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21.お父様の裁判(side:アンジェラ)

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「あなたが偉そうな態度を取れるのは今の内よ」
教師に向かってそう言った私は勝ち誇った気分だった
お父様は魔術師団長
帝王の次に強いと言われている人物だもの
こんなクソ教師の首を切るくらい簡単なはず
この女も泣いて謝ってくるはず
そう思ったのに…

「どういうことでございましょう?」
表情も変えずにそう尋ねられた
この女そんなこともわからないのかしら?
仕方がないから説明してあげるわ

「そろそろお父様とお会いするつもりなの。あの豚の事もあんたたち屑教師の事も全てお父様に訴えてやるわ。そしたらあんたたちなんて即刻首よ!」
これでどうだと意気込んで言った私を待っていたのは残念そうに私を見る女の顔だった
何で?ここは恐れるところじゃないの?

「アンジェラ様よろしいですか?」
「な…によ?」
「マックス様はこの国と帝王の血を引くお方です。アンジェラ様のお父上はその帝王の部下でしかありません」
「は?何言ってんのよ。お父様は魔術師団長なのよ?この国で一番魔力の強い…」
まって、おかしい
一番強ければ帝王を恐れる必要はないはずよね…?
それに私があの豚に嫁ぐ必要もなかったはず
え?ってことはまさか…このクソみたいな環境もお父様にもどうすることも出来ないってこと?

「ようやくお気づきになりましたか?ナイジェル様は帝王の次に強いとされているお方でしかございません。それに、私共はマックス様に雇われております。ナイジェル様に解雇する権利はございません」
なに?じゃぁ私は…
「本当にあんたたちの合格を貰えなきゃこの地獄から抜け出せないってこと?」
そうつぶやいたときだった

『本日の午後3時より先ほど捉えたナイジェル・ブラックストーンの職務放棄並びに越権行為、帝王並びにこの国に対する偽証罪について裁判を行う。申し開きのある者、身に覚えのある者は書面にまとめそれを持って出頭せよ』

「え…?」
通常の言葉とは違い頭の中に響く言葉
何なのよこれ?どういうこと?

「まぁ…帝王の宣言だなんて珍しいこと」
「帝王の宣言?」
何よそれ?

「帝王のみが持つ力の1つですよ。全国民に直接周知することが出来ると言われています。長年生きてきましたが私も過去には1度しか経験がありません」
「だから何だって言うのよ?問題はそんな事じゃなくて…」
お父様が帝王に裁判にかけられるって一体何があったの?

「帝王が裁判を決める等よほどのことがあったのでしょうね。ナイジェル様の場合あなたのこともありましたし挽回すべき時に失態を犯せば先は無いでしょうし…」
「縁起でもないこと言わないでよ…お父様に何かあったら私はどうなるのよ?!」
思わず叫んでいた

「…この期に及んでまだご自身のことしか考えられないようですね?」
心底軽蔑したような目を向けられる
「それの何が悪いのよ…私は…誰よりも幸せになるべき人間なのよ!?」
そう言いながらも私は気が狂いそうだった
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