そしてまた愛と成る

愛早さくら

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第1章

1-22・以来。しかし未だ⑧

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 義父はちゃんと俺を大切にしてくれている。それは確かなことなのだ。
 ただ、だからこそ連絡を取ることを躊躇してしまう。
 10年前。この王宮を去った俺は結局、12の時に飛び出したままだった実家へと帰った。
 そうするより他なかったと言っていい。
 ここを出た俺にはもう何も残っていなくて。
 だってルスフォルも、あの子も側にいなくなったのだ。
 愛しい子。俺の子供。
 ここを出て、そのまま更に今度は自分一人で生きていく。そんな気力なんて全く何もわかなかった。
 だから、おそらく親切心からだろう、亡き王妃が去り際、

『一度ご実家へお戻りになられてはいかがですか? きっとご両親も心配していることでしょう』

 などと言ってくれたので、ならば戻ろうとそう思っただけだった。
 亡き王妃は、俺のことなど何も知らない。
 ただ、ルスフォルの囲っていた平民の子供とだけ思っていただろう。
 俺も家名は名乗らなかったので、ここ、ニアディスレの王宮の中で、俺のこれまでを知っていたのは本当にルスフォルだけだったのではないかと思う。
 そんなルスフォルが記憶を失くして、俺の詳細を知る者が誰もいなくなって。家出をして、というのは伝えていたから、余計に家に戻れと言ったのだろう。
 当時16歳。
 成人年齢でさえなかったのだから。
 当たり前の気遣いだ。
 そして俺はもう何も考えられなくなっていて、だからこそ言われた言葉に素直に従った。
 戻れというのなら戻ろう。そうとしか思わなかった。なのに。
 家へと戻った俺に待っていたのは、養父母がすでに死んでいた事実。家にいたのは叔父夫婦で4つ下の弟は彼らに育てられていた。
 4年だ。
 12の時から4年、帰らなかった。連絡の一つだって、取らなかった。それをあれほど後悔したことなんてない。
 その4年の間に養父母はいなくなっていて、その事実の前に俺は目の前が真っ暗になるような気がした。
 それからのことを、俺はよく覚えていない。
 全くの自失状態で、まるで廃人のようだったのだと後から聞いた。
 叔父夫婦は俺を持て余した。
 元々、俺は養子で叔父夫婦とは全く血も繋がっていなかったのだから余計にだろう。
 家族として受け入れることも出来ず、面倒を見るなどと以ての外、だけど放り出すことも出来なくて。幸いにして指示さえ出せば素直に従い、可能なことは自分でしていたようなので介護までは必要なく、そのまま俺は必要最低限の世話だけ焼かれる他は半ば放置されていたらしい。
 家の片隅に置いておいてくれたのはきっと叔父なりの優しさだ。
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