【完結】前世を思い出した身ごもり公爵令嬢は過保護な溺愛国王から逃れたい

愛早さくら

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38・偽りのない報告

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 私が実際には周囲からどういった評価を受けているのか。
 それを知るのは存外に難しくなかった。
 簡単な話、リダを通じて実家を頼ったのである。
 私の実家は公爵家で、この国で一番力を持っていた。
 前世を思い出した初めの方こそ、この生家の身分だけでも、なんと思えばいいのかわからなくなったものだったが、数ヶ月も経った今では、当初予想した通りすっかり馴染んでしまって、そういうものだとしか思わなくなっている。
 ともあれ、由緒正しい公爵家、だからこそ私は小さい頃から陛下の婚約者だったし、それに対して物申す者など誰もいなかった。
 だが、今はどうだろうか。
 いくら陛下が望んだからと言って、結婚のための前準備として王宮に上がってすぐ、正式な婚姻を待たず子を設け、あまつさえそれを理由にほとんどの公務を免除されている。
 そんな事実だけ見ても、好意的だったはずの周囲の目さえ、そうでなくなる可能性は充分にあった。
 今世の記憶から、そんなことは容易過ぎるほど予想できた。
 だが、今の私の現状は全て陛下が望んだことであり、私にはどうすることも出来ていない。
 王宮に勤める陛下に近い者であればあるほど、逆に私に大変に同情的で、同時にそうではないものの目が恐ろしくて堪らなかった。
 実家からこっそりもたらされた情報でも、それは決して見当はずれな危惧でないことが察せられて。私はやはり、あの考えを、推し進めるしかないのだろうと溜め息を吐いた。
 そうして少しずつ準備を始めることにする。
 リダは私の考えをよく理解してくれ、後押しを約束してくれた。それ以外のフォローの一部を、結局アリムエ執政官も請け負ってくれる。
 実家も、勿論私の味方だ。
 陛下は今の所、気付いた様子はなかった。
 だから私はいつも通り、陛下に甘やかされて過ごす。

「フィア。今日はどんな資料を読んだんだい?」

 いつも通り膝の上に乗せられて、甘やかな口づけと共に問われても、ありのままを伝えるだけ。

「今日改めたのは魔法論ですわ。とても興味深い魔法について、知識を深めることが出来ましたのよ? いつか陛下のお役に立てるかもしれません」

 何も、隠さない。目的は探査魔法だけれど、それだけは決して告げず。だって魔法論の記された資料の中に、たくさん載っている魔法の一つでしかないのだ。まさかその中の一つをこそ、ピンポイントで目的としていると看過されるはずがなかった。
 次いでもう一つも自分から伝えてしまう。

「そう言えばその中に、昔、家で見たのと少し違う気がするものがあって。確認のためにと実家に資料を求めてみましたの。ですから近々、そちらから人が来るかもしれませんわ」
「ああ。ああいうのは筆者によって解釈が違ったりもするものね。確認は大事だ」

 にこやかに穏やかに私の紡ぐ偽りのない報告・・・・・・・を、うんうんと頷きながら聞く陛下が、不審を抱いた様子はその夜、終ぞ見られなかった。
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