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第2章・まるで夢のような日々(リュディ視点)
21・塔の外にて②
しおりを挟むその頃になると、僕は流石に頭痛を覚えるようになっていた。
それに少しだけ気持ちが悪い。
たかが6日、されど6日。まだ起きて歩けるうちにルナス様に会わなければ。
ああ、ルナス様。
恋しくて恋しくて堪らない。
それは、子供に魔力が必要だという理由だけでなく、僕自身がただ一目だけでも会いたくて。
いつの間に僕はこんなにも我儘になってしまったのだろう。
そうも思う。
ルナス様と初めて会ってから13年。一目足りとてお姿を目にすることなく、それでも恋焦がれてきながらも会わずに過ごせていた僕は、ここに来て、塔で待っているだけで、毎日のようにルナス様とお会いできることにいつの間にかすっかり慣れ切ってしまっていたらしい。
たったの6日会わなかっただけで、これほどまでにお会いしたくて堪らなくなるなんて。なんて贅沢になったことなのだろう。
ルナス様はお優しいから、僕を気にかけて下さっていただけだというのに。
迎えに来て下さったサネラ様は、顔色の悪い僕をとても気遣わしげにお声をかけて下さった。
「申し訳ございません、殿下。あのバカが意地を張っている所為で」
バカとはまさかルナス様のことなのだろうか。
びっくりしながら僕は首を横に振る。
いつものよう、はらはらと、僕の頬を涙が伝う。
ああ、こんな時にも僕は泣くばかりだ。
ともすればしゃくり上げそうになるのを何とか我慢して、ようやく小さく言葉を返した。
「い、いいえ……僕の方こそ、お、お手を、煩わしてしまって申し訳ありません……」
声が震え、言葉も途切れがちになってしまったけれど仕方がない。だって涙が止まらない。
もっともこれはいつものことなのだけれども。
ああ、ルナス様。
お会いしたい気持ちと、今自分で告げた通り、サネラ様のお手を煩わせてしまっている申し訳なさと。ついでに頭痛と気持ちの悪さも相俟って、何が何だかわからなくなっている。
でも。
「手を煩わせるだなんてそんな。こちらの方こそ、こんなにも遅くなってしまって申し訳ない限りです。どうやら状況は予想よりもよろしくないご様子。急ぎましょう。必ず陛下の元へお連れしますので、もうしばらく堪えて下さい」
言いながら、案内するように少し前を行くサネラ様は、だけど僕をエスコートしようとしたりはなさらなかった。
少しだけほっとする。
今、僕は少し過敏になっていて、きっと不用意に触れられでもしようものならその手がたとえ僕を助ける為の物だとしても、振り払ってしまうだろうと思われたからだった。
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