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*12・改めての
しおりを挟むろくに動けず転がったままの俺に対して、グローディはさっと機敏な動作で体を起こして、寝台脇のナイトテーブルに用意されていた水差しの水をグラスに注ぎ、俺を支え起こして口元へと近づけてきてくれた。
そうしている間に、何がどうなっているのか、色々な体液で汚れていたはずの俺の体はきれいになっている。何処にもべたついているようなところはなく、残っているのは全身に蔓延る重怠さと、腰や股関節の僅かな痛み。疼く腹の奥とどうしようもない尻の違和感のみ。
特に尻と腹にはじくじくと、いまだ熾火のように快楽の残滓がこびりついている。
どこか痺れているような感じがした。
ありがたく水を飲む。
すると自分の喉が随分と乾いていたことを自覚した。
あっという間に飲み干したのを見て、グローディは器用にも片手で代わりを注ぎ、もう一度、俺に差し出してくれる。
俺は支えられるままにグローディに持たれきって、2杯目もすぐさま飲み干した。
其処でようやく一息を吐く。
改めて確かめずとも、俺もグローディもまだ裸のまま。
滑らかな肌が背に触れていた。
熱く逞しい体躯の男が俺を支えている。俺の視界にあるのは見慣れない部屋の内装。
視線を下ろすと目に入ったのは、大きく膨らんだ、突き出たままの腹だった。
本当に妊婦のよう。否、間違いなく妊夫なのだったか。なにせこの中には子供がいるというのだから。
だけどまるで実感が湧かない。
男なのに、子供なんて。
「気になりますか?」
寄せられた俺の眉に気付いたのだろうグローディが、そっと俺の腹に触れてきた。
温かな手はどうしてか、知らないはずなのに安堵を誘い、どうしようもなく心地いい。
「ん、ああ、いや……不思議だと思って」
だってこの中に子供がいるというのだ。不思議以外なんだというのか。ああ、でもそう言えば。
「あの、そう言えば、子供がいるのにあんな激しいことをして……」
覚えている限りでも結構、容赦なく抱き潰されたような気がするのだが、大丈夫なのだろうか。
何より、信じたくないことだが、俺自身も貪ってしまった。
あまりに気持ちよくて。
あれは強烈な快感だった。
「ん? ああ、そう言えばそういうことを気にするんでしたね。言ったでしょう? 必要なことなのだと。むしろああしないと、子供が無事に生まれて来ませんよ」
「でもお腹、俺、気にせず押し付けたりしちゃったし……」
「? 物理的な刺激なんて、ほとんど子供に影響しませんよ? 母親の体内にいる限り、子供は魔力の塊ですから、実体を持ちません。このお腹も、臨月が近いと示しているにすぎないのです」
よくわからない。でも間違いなく、此処には子供がいるのだと思うのだけれど。
大丈夫だというのなら、もういいのだろうか。
「それよりも、レシア様……」
「え」
今の今まで真面目な話をしていたはずだった。
なのに、足りないと言わんばかりに、再度、後ろから俺を抱き込むようにしたグローディが俺の股間へと手を伸ばしてくる。
「ぁっ!」
ぎゅっと、そこを掴まれると、敏感な俺の分身はすぐさま固く立ち上がり、膨れた腹に触れそうなほど反り返った。
上半身を捩じるようにして頬を引き寄せられ、唇が塞がれる。
気持ちいい。
幾度目か。また、快感に頭がふわふわし始めた。
多分、もう、朝なのに。
ついさっき起きたばかりなのに。
その上、起きてすぐにも一度腹の中をかき回されたのに。
また、してほしいと思い始めている。
「あっ、ぁっ、あっ! んんっ……」
グローディは焦らすことなく俺の後孔にまで指を伸ばし、くちと其処をおざなりに探っただけで、俺を抱え上げ、腰を浮かせ、先程から尻に当たっていた、すでに硬く勃ち上がり切っている剛直で、躊躇いなく俺の腹を突きさしてきた。
「ぁああっ……!」
腹の中がいっぱいに満たされる。熱くて気持ちよくて堪らない。自分の体が歓喜で震えているのが分かった。
「レシア様」
「あっ!」
ぐぐっと腰を打ち付けられて高く声が上がった。
「レシア様、レシア様、レシア様」
「あっ、あっ、あっ、ぁあっ!」
グローディが腰を揺さぶる度に俺の声も揺れて、揺れて、気持ちよくて気持ちよくて、お腹がいっぱいで。思考がとけていく。グローディ。俺の頭はもう、今感じている快感だけでいっぱいになりそうだった。なのにその時。
バンッ!
大きな音を立てて突然、開かれた扉に、びくと、思わず意識がそちらに向かった。
「グローディ! 聞いたよ! またレシア君……が……」
そこにいたのは、目を大きく見開いて驚いた顔をした、だけど見たこともない、輝かんばかりの美しさを纏った青年だった。
え、誰?
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