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第1章
1-62・転変。および希求④
しおりを挟む俺はその後、引き続き強制的に休息を摂らされた。
ルスフォルからの訪いも禁じたというのだからそれがいかに徹底していたかわかろうというものだろう。
大人しく従ったのかと、一瞬呆然としたが、従わないわけがないなとすぐに思い直した。
また、その夜は休息を摂らせるためにわざと、なのだろう、ラーヴィ様がお顔をお見せになることはなく、ヴィーフェ様も、初めに無口なのだと聞いていた通り、あれ以上話すことはなく。しかし、無口とは言えああしてお話しくださったのを思うと、必要なことには言葉を惜しまない方でもあるのだろうと、そうも思えた。
きっと間違ってはいないだろう。
「聞いたよ。昨夜、ヴィーフェに絞られたんだって? あの子、口数こそ多くないけど、結構きついでしょ? 歯に衣着せない所があるんだよね。でも、君を心配してるのは僕も同じだからね」
そんな風に、翌日顔を合わせたラーヴィ様も言っていたので間違いない。加えて、ラーヴィ様も意見としてはヴィーフェ様と同じだという。
「あんまりねぇ、夫婦のことについては僕もヴィーフェも口出ししたくはないんだよ? でも、目に余るようならそうはいかない。もし、君が何も言えないというのなら、僕達はルスフォル陛下に注意を促すだけだ。なにせ当事者は君とルスフォル陛下の二人だけなのだから」
そうまで告げられて、今のままではいけないと重ねて説かれた。
だが、俺は納得しきれない。
やはり口出しして欲しくない、そんな拒絶感が先に立った。でも。
「……婚姻式まで。今しばらく、様子を見て頂けませんか?」
せめてと猶予を願い出てみる。彼らはあくまでも見るに見かねて、俺に注意してくれているだけで、本来ならそのようなことに口出しする立場にもいなければ権利もない。否、立場や権利というのなら、身内として、目に余る行状を注意する、ことそのものは不自然ではないのだけれども。
いずれにせ、ルスフォルに何か言うのを待ってほしいと、俺がこうして告げるのは何かが違うような気がした。
だが、彼らの言動が全て善意から来ている物であることもわかっている。否、状況を踏まえて、そうするべきだと判断しただけと言うべきか。
彼らがこの王宮へと来てくれた目的。あまりにもひどい現状の改善。きっとあくまでもその一環なのだろう。
でも。
ルスフォルとのことは、どうしてか、やはり放っておいて欲しかった。せめてもうしばらくの間、婚姻式が終わるぐらいまでは。
それはあくまでも俺自身の心の問題である。
ラーヴィ様はしばらくじっと俺を見つめて。ややあって肩を竦めて頷いた。
「君がそこまで言うのならね。もうしばらくは様子を見ようか。そもそも僕達だって本当はそんなことに口出ししたくはないしね」
そこで示されたのは、少なくとも閨については、口出ししてこないという言質。
「ただし、今以上にひどくなるようなら様子を見たりしないから。君もよくよく考えた方がいいよ」
そんな風に釘だけは刺されたのだけれど。
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