50 / 54
49・レシアについて⑤
しおりを挟む思い出す。
一度しか聞いていないが、だからと言って忘れるわけがない。
「レシア様の……」
つまりは、俺の。
「ええ。お名前はお聞きでいらしたんですね。貴方のお名前、レミュシア・カナドゥサ・パンレソイ。そこに入っているのと同じ名称。そもそも我が国では名前は、個人名、母の実家の家名、現在所属している家系の家名となります。婚姻した場合は真ん中の『母の実家の家名』が『それまで所属していた家系の家名』となり、最後が『婚姻した先の家系の家名』となる。ですから、ミーシュ様ですと、レミュシアというのがお名前で、カナドゥサがご実家の家名、そしてパンレソイが、グローディの伴侶となってからの所属を表していることとなるのです」
それはさほど分かりにくい話ではなく、だとすると、国名と思われる名称が出身家の家名となっていることとなる。
「実家の、家名……」
呆然と復唱する俺に、シェスは頷いた。
「そうです。ここはカナドゥサ公国と言って、我がナウラティス帝国の属国となります。ミーシュ様は、もとはそちらの第一公子であらせられました」
第一公子。指し示された国が公国であることを踏まえると、すなわち、小国とは言え、一国の王子だったということではないだろうか。
俺は元々、レシア様の身分そのものさえよくわかってはいなかった。
ただ、今の立場が、どうやら貴族であるらしいということぐらいしか認識していない。
しかし今の話からすると、生まれた時から貴族どころか王族のようなものだったということになる。
それは全く、これまで予想もしていないことだった。
事実を飲み込みきれないでいる俺に、シェスは更に言葉を続けた。
「ちなみに、グローディは、今はパンレソイを名乗っていますが、それ以前はナウラティスを名乗っていました。つまり、元は王子という立場だったのです。とは言え、養子だと聞いておりますので、正しく王族というわけでもないのですが……」
グローディも元は王子。
そう聞いて、咄嗟に俺の頭に思い浮かんだのは、
「え、政略結婚?」
そんな単語だった。
だって双方ともに王族同士だというのだ、それでなぜ今は辺境伯となっているのかは定かではないが、そう思うのもおかしくはないと思う。
なのにシェスはふるり、すかさず首を横に振る。
「違います。僕が効く限りでは、レシア様をグローディが一方的に見染め、立場を偽って騎士として押し掛け、長い時間をかけ、計略の上、絡め取り、連れ帰ったのだと聞いています」
「はい?」
そして続けられたのは、更に予想もしていないようなことなのだった。
14
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる