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24.招待状

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手渡された封筒は権力者のそれとは感じが違っていた
「これは?」
「最初に買い物に行った宝飾品の店、覚えてるか?」
「勿論。幻影の魔術が施されていた商品をいただいたお店でしょ?あれ以来宝飾品は全てあのお店で購入してるもの」
「ああ。あの店主からの招待状だ。読んでみるといい」
そう言われてアリシャナは中の用紙を取り出した

そこに書かれていたのは、幻影の魔術が施されていた商品の元の持ち主が会いたいと言っているということ
もし同意してもらえるなら茶会をセッティングするということだった
結果的にいただいたものの購入していればかなりの値段がつくはずのものだったのだ

「あっちの山はこれまで通りそっとしておいてくれと執事から返してもらうけど、これだけはどっちにしてもきちんと返事しようと思ってる。どうするかはリーシャが決めていい」
「…会ってみたいかも。お礼もちゃんと言いたいし」
お礼も伝えたいが本当にいいのか今でもわからない
エイドリアンの色を纏う繊細なデザインのセットで、気に入ってるだけに多少の罪悪感があるのも事実だった

「わかった。じゃぁそう返しとくよ。俺も興味はあるから」
「ふふ…そこでって言うあたりがリアンだよね」
からかうように言うアリシャナに苦笑する

「勝手に言ってろ。もう少しだから先に片付けるよ」
エイドリアンは誤魔化すように言いながらアリシャナをおろす
「無理しないでね」
アリシャナはそう言ってエイドリアンに口づける
その瞬間流れてきた魔力でエイドリアンの体が軽くなる
魔力を直接流し治癒を促す
アリシャナが最近自在に操れるようになった術の一つだ

「ありがとな」
エイドリアンは口づけを返して笑みを浮かべる
相変わらずの破壊力を持った笑みにもかなり慣れたなとどこかで思いながらアリシャナは執務室を後にした

「アリシャナここにいたんだ?」
「どうかしたの?テオ」
「ちょっと勉強で分からないところがあってさ。時間あったら助けて貰おうと思って」
テオは今人間心理と呪いに関しての勉強をしている
そのアドバイスを引き受けるのも日常の出来事になりつつある

「いいわよ。サロンに行くからいつでもどうぞ」
「サンキュ」
嬉しそうに頷いて一度自室に引き上げていった
「そう言うことだからお茶は2人分お願いね」
控えていたメイドにそう言ってサロンに向かう
庭を見渡せる明るいサロンはアリシャナが気に入りよく入り浸っている
そのせいかほぼアリシャナの部屋と化していた

この日テオへのアドバイスはエイドリアンの執務が終わるまで続いた
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