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第1章
1-124・間近。それに向て③
しおりを挟む国王は俺を決して良くは思っていない。だけどこと、こういう時に限っては、ある意味では大変にお互いの苦労に対して共感することが出来た。
義父はそれぐらいには独特なのだ。
「父上。あまりご無理をおっしゃらないでください。こちらにはこちらの慣例があるようです。勿論、父上のお気持ちは嬉しく思いますが、なにぶん、こちらとしても今以上の調整は難しく。……私自身の力不足を痛感するばかりです」
礼儀に則ったお行儀のいい返答を返すと、国王はどこか満足そうだった。
この人はそこまで理不尽な人というわけではないので、俺が弁えた態度でさえいれば、それだけで機嫌を直して下さるのだ。
ただしそんな俺の態度など、当然のよう、義父に受け入れられるはずはなく。
「んもぉ! またそんな他人行儀な言い方をして! 僕には本当を教えていっていつも言ってるでしょっ?!」
言いながら立ち上がって身を乗り出し、それなりに広いテーブルの上へと覆いかぶさるかのごとく、俺へとずいっと迫ってくる。
俺は仰け反った。近い。し、怖い。
「リリ!」
国王が止めるのもなんのその、俺は止める間もなく義父に両肩を掴まれて。体感をそれほど鍛えているわけでもない義父は、バランスを取るため、遠慮なく俺の両肩へと体重をかけてきていて、正直言って肩が痛かった。
俺は残念ながら義父と大きく変わらないながらも義父よりほんの少しばかり小柄なのだ。
当然、義父の体重など支えられず、ソファへと背を預けることとなる。
「いい加減にしろっ、リリ!」
国王が強引に引き剥がしてくれていなければ、おそらく義父は俺を巻き込みながらテーブルの上へと倒れ込んでいたことだろう。テーブルの上には当然お茶が用意されていて、そうなった場合の惨状を想像してぞっとした。
国王には感謝してもし足りない。
「ちょっとグトくん、何すんのさ、放して!」
「いいからお前はおとなしくしてろっ! あー、その、すまないな、ティーシャ殿」
義父を抑え込みながら俺へと申し訳なさそうにする国王は憐れで、俺の方こそ申し訳なくなりながら、俺は控えめに苦笑した。
「いいえ、お気になさらず。私の方こそ、対応が良くなかったようで……」
この場合の対応は、もちろん、義父に対してのそれということだ。
「あー、いや、ティーシャ殿のお言葉は何もおかしくなかったと思うぞ、うん」
「何言ってんの、グトくん! おかしいとこだらけだったでしょ! 僕ら親子なんだよ?! あんな他人行儀でいいわけないじゃないっ、よ、放してってばっ!」
気まずげな国王に抑え込まれながらじたばたと暴れる義父の様子は、いつも通りと言えばいつも通りだった。
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