記憶喪失になったけど、伴侶だという人物に一目惚れ(?)したのでこのまま俺に惚れてもらおうと思う。

愛早さくら

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*0・プロローグ、目覚め

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 初めに気付いたのは音だった。否、声と言えばいいのか。

「ぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁあっ! ああっ!」

 甘く高く上がる、快感にむせぶ声。それを助長させるように、パンパンと肌と肌を打つ音が聞こえてきて、同時にじゅぶじゅぶと激しく粘ついた水音も響いていた。そして。

「ぅっ、くっ……レシア様、レシア様っ……ぅっ……ぁあっ、くっ」

 苦しげな、息を詰めた男性の声。なのにどこか甘い。誰かを、呼んでいる。それは、いったい、誰を。

「ぁっ、ぅっ、ぁっ、ぁあっ! あっ!」

 ぱち。目を瞬いた。意識が起きる。途端に俺を襲う、強烈な快感。

「ぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁあっ?! あっ! ぁあっ?! あっ!」

 ああ。なんだこれは、なんだこれは、なんだこれは。今、俺が感じているのは衝撃だ。そして目も眩むような快感。言葉にならないほど気持ちいい。目の奥がちかちかする。もっと、もっとたくさん欲しくなる。どうして。これはいったい何を。
 そうして悟る。先程から聞こえていた、甘く媚びるような喘ぎ声は、俺が上げていたものなのだと。だって、今、俺の喉から迸っているそれと同じなのだ。

「ぅ、ぅぁああぁっ! ああっ?!」

 快楽ではなく、混乱の為に上げた声に気付いたのだろう、俺を揺さぶり続けていた動きが戸惑うように徐々に弱まって、直に止まった。

「……レシア様?」

 訝しげに、かすれた声が俺を窺う。いい声だ。震えるほど心惹かれる男らしいかっこいい声。でも、初めて聞くはず・・の声。誰の。これはいったい、何が。
 揺さぶられていた動きが止まったって、快楽に震える体は止まず、快感の熾火は、俺の中にくすぶったまま。ただ、嵐のよう、翻弄されるばかりだった強烈さは少しばかり鳴りを潜めていて。そうして俺はようやくしっかりと、目の前で俺をのぞき込む男を改めて認識することが叶ったのだった。

「レシア様?」

 そう、俺に呼びかける男は。信じられないぐらい、かっこよかった。
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