【完結】気がつけば推しと婚姻済みでかつ既に妊娠中だったけど前世腐男子だったので傍観者になりたい

愛早さくら

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 シェラは、ひどく緊張しているように見えた。
 いつも通りの俺の部屋。
 いつも過ごしているソファに座って、シェラには対面側のソファに腰かけてもらっていた。
 こんな風にテーブルを囲うこと自体は、そこまで珍しいことじゃない。
 これまで幾度もあったことだった。
 例えば話をする時も、場合によってはこんな風に座るし、一緒に何かを見る時だってそう。
 シェラはあくまでも俺専属の侍従で、だけど同時に友人でもあるからだ。
 もちろん、侍従なのでこんな風に落ち着いて座って、とするよりは、シェラは俺の傍らに立って控えたまま話したりだとかすることの方が多いのだけれど。
 それでも、珍しいというわけではない。
 いわば、シェラだって慣れていると言ってもいい。
 だけど緊張しないわけには、いかないのだろう。なぜならば俺の後ろには、ラティが立っているからだ。
 俺の隣に座っているだとかいうわけではなく、俺の後ろにラティがいた。
 シェラが座っていて、正面にラティが立ったまま。
 こんな風に、俺ではなくラティと、対峙した経験なんてシェラにはないはずだ。
 同時に、こうしてこの場を設けている意味・・を、きっとシェラもわかっているからなのだろうと俺は思った。
 シェラは気まずげな顔をしている。
 気まずげに、戸惑って、緊張して固くなって。
 ふわふわで艶々で、さらさらな、濃いピンク色の髪までなんだか固くなっているかのようにすら見えた。
 もともと白くて滑らかな、普段なら仄かに赤く色づいている頬が、今は真っ青になっている。
 かわいそうだな、そう思った。
 こんな所まで可愛くて、かわいそうで、なんだかグッときそうだな、なんて。でも。
 今まで感じていた依存のような慕わしさは沸いては来なくて。
 かわいいと思う。
 シェラを前にして、悪感情なんて抱かない。
 だけどそれだけ。それだけなのだ。
 友人を前にした、当たり前の好感情だけ。
 好ましい容姿だなぁと思うけど、それだけ。
 たったそれだけであることが、今までの自分との違いを浮き彫りにしてしまうようで、俺はなんだか泣きたい気持ちを抑えることが出来なかった。
 知らず歪んでしまっただろう俺の顔は、シェラの目にも入ったからか、シェラは打ちのめされたかのような顔をして、そして、ぎゅっと目を閉じて、ゆっくりと顔を伏せたのだった。
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