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おまけ

教え子の成長(side:イライザ)

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私は5年前に自分の店を持った
それまでは令嬢にマナーを初めとした教育を行っていた
今朝、その頃の夢を見て思い出に浸っていたのが虫の知らせと言うものなのかしら…?

いつものように店にやって来た迄はよかった
でも裏口から入るなり何故か重い空気が流れてる
「何かあったのかしら?」
そう思いながら店舗のスペースに向かう
そして聞こえてきたのは…

「あなた方は私たちの入店を拒否なさいませんでした。であれば、私たちはあなた方にとって他の客と同じはずです。その客に対する態度として、先ほどのあなた方の態度は正しいのかとお伺いしているんです」

随分物騒な話をしてるわね?
入店拒否なんて言葉が出るような方が来られてるのかしら?
私は少し焦りを覚えながら身だしなみを整える
その間も女性の店員を問いただす言葉が聞こえてきた

「どれも正論ね。このようなお客様に一体何をしたのかしら?」
そうこぼした時、聞こえてきた名前に事態を把握した

エイドリアン、スターリング家、アンジェラ、ブラックストーン家

今、このすべてに関わるのはアリシャナ様のみ
エイドリアン様の呪いの噂が発端なのは直ぐにわかった

「何てこと...」
私は慌てて飛び出していた
謝罪を述べ深く頭を下げるものの、そんな事で許されるはずがない

でも返ってきたのは思いもしない言葉だった
「私の方こそ出過ぎた真似を。イライザ様のお店だと気づき内心喜んでいたものですから…」

あれから5年以上も経っているのにそう思ってくれる気持ちが嬉しかった
彼女がさっきから口にしている言葉はかつて私が教えた事に沿った考えによるものだ
情報の真偽を確かめずに踊らされるのは何より愚かだとその手の話は繰り返し教えてきたのだから

その時の言葉を忘れたことはないという彼女は、だからこそ悲しかったと告げた

私は忙しさにかまけて1番大切にしてきたことを自分の店の子達に教えられていなかった
商売は信用で成り立っているにも関わらず…

誰よりも優秀な教え子だったアリシャナ様
教え子と言っても私が教えるようなことは殆どなかったのだけど…
それでもアリシャナ様と過ごす時間はとても充実していた

「あなたは自分やスターリング家の方だけでなく、私の為にも怒ってくれたのね」

あの頃、年の差など気にならないほど対等に討論をして様々な意見を交換し合った
その積み重ねた時間を今でも大切にしてくれているのだと伝わってきた

このままじゃダメね
忙しいなんて言い訳は何の役にも立たないもの
今日から気持ちを入れ替えて、かつての教え子達に胸を張れるお店にしなければ
次にアリシャナ様が見えたときには心から喜んでいただけるように…
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