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第1章
1-76・限外。よって誹る⑤
しおりを挟む俺はあまり興味なく、詳細を知らないまま。
そんな準備の中、告げられた言葉は、俺を戸惑わせるのに充分で。だけど、ヴィーフェ様は呆れたように溜め息を吐くばかり。
「自分でもわかってるんじゃないの? 今のままだと多分、ひどいことになると思うよ。僕の見立てではきっと、君はもたない」
そんな風に抽象的なことを告げられても納得できるはずがない。
わかっている?
何を、わかっているというのだろう。
確かに、不安がないわけではなかった。
昨夜も、否、今朝方まで過分なほど注がれて、今も溢れんばかりに俺の腹の中、留まっているルスフォルの魔力。それは、この王宮に迎え入れられて以降、増える一方で。
これを全てを作って子供を成したら。想像してみて、間違いなくそれは、よくないかもしれない、そうは思う。だけどそんなもの、少しばかり調整すればいい話。
俺はそれが出来る。そんなこと、お二人だってわかっているはずだ。
なのにわざわざ先程のように注意を促してきた。ある意味では警告のように。
「もしかして自覚してないの? だったら余計にやめておいた方がいいよ」
俺があまりに怪訝な顔をしていたからか、ヴィーフェ様は更に言葉を重ねてきて。
「え?」
気付けばおれっはそんな風、疑問の声を上げていた。
自覚?
何を、自覚していないというのだろう。
子供を成す。不安は、もちろんある。今度こそ。そうも思う。でも。
ヴィーフェ様の様子からだと、そういうこととはなんだか違うように思えた。
「自覚してなかったって言うんなら納得できる部分もあるけどね。特に夜については君、どう見ても聞く耳を持ってないっぽかったし」
夜。
それは俺とルスフォルのことだろうか。
ルスフォルとの閨でのことは、結局それほど大きくは変わっていない。ルスフォルの方からはどんどんと躊躇いや戸惑いが増していっていて、変化を望んでいるのは伝わってくるのだけれど、それを拒んでいるのは俺の方。
今のままがいい。そうとすら思っている。
痛くて、苦しくて。体も辛い。
でも、だからこそどこかで安心できていた。
「子供はね、君が欲しいって思えば、すぐに出来るだろうね。魔力は充分に注がれてるみたいだし。むしろ過分なぐらいだ。でも同時に、そこからもわかることがあるよ」
ヴィーフェ様の視線が、俺の腹部へと向けられる。何も変わらない。子供になんてしていない。ただ、毎晩毎朝これでもかと注がれ続けているルスフォルの魔力があるばかりのその部分。
「ねぇ、君は今まで、本当に何も疑問に思うことはなかったの?」
更に訊ねられて、だけどわからない。いったい何のことを言っているのだろうか。
俺の腹にたまった、ルスフォルの魔力がなんだというのか。
「君は経験があるから、わかるかと思ってた。ううん、経験があるから余計にわからなくなっているのかな?」
近づいてきていたヴィーフェ様が、すっと、俺の下腹部へと手を近づけてくる。
俺は抗わず、触れられるのを受け入れた。
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