【完結】前世を思い出した身ごもり公爵令嬢は過保護な溺愛国王から逃れたい

愛早さくら

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37・守られた鳥かご

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 数日後、私は上手く資料庫にて、資料を紐解くことに成功した。
 なお、魔道具は結局調度品の中に紛れており、陛下からの贈り物を一つ一つ改めてもみたけれど、そちらにはどうも含まれていないようだった。
 魔道具の数が一つきりであったことに、私はほっとする。
 アリムエ執政官が言っていた準備というのも、敬語などの人員の調整だったようで、確認した限りで、資料庫には魔道具は見当たらず、ここでなら筆談でなくとも多少の会話は可能かもしれないと安堵した。
 実際、伴ったリダや、わざわざ様子を見に訊ねてきたアリムエ執政官と少し話すことが出来、それぞれ私と同じように、陛下の現状をよくは思っていないことを知る。
 私は二人に、私が考えていることを話した。
 アリムエ執政官からは難色を示されたのだが、なら、陛下のなさりようを変えたいとは思わないのかと尋ねると、しぶしぶではあるものの理解は示してくれて、消極的ではあるものの、少なくとも陛下には伝えずにいてくれるよう約束を取り付けることに成功する。
 それで充分だった。
 だってこれは言ってしまえば私の我が儘だと言ってもいい。
 私一人が呑み込んで、陛下に囲われ、安穏と過ごす。それでも別に構わないのだ。
 多少陛下が暗愚であったとしても、それで傾いてしまうほどにはこの国は危うくはなく、少々執務が後回し気味になっているとはいえ、アリムエ執政官のような有能な信頼できる官吏もたくさんいて、多少であれば問題にもならない。
 それらを踏まえても陛下の現状は少々目に余りはするのだけれど。
 勿論、私がほとんど何の執務も請け負っていないことに対して、何かを言ってくる人間だっていないわけではなかった。
 ただ、基本的にそういう人間を陛下は許さない。必然、私に届くことなどなくなり、精々が陰でそう言われているのだろうと察せられる程度。
 それも全ては憶測でしかなく、少なくとも彼らは王宮内には入れなくなっていて。私の目にはいずれにせよ届かなかった。
 守られていることを感じる。
 それは本当に間違いのないことなのである。
 だから私はこれに甘んじさえすればいい。そうしたら陛下の意向が届く限り、何の憂いもなく日々は過ぎていくのだろう。だけど。

「ねぇ、リダ。本当の所はどうなのかしらね」

 私自身が守られていたとして、ではたとえば私の家族などはどうなのだろうか。腐っても公爵家なのだ、そう大きな問題など起こってはいないだろう。だけど。

「何も、言われていないということはないのでしょうね」

 資料庫で、探査魔法について載っている魔法論関連の資料をめくりながら呟く私に、リダは困ったような顔をするばかりだった。
 リダは比較的いいことも悪いこともはっきりと口にする。そんなリダの口を噤ませるような状況。そんなものがいいはずがないのだ。
 この王宮は、まるで陛下に守られた鳥かごのよう。だけど私は。鳥かごの外を、どうしても無性に見たかった。
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