そしてまた愛と成る

愛早さくら

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第1章

1-121・告白。さきへ君と㉙(ルスフォル視点)

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 自分の無価値さと無力さを、思い知るばかりの日々だった。
 余裕など何処にもなく、ティーシャを想えるはずもなく。
 結果だけを見るならば、こんな場所で記憶を失った俺との側に寄る辺ないティーシャはいない方がよかったのかもしれないとそう思う。きっといてもどうにもならなかった。あるいは王太子にとってだけならば悪いことではなかったかもしれないがそれだけ。
 離れた方がよかったのだとは言いたくなくとも、そう思わざるを得ないような状況で。だって俺は今より更に未熟だった。
 ティーシャは魅力的だ。
 傍にいて、もし支えてくれていたならば、俺は今と同じよう、彼に惹かれていたかもしれない。正妃としてエティアを迎えていながら? なんて不誠実なことだろうか。
 吐き気がした。
 10年前とこの10年と今を思って、わけのわからない感情が渦巻いていく。
 ティーシャが好きだ。惹かれている。
 傍近くありたいと思う。触れられる位置で、ずっと。
 ティーシャはキレイで、可愛くて、でも儚く脆い。今も不安定なのだろう、それは俺にだってわかっている。
 そんなティーシャを、守って、支えて、これからも。それにはきっとではいけなかった。になってはいけなかった。
 渦巻く自責の念。
 よく考えなければいけない。
 ティーシャと話し合わなければいけない。
 わかっていた。
 何故ならきっとそれだけが、今の俺に出来る全て。
 彼に、寄り添うこと。
 彼と話すこと。
 俺がいくら望んでも彼の方が拒絶している、そんな状況を言い訳にせず、彼との時間を取って、ゆっくりと寄り添いあっていきたい。
 そうしなければいけない、そう思う。
 勿論、本当は俺は彼にを返してあげたいとも思っていた。
 記憶を失う前の俺を、彼に。だけどそんなこと、俺にはどうにもできないことだから、並ばせて今からであっても。彼の近くで寄り添いたいのだ。
 だから。
 彼に告げよう。
 そう決める。
 今の俺の心の全て、きっと彼に捧げよう。
 婚姻式は迫っている。
 それまでは流石に時間が取れない。なら、終わった後であるならば。
 ラーヴィ様やヴィーフェ様がいらして下さっている間に。リモヌツ公爵も数日は滞在して下さる予定となっていたはずだ。
 きっと彼の方も、ティーシャにとってはいらした方がいいだろう。
 ティーシャを支えてくれるものは一人でも多い方がいいのだろうから。

「ティーシャ、俺は、君を」

 きっともう、とっくに愛していて。
 だから俺は、今、君に。いったい何が出来るだろうか。
 ティーシャ。
 俺はただ、彼のことだけを思っていた。
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