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第2章・まるで夢のような日々(リュディ視点)
2・世界は輝いている②
しおりを挟む僕は生まれた時から涙腺が大変に弱かった。
赤ん坊の頃は、それこそ、食事を摂っている時と寝ている時以外、ずっと泣いていたと聞いている。
否、そのそれぞれの時でさえ、泣きながらが多かったのだとか。幼い頃はいつだって、母様は大変に疲れた顔をしていたものである。
少し大きくなっても同じで、悲しくなっては泣き、寂しくなっては泣き、どこかに何かぶつけただとか、痛いと言っては泣いて、驚いても泣いて、何なら嬉しくてもなんでも泣いていた。いつも目を真っ赤に腫らしていて、僕付きの侍従や侍女たちの必須条件は、簡単な治癒魔術が使えることとなったぐらい。つまり彼ら彼女らに、泣きすぎて腫らした目や枯れた喉を治してもらうまでがセット。それがなければきっとずっとひどい有様であり続けたことだろう。
だけど一応は公子という身分、そのままにするわけがないという話であるようだった。
なお、その甲斐あってか、泣いていてなお天使のよう等と言われたことがあるので、おそらく僕の見た目は良いのだろうなとそう解釈している。
自分ではよくわからないけれど、美人と評判の母様とうり二つだそうなのできっとそうなのだろう。言われてみれば僕と母様はよく似ているのだ。
ただし、見目がいいというのは、必ずしも良い結果となるとは限らないというのは僕の持論だ。
なにせ多分きっかけはきっと僕だったのだから。
僕は今は亡きテュナコル公国の第一公子として生まれた。
父様も母様も大変に人がいい人物で、慕われてはいたけれど、同じだけ侮られてもいたらしい。何故なら、そうでなければ、あんなことにはならなかっただろうと思うから。
一番初めの初めは、心ない貴族の一人が、僕を欲したのだと聞いている。
『美しい! ぜひ、公子を私に!』
わけがわからない。
第一公子は跡取りだ。何故一貴族が望んでそれが叶うというのだろう。
当然、父も母も拒んで、周囲の皆も反対してくれたのだが、問題はそんなことを言い出した貴族が、国全体に大変な影響力を持った高位貴族だったことなのだろう。
断られても諦めなかったその貴族の所為、だと思われているのだけれど、とにかく僕は城の中にいてさえ数度、攫われそうになってしまった。
幸いにして近くにいた護衛などのおかげで事なきは得たのだけれど、父母は恐ろしくなったのか、僕はほとんど部屋から出してもらえなくなったのである。
それが多分、4歳か、5歳か。ルナス様と初めてお会いした時の、すぐ後のことだった。
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