【完結】前世を思い出した身ごもり公爵令嬢は過保護な溺愛国王から逃れたい

愛早さくら

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5・現状③

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 さて、改めて考えよう。現状だ。何処まで整理したのだったか。
 まず、ここは異世界である。少なくとも、前世の日本人の感覚からするとそう。
 魔法とか魔力とかがある。ファンタジーだ。ついでに魔物とか魔獣もいる。幸いにしてこの国にはいないけれども。この世界には魔の森と呼ばれている森があって、魔物や魔獣は主にそこで発生する。一番近い魔の森は隣国なので、この国まで被害が及ぶことはまずない。
 よかった! 一安心!
 その代わりのようにそれなりに高い山脈が国を二つに分けるようにそびえているけれども、魔の森があるよりよほどましだろう。ただの山だし。
 で、私は前世、日本人だった。
 と、言うことをさっき唐突に思い出した。……――超絶イケメンの膝の上というとんでもない状況で。
 実は前世を思い出したと言っても、そこまで詳細に思い出したわけではない。とりあえず前世が日本人で、成人女性で多分死んだ。その程度。名前とか死因とかは今は重要じゃないと思うので割愛する。
 急に前世なんて思い出したせいか、思いっきり感覚が前世に引きずられているのだが、大事なのは前世ではないのだ。
 だって死んだし。前世だし。生まれ変わってるし。戻れない前世のことなどより、大事なのは今である。
 幸いにして今世の記憶もばっちりある。感覚が前世なので少々違和感はあるのだが、それでも今世の私も私であることに変わりはない。
 よかったと思う。
 一時的にしろなんにしろ、記憶が曖昧になったり飛んだりしなくてよかった!
 何故かこの世界では前世を覚えている人間というものがある程度、存在していて、珍しくはあれど、そこまで特殊というわけではない。
 前世を覚えている者の中には、生まれつき前世の記憶がある人もいれば、私のように、ある日突然思い出す人もいる。そういう人のことを、覚醒者と呼んだりするらしい。
 何が覚醒しているというのか。前世の記憶か。とにかく私だ。
 覚醒者の中には突然前世を思い出したショックで今世での記憶を失くしてしまう人も珍しくなく、私自身がそうならなくて本当によかったと思う。
 混乱はしてしまったけれども。あれぐらい、かわいいものだろう。
 だから、前世を思い出したことそのものも問題ではなく、それよりもあまり良くないんじゃないかと思うのは、今世での私の立場とかそういうものだ。
 ここ、イェルティエ王国の新国王ジェラマト陛下の婚約者で、半年後に結婚式を控えてはいるけれども、まだ結婚はしていなくて、にもかかわらず、すでに陛下の子供がお腹にいるというこの状況。
 どう考えても外聞が悪すぎるだろと、思わざるを得なかった。
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