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第1章
1-63・転変。および希求⑤
しおりを挟むそれはともかく、お二人がここに来たのは、勿論、俺を気遣ってというのが大きいので、閨について指摘されるのは決しておかしなことではない。
だが、それはあくまでもお二人が気にされていることのごく一部でしかなく、それよりも重要なのはつまり、それも含めた、この王宮の現状そのものなのである。
どうやらお二人は俺が前日強制的に眠らされている間にこの王宮の状況をある程度、調べるよう、一緒に連れてきた者たちに指示しておいたらしい。
それを踏まえて話し合うということで、宰相も交え、俺に与えられている執務室に集まったのだが、宰相が来る前、真っ先にラーヴィ様に言われたのが先程のことだった。
実はヴィーフェ様もその場に入らして、だけどヴィーフェ様は素知らぬ顔をしていらした。
だが、口を挟まない辺り、異論はないということだったのだろう。
宰相が到着して、席に着くなり、ラーヴィ様はにっこりと微笑まれた。
それはどう控えめに考えても、怒っていることがありありとわかる笑みだった。
「何これ?」
開口一番がこれである。
「酷い酷いとは事前に聞いていたけど、よくこんなのでこれまでやってきたね? 聞けば10年……いや、12年かな? 13年? この状態なんだってね。なんでそれだけあって何とかできなかったの? 国を潰そうとしているとしか思えないよ?」
これを告げられているのはつまりラーヴィ様の向かいに座っている宰相だ。
ヴィーフェ様と私は、昨日から今朝にかけて集められたらしい、この王宮の現状が認められた報告書に順番に目を通していた。
そこに記されていたのは俺自身でも唖然とするような内容ばかり。
いくつかには勿論、俺が以前から気になっていた問題個所も含まれていたが、全く気付いていなかったものも多々あり、見落としていた自分の未熟さが恥ずかしくなるほどだった。
「ティーシャくんが嫁いできてだいたい1ヶ月、だっけ? これを見る限り彼はよくやってるんじゃないかと思うよ。所々改善されている分もあるみたいだし。ただ、昨日から接していても思ったけど、どうやら彼、性格的に大きく何かを変えるのは得意じゃないみたいだね。徐々に変化させていくって言うのも決して悪いわけじゃないけど……彼のやり方じゃ時間がかかりすぎる。どう見てもこの王宮にそんな悠長なことをしていられるような余裕はないね。そもそもこれじゃ、彼が倒れたら終わりだ」
ラーヴィ様の言葉を、宰相は苦い顔のまま聞いていた。
「……申し開きも、ございません」
殊勝に謝る。宰相自身もわかっていたことではあるのだろう。
本人も言っていたように、自身が城内の仕事などにそもそも全く詳しくない自覚があるだけに。
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