【完結】予定調和の婚約破棄~コリデュア滅亡物語~

愛早さくら

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3・理想とする物語

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 悪役令嬢もの、とでも言えばいいのか。
 高位貴族、あるいは王族などの青年が、市井出身の主人公と身分を超えて恋に落ちる。それを立場ある女性が邪魔をして、そういった邪魔を潜り抜け、愛によって結ばれる、というような恋愛小説が、それなりに多く市場で親しまれていることは、ちらと耳にしたことがあった。
 我が国に限らず、近隣の国にならどこにでもあるような、ありふれた恋愛小説の一つだ。
 ただ、そういうものはあくまでも物語であり、現実とは違うなんてことは当然のこと。現実では起こりえないからこそ面白いのだとも聞こえてきていて。
 そこに出てくる悪役令嬢だとかいう立場の意地悪なご令嬢は、だいたい最後には処刑されたり、地位をはく奪されたり、収容されたり、あるいは国から追放されたりした。
 そういった判断を下すのは決まって、主人公と結ばれる立場ある男性。
 私が目を付けたのは、まさにそれだった。
 処刑されたり収容されたりするのはよろしくないけれども、地位の剝奪や国外追放ぐらいなら、むしろこちらの望みとも合致するのではないかと、そう考えたのである。
 なにせ第二王子殿下は間違いなく立場のある青年だったし、私はその婚約者。
 あとは第二王子殿下と仲良くなってくれる市井出身の少女がいれば、まさに小説通りの立ち位置が出来上がる。
 ただ、気を付けなければならないのは、そういった恋愛小説と同じように、逆に立場ある女性をいわれのない罪で糾弾したとして、立場ある男性や市井出身の少女の方が窮地に立たされるというようなお話も存在していること。
 私は第二王子殿下に、それとなくそういった小説などに興味を持っていただいて、意識して頂いて、同じような行動を印象付けしていこうと思っているのだけれども、その時に間違っても、逆の結末を迎えるお話は、目に入らないようにしなければならないとも思った。
 幸いにして第二王子殿下は、大変に単純……否、考えの浅い、否、子供のように純真なお心を持ったまま成長なさっておられる方だったので、私の考え通りに、すぐにお心を誘導することが叶った。
 なにせ、

「ふん。私にも真に愛する者さえ現れればなっ! さすればお前ごときの醜悪な仮面など剥ぎ取って、すぐに遠ざけてしまえるものをっ」

 などと吐き捨てられたりしたのだから。
 第二王子殿下の、王妃様によく似た様子で告げられたお言葉は、間違いなく、私の勧めたかったお話などに傾倒している証のようにしか思えなかった。
 そこまでは凄く順調で、しかし程なくして高等部に入っても、第二王子殿下曰くの真に愛する者、つまり市井出身であったりすることの多い、小説だと主人公に当たる女性は、なかなか見つけることが出来なかった。
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