【完結】前世を思い出した身ごもり公爵令嬢は過保護な溺愛国王から逃れたい

愛早さくら

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6・必要なこと

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 そもそも、私も私なのだ。
 この世界で子供は、望まないとできない。
 簡単に言うと、セックスしただけでは子供は出来ないのだ。
 セックスして、抱いている側が抱かれている側の体内に魔力を注ぐ。その上で抱かれている側が望まないと子供には成らない。
 つまり、私自身が望んだということになる。
 どうして望んだんだ私……。
 いや、わかっている、覚えている、覚えてはいるのだ。
 私を抱いた陛下が子供を望んだ。私はそれに応えたに過ぎない。いや、だからなぜ応えたのだ私……拒否すればいい。まだ早い、もう少し待つようにと窘めるべきだった。
 記憶の中の私の知識でもそれが正しいと言っている。
 だけど私は陛下が促す通りに子供を望んだ。陛下に求められている事実に酔っていた。
 チョロすぎるし軽率すぎる。だから陛下があんな風に暴走するのだ。
 真昼間から膝の上に乗せてイチャイチャしてあわよくば……とか、節操がなさすぎるし、そんなことにしか役に立たない愛人か何かの扱いにも思えて気分が良くない。いかにあれが陛下の愛情表現だとしても、だ。
 記憶を探る限り、今日のようなことは日常茶飯事だった。
 むしろ今日は最後まで致さなかった・・・・・・だけましだというありさま。ただれ過ぎている。
 だって結構な頻度で毎日毎日私は陛下に抱かれている。割とのべつまくなしに節操なく。朝も昼も夜もお構いなしに。
 場所は寝室もあれば今日のように陛下の執務室……――そう、あそこは陛下の執務室だったのだ! さっきまでいたのは執務室内にある応接スペース、の、ソファの上だった。あの場所で抱かれた記憶も片手では足りない。
 で、もっと他の場所の時もある。本当に節操がない。
 前世での感覚が強い私では、どう想像してもついていけなかった。
 無理だ、堪えられない。
 今世での私は陛下のことが好きだった。恋していたし、愛していた。
 陛下のすることは何でも許して、陛下の求めるままに振舞って。なんて健気なのだろうと我ながら思う。
 そんな気持ちがなくなったわけでは決してない。だからと言って、限度があるとしか思えず、やはりどこまでも耐えられそうになかった。
 この世界で子供を育てるには魔力が必要だから、妊娠中こそ、セックスしなければいけないというのはわかっている。だけどそれを、前世の感覚が邪魔をする。生理的な忌避感となって。
 いや、必要なのはわかっている、だから、出来るとは思う。陛下はあんな風にいつでも求めてくれるし、受け入れるだけなのだ、きっとできる。でも、朝も昼も場所も構わずっていうのは流石に無理だ。付き合いきれないし堪えられない。
 せめて夜、夜だけにしてほしい。夜に、寝室でだけ。それなら、まだ、何とか、多分……。

「いっそてっとり早く陛下に伝えるべきか……」

 私が前世を思い出したということを。
 ぽつりと呟く。幸いにしてか廊下には誰もおらず、私の呟きを聞きとがめる者はいなかった。
 さっきは多分、誤魔化せたと思うが、陛下のことだ。私の様子が変わった・・・・・・・・・ことにすぐに気付くだろう。
 私のように突然、前世を思い出すこと自体、珍しくないことなので、奇異に見られることもない。さっきは咄嗟にどうしてか隠してしまったが、よくよく考えると隠す必要などなかったのだ。ならばこそ、早急に伝えるべきだという気がしてくる。
 で、ちょっと控えてもらうのだ、だって無理だし。付き合えないし。
 むしろ隠し事をしている方が良くないと思う。心臓に悪いし、隠しきれるとも思えない。

「うーん、ひとまず部屋に帰ったらリダに相談してみましょ」

 リダは実家から付いてきた私付きの侍女で、小さい時から一緒だから信頼できる。これまでもいろいろなことを何でも相談してきた。だから今回も。
 私は一人頷いて、部屋に向かう足を速めた。
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