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第1章
1-24・以来。しかし未だ⑩
しおりを挟む俺は頭が痛くなる思いだった。
義父のこの泣き声が、俺はどうしても苦手なのだ。
罪悪感が疼いて堪らず、出来るだけ聞きたくないと思ってしまう。
だが、もちろん、それはそれとしてありがたいとは思っているし、義父のことを嫌いなわけではない。少しばかり疎んじてしまっている部分はあるが、それは許して欲しいところだ。
「連絡が遅くなってすみません」
殊勝に謝ったのに、それの何が気に食わなかったのか、義父の眉がしんなりと下がっている。
と思ったら、大変に恨めしそうに口を開いた。
なお、通信用の魔導具は、魔導具そのものの種類とそこへ流す魔力量によって現れ方が異なる。今俺が使用しているのは映像まで映し出せる物。なので顔を見ての通信となっていて、義父の様子までが全て伝わってきてしまっているのだった。
「敬語。改まった話し方なんてしないでっていつも言ってるのに」
「ですが閣下」
「んもう! それも! お父様、とか、なんならいっそパパとか! そう呼んでってば!」
いったい何なのかと思えばこれもまたいつもの主張だった。ああ、本当にこの人は。いったいどうすればいいというのか。
そんな風になんて呼べるはずがない。
そう、俺に教育を施すよう指示を出したのはこの人のはずなのに。
思えば覚えている限り、初めからこの人はこうだった。ずっと俺に気安い親子としてのやり取りを要求してくるばかりなのだ。
俺がこの人と初めて会ったのは18の時のはずだ。もう流石に子供ではない年齢だった。
にもかかわらず、今もずっと小さな子供に対するかのような態度を崩さない。
「ティーシャくんが頑ななのは僕が嫌いだから……? 鬱陶しいと思っているよね……でもでも、僕は君のことを大切に思っているんだよぉ?」
剰え、またしてもそんな風にめそめそと泣き始めた。
この人の方こそまるで子供のようだ。
俺は苦く目を瞑り、深く、深く溜め息を吐く。
「……父上。あまり無体をおっしゃらないでください。私は別に父上のことを、嫌いだなんて思ってはいませんから」
苦く義父の言葉を一部否定する。ちなみに鬱陶しいとは思っているので、そちらは否定しないでおいた。
この人は嘘も嫌うのである。ここで適当なことを言ったら、それはそれでまた機嫌を損なうばかりなのだろう。
「うぅ……結局まだそんな口調……ねぇ、やっぱり君にはまだ早かったんだよ、今からでもこっちに戻っておいでよぉ」
一応、父とは呼んだのに、それではまだまだ不満らしい義父はついにはそんなことまで言い始める。
やっぱりか。俺はそう思わざるを得なかった。
思い出す。
そもそも俺がこの国へと輿入れするという話は、義父から聞かされたし、義父にも謝られたし頼まれたのは確かなのだが、同時に一番反対していたのもまた義父に他ならなかったのだ。
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