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第1章
*1-68・転変。および希求⑩
しおりを挟む俺は実の所ルスフォルをどう思っているのか。自分でもわからないままだった。
嫌いなわけではない。むしろ愛している、そう思う。
だってルスフォルだ。
かつて俺が愛した相手。記憶があったってなくたって変わらない、ルスフォルはルスフォルだ。彼が彼であるならば、俺は。
でも。
10年ぶりにルスフォルと会った時。彼の瞳の中に、かつてのような熱はなかった。
当然の話だ。なにせ彼の中では俺とは初対面だったのだろうから。
だが同時に、ルスフォルが記憶を失った際に俺を見た時にあった不快感のようなものも何もなく、そればかりはよかったと、そう思ったのも確かなこと。
胸の痛みはどうしようもなく、だが、同時にルスフォルをこの目にするだけで、心臓の鼓動がうるさいほど。
だって好きだったのだ。否、今も変わらず愛している。何も色褪せることなく、ルスフォルへと向かう俺の心は俺の中にあり続けていて。でもきっとだからこそ、以前との違いを受け入れられない。
どうしても違うと、心のどこが軋むようだった。
だからこそきっと閨でも。俺は強張りが溶けないままなのだろうとそう思う。
「ティーシャ」
呼ぶ声は同じ。だけどそこにこもる想いの強さのようなものが何一つとして同じではない。
「へい、かっ……ぁっ! ぅうっ」
精一杯震える手を伸ばしてしがみつく。ルスフォル自身を奥深くまで受け入れさせられた腹の中は苦しく、入り口や内壁などについたばかりの傷を擦られて痛い。じくじくと治まらない痛みは堪えがたいほど。だけど俺は懸命にルスフォルを受け入れた。
自分から引き寄せさえする。そうしたら痛みも苦しさも増すばかりなのに、そうしないといけない、そう思った。
「ティーシャっ、ティーシャっ……ぅっ、ぅ、んっ、ぁっ」
ルスフォルはそんな風に小さく喘ぎさえしながら、止まらないとばかりに情熱的に俺を揺さぶるばかりで。
「ぁっ、ぁっ、ぅうっ、へぃ、かっ、あっ!」
上がる俺の声も、何も装えず反射的なもの以外は呻くようなそればかりで濡れてなどいないだろうに、ルスフォルは構わず俺を苛む。
それはもう、長く、長く、俺を放さず。
何時間も飽かず止まらず、何度だって俺の腹の中に魔力と共に欲を吐いた。
そのうちに俺は受け入れている部分が痺れ、よくわからなくなって、感覚も遠くなって。だけど痛いのと苦しいのだけがわかるまま。気持ちよさなんて少しもない、いっそ不快なほどなのに。だけど。
どうしてだろうか、こうしてルスフォルに求められていると、それだけで何故か安心した。
痛くて苦しいばかりの行為を、なのに俺は求めてやまず、そうされて初めて心の何処かが、打ち震えるような歓喜に戦慄くのだ。
行為が長く、激しければ激しいほどに。
それはもしかしたら10年前に同じようにされた際の。以前のルスフォルが俺を求めた情熱と、同じ熱だと感じられるからなのかもしれない。
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