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第2話・過去と今
2-01・日常
しおりを挟む玄夜の毎日は変わらない。
それはたとえ依頼があってもなくても、だ。
朝起きて、身支度を整えたら、二人分の朝食と自分用の弁当、そしてヨウコの昼食の準備をして、ヨウコを起こして朝食を摂り、通っている学校へと向かう。
学友たちと共に授業を受け、休憩時間には騒ぎ、終われば部活などには参加していないので真っ直ぐ帰宅する。必要ならばスーパーなどで買い物をして帰ることもあった。
ヨウコは基本的にひどく怠惰で、寝てばかりいる。そして何もしたがらない。
家事一切は勿論のこと、お金の管理だってひどく杜撰で。
なのでそういった物を把握しているのは玄夜の方。その上で、食費などは必要経費として計上していた。
一応、アルバイト代として、時給換算で貰っていることとなっているお金とは、財布などを別にしている。
ヨウコはそんなことまったく気にしないだろうことぐらいわかっているのだが、玄夜なりのけじめだった。
ただでさえ高校に通う学費などの一切をヨウコが出しているのだから、過剰に金銭をもらうつもりなんてない。
玄夜には自分がなんだかんだ言っても、ヨウコに養われているという自覚があった。
たとえそれを、ヨウコが望んでいるのだとしても、玄夜は関係がないと思うのである。
元々、ヨウコと玄夜は、親戚でも何でもないのだから。
ヨウコが営む書店は、町の片隅、駅に近い、商店街の外れにあった。
とは言え、そもそもその商店街自体、寂れ切っていて、店など数えるほどしか開いてはおらず、その上、そういった店に軒を連ねているわけでもなく、書店は商店街の外れから更に角を曲がって少し進んだ先に位置している。
その角を曲がる辺りから、人気はもっとなくなって、むしろ書店に用がない者は立ち入らないような有り様だった。
あくまでも街の片隅で、誰でも通れる場所であるはずであるにもかかわらず、だ。
ヨウコ曰く、
「界を変えてあるのよ」
とのこと、玄夜にはよくわからないが、とかく人が来ないということなのだろうと把握している。
その日も玄夜はいつも通り、学校からの帰路に着いていた。
今日は買い物の必要もないからまっすぐ帰る予定で、帰ったらすぐにとりあえずヨウコを起こそうなどと考える。
そう言えばみぃちゃんのご飯はどうすればいいのだろう、だとかも。
玄夜の通っている高校は書店から見ると、駅を挟んでその更に先に位置していた。
とは言え、徒歩で通える程度の距離。
ただ、書店の近くは古い民家ばかりで、なかなか同じ高校に通っている者はいなかった。
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