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46・見つけた、なのに
しおりを挟む―デュニナ。
名前を呼ばれた。
僕は嬉しくなって抱き着いた。
―……!
大きな声で名前を呼んで。
だって待っていた。待っていたのだ。
ようやく会えた。
会いたかった、ずっと求めていた、……――。僕の番。
―ずっと、ずっと探していたんだ、貴方も?
―もちろん。ずっと探していた。私も会いたかった。
―探してくれていた! 見つけてくれたの? だからやっと会えた……。
ああ!
感極まって嬉しくて。涙があふれた。
そうしたら僕の目尻を優しく拭ってくれる。
僕は小さくふふと笑った。
―ああ、ねぇ、……。
ねぇ。
この子もお腹を空かせている。だから、僕を。
―デュニナ。
大切に抱き込まれ口を塞がれた。
甘い甘い大好きなくちづけ。もっともっと欲しくって、僕は夢中でそれを貪る。
―ん、ん、んぁっ、ぁあっ、ん、……!
―ああ、デュニナ。愛している。
―僕も、んっ!
名前を呼び合って。
愛している。
貴方だけを、求めている。
ねぇ、だから。
僕を見つめる、優しい藤色の瞳。僕の瞳は水色で、……とはちょっと色味が違うんだけど、金色に縁どられた瞳孔だけは僕と同じなんだ。
それは僕と……が――である証。
ようやく出来た僕達の赤ちゃん。一緒に育ててくれるんでしょう?
ねぇ、だからもう僕を放さないで。
―もう、ずっと一緒にいられる?
離れずに済む?
ようやく終わったくちづけの余韻を残しながら、不安に思ってそう訊ねた。
ねだるように。
もう、放さないで。
祈るように。
きっと……も、すぐに頷いてくれるって信じて。なのに。
―……デュニナ。
困ったような気配。
どうして。
どうしてそんな顔をするの。
どうして。
―……?
僕は途端に不安になる。
広い海に、1人、放り出されてしまったかのような不安だ。
どうしてこんな不安を感じるのか。
……は今、僕の側にいる、僕を探して、見つけ出してくれた! なのに。
―………すまない。すまない、デュニナ。すまない。
なぜ、謝るの。
すまないって、なぁに?
―……?
不安に押し潰されそうだ。
僕は腕に力を込めて、ぎゅっと……を抱きしめた。
はずだった。
―……?!
掻き消える。今、僕と抱きしめ合っていたはずの体。
あたたかなぬくもり。それがどうしてか一瞬でそこにはなくなっていて。
―……!
僕は必死で叫んだ。
どこに行ったの?!
わからない、わからないけれど手を伸ばして。
―……、どこっ?!
どうして!
声が聞こえた。
―すまない、すまない、デュニナ。必ず、次こそ必ず、君を……
でもその声はひどく朧気で、遠く。
消えていく。
……が消えて。
―……!
―愛している。
悲鳴のような僕の呼びかけに、最後に届いたのはそんな一言だけ。
愛している。
僕だって愛している、なのにどうして?!
―……っ!!
声を限りに叫んでも、もう……は戻ってこなかった。
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