の婚姻とは言え1人で来たアリシャナが、羨ましいと寂しそうに笑いながら告げた意味に気付くのに時間はかからなかった

「…部屋に連れていく」
「あ、あぁそうだな」
立ち上がったエイドリアンはアリシャナを抱き上げた
「え?」
「落ちたくなければおとなしくしてろ」
すかさずかけられた言葉に固まった
「荷物、俺が持って行くよ」
テオが側にあったバッグを手に持った
「助かる」
エイドリアンはそれだけ言って応接室を後にした

自室に入りテオが荷物を置いて出て行くのを確認してからアリシャナをベッドに座らせた
「エイドリアン様?」
「…リアン」
「え?」
「リアンでいい。両親が気に入っている愛称の一つだ」
「…リアン様…」
呟くように呼ぶのを聞いてエイドリアンはアリシャナの隣に腰かけた

「泣いたりして…」
「かまわない。俺は人を避けてきたから他人の気持ちを推し量ることは苦手だ。他人に心を開くことも難しいだろう。ただ、お前がちゃんと向き合おうとしてくれてるのは理解した」
「…はい」
「嫁になってくれた以上何があっても守る。だからこれから先お前ひとりで抱え込んで苦しんだり泣いたりするのだけはやめてくれ」
「はい…」
アリシャナはどこか寂しそうな表情で頷いた

そんなアリシャナをエイドリアンは自分でも驚くほど自然に抱き寄せたが一瞬強張ったのに気づき手を放した
「すまない。この手じゃあれだな…」
「ちが…」
「?」
「誰かに、抱きしめられることがなかったのでびっくりしただけです。リアン様が怖いわけじゃありません」
「抱きしめられることがなかった?」
エイドリアンはそのようなことがあり得るのだろうかと首を傾げる
世間から蔑まれた自身ですら自らが拒むまで両親は嫌というほど自分を抱きしめてきたからだ
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