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第1章
1-43・未明。だから次へ①
しおりを挟む婚姻式の前にも、しなければならないことはたくさんある。
否、たった数日、この王宮で忙しく立ち働くうちに、俺が驚いたことは数多くあった。
そのうちの一つが慢性的な人手不足である。
俺がリセデオやナウラティスから侍女や侍従、護衛をそれなりの数連れてきたのは、ただ単純に義父が心配して過剰に連れて来させたというだけの話だ。それぞれ20人ずつほどもいて、俺はそもそも受け入れてはもらえないのではないかと不安に思ったのだが、何のことはない、例えば王族が他国へ輿入れする際の追従の数としては、特に珍しいことではないのだという。
俺は血筋はともかく、立場としては単なる公爵令息、あるいは次期公爵でしかない。だが、父曰く、王族の代わりに嫁ぐのだし、公爵家ということは準王族とも見なされ、また、血筋から言っても特に不自然であったりはしないとのこと、むしろ少ないほどだと豪語された。
同じことを伯父に聞いたら肩を竦め、
『向こうが受け入れるって言うんなら、別に気にしなくていいんじゃない? 君とあの国じゃ立場が違い過ぎるしねぇ……無下にもしないと思うよ。と、言うか、安心とか安全って意味では、君のお父君が言う通り少ないぐらいじゃないかなぁ……なんたってあそこは……』
と言っていて、半ば呆れながらも、しかし反面、
『あ、追加は任せて! 何人かとっておきを見繕っておくから! 少なくとも、君は安全面に関しては心配しなくていい』
などと、気軽に請け負って、嬉々として追加の人員を手配していた。
実際、今回新たにナウラティスから来てくれた彼ら彼女らが非常に好ましい人物達であったのは確かである。
そもそも、俺はよく把握していなかったのだが、リモヌツ公爵邸で過ごしていた頃から、傍にいてくれた侍女や侍従、護衛の何人かは、伯父がナウラティスから送ってきてくれていた人員であったらしい。
とは言え、リセデオの首都にはポータルがある。
ポータルとは、国家間移動を可能とする転移施設だ。
ポータル間であれば、距離など関係なく一瞬で行き来できる。問題点があるとすれば、発動には多大な魔力が必要となり、基本的に魔力の調達は、個々人がそれぞれ行わなければならないこと。
それでも、リセデオからナウラティスなら、帰ろうと思えば一瞬で帰れた。
しかし、今回俺が輿入れすることになったニアディスレにポータルはない。この辺りでは鉄道技術等も発達していないことから、移動はほとんど馬車に限られ、またそれなりの日数が必要となった。
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