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第1章
1-99・告白。さきへ君と⑦(ルスフォル視点)
しおりを挟むむしろティーシャが俺を敬うような態度を取ることの方が不自然かもしれないとさえ思う。
否、俺と、そこまで親しくするつもりはないという表れなのだろうか。閨の中でまで、ティーシャの態度は崩れない。それがなんだか寂しかった。
ラーヴィ様は非常に品のいい仕草でお茶に口を付けると、ゆっくりと味わってからようやくカップを置き、改めて口を開き始める。
「話というのは他でもない、ティーシャのことなんだけどね」
いつの間にそんな風に親しく愛称を呼び捨てるようになったのだろう、ちらと思いながら俺は頷く。
「はい」
そうだろうとも、他にない。
「婚姻式までに、君に伝えておいた方がいいかと思って。あの子には可能な限りヴィーフェがついているし、君に話すなら僕かな、と」
ティーシャにヴィーフェ様がついている? 何かあったのだろうか。
気にかかった俺の心情を察したのか、ラーヴィ様はすぐに続けて言い添えた。
「ああ、ティーシャに何かあったとかではないよ、そこは安心して欲しい。ただ、少し……そうだね、あの子は今、不安定になっていて。婚姻式も近いしね」
不安定? それは立派に何かあるということではないのだろうか。
「あー、うーん……気になる、よねぇ……でも、あの子の不安定さって、今の君にどうにかできることじゃないんだよ。否、それも踏まえて君と話さなければならないと言ってもいい、かな」
先程のラーヴィ様の言葉では到底安心できなかった俺を察したのだろう、ラーヴィ様は僅かばかり溜め息を吐いた。
今から話してくれるというのなら聞くしかない。むしろ早く聞かせて欲しい。
「ティーシャが……どうしたというのです」
気になって仕方がない俺を、ラーヴィ様は一瞬、注意深く観察したかと思うと、何か納得できることでもあったのか小さく頷く。
「一応確認だけど、君って今、あの子のこと、結構気に入っているよね。むしろ好意を寄せていると言っていい。違う?」
俺はなぜそんなことを聞かれるのかがわからなくて、驚きにぱちりと一つ瞬いた。
だけどすかさず首肯する。
「確かに俺は、彼が……好きなんだと思います」
そうでもなければこんなにも、彼のことばかり考えていることの説明がつかない。
何よりもほとんど毎晩のよう、放したくないとまで思う衝動がどこから来ているのか。好意が理由ではないだなんてあり得ないだろう。
むしろもっと強い気持ちのようにさえ思う。
好き。
そんな短い言葉で言い表せるような感情ではなくて。
「よかった。なら僕は今からきっと君にショックだろうことを言うけれども、猶更しっかりと受け止めて欲しい」
彼のことが、好きなんだったら。
にこり。微笑んだラーヴィ様の言葉は、だけど俺には恐ろしい予兆か何かに見えてならなかった。
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