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10.とんでもない嫁が来た(side:マックス)
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しおりを挟む「マックス様、帝王は何と?」
「アンジェラ・ブラックストーンと婚姻が成立したそうだ」
尋ねてきた執事に笑いながらそう返す
「アンジェラ・ブラックストーンですか…」
「バートンも噂を聞いているようだな。ちなみにどの噂だ?」
「茶会、パーティー、舞踏会等出席した際には必ず『誰か』と連れ立ち逢瀬を重ねていると」
「それだけか?」
「太陽の申し子という呼び名は自ら広めたとか、自分はいずれ帝王の長男に望まれる立場にある者だとか」
「ほぅ。それは初耳だ。流石は品性のかけらもないと名高い女だ。愛妻家で名高い兄上にどう望まれるのか逆に聞いてみたいものだな」
私は呆れたように言う
「ちなみにマックス様はどの噂を?」
「逢瀬の件もだが…多少見目の良い男やもめの家に自ら赴き2~3日出てこないなんてのもあったか。いずれにしても身持ちの悪い女と纏められそうだが」
驚くことにそれらは挨拶のごとく、そこら中で交わされる会話の中にある噂だ
「父上曰くアンジェラが私の子を2人産むまでこの屋敷から出すなと」
「それは…」
バートンは意味ありげに言葉を切った
「父上も人が悪い。幼い頃の大病のせいで私に子種がないことはご存知だろうに」
「…だから、でしょうな」
「あぁ…まぁ私は絵さえかければ他はどうでも構わないし、いずれ父上の命で政略結婚することになるだろうとは思っていたが…皆には迷惑をかけることになるかもしれないな」
「それはお気になさらず」
バートンは静かに笑った
「マックス様申し訳ありません!」
「どうした?」
「アンジェラ様がマックス様を呼べと…」
駈け込んで来たメイドを見ると涙目になっていた
例のごとく暴れているのだろう
「わかった。君はしばらく休んでいなさい」
「は、はい。失礼します」
メイドは頭を下げて出て行った
「どう思う?」
私はバートンに尋ねる
「ここに来られて10日ですからね」
バートンは全ては言わずに軽く笑みをみせた
「今までチヤホヤと持て囃されていただけに屈辱か?」
「おそらくは」
「そうはいってもその相手は先を期待できない屑ばかりだろうに…」
「そのことにさえ気付いておられませんからね」
当然のように告げられるその言葉には呆れるしかない
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