【完結】可愛げがないと糾弾されましたが婚約者にはそこが可愛いと言われたので問題ございません!

愛早さくら

文字の大きさ
14 / 26

13・嫌悪

しおりを挟む

 私はルーミス殿下に決して好かれてなどいない。
 だけどもしかしたら、嫌われているわけではないのかもしれない、そう思うようになったのは、他でもないキューミオ殿下と、キューミオ殿下とよく一緒におられる女生徒への、ルーミス殿下のご対応を見かけるようになってからのことだった。
 なにせ彼らに対してルーミス殿下は、本当に嫌悪をお隠しになられなかったのだ。
 私には、まさかあれが、キューミオ殿下の言うように、照れ隠しや素直になれないご様子のようには思えない。
 おそらくは本当に嫌がっている。
 そうとしか見えなかったし、私の周りの方たち皆も、同じ意見であるようだった。
 と、言うか、あれほどまでにルーミス殿下に邪険にされておきながら、一切気にした様子を見せず、それどころか、

「おいおい、素直になれよぉ、そんな振りしなくたっていいんだってぇー」

 などと言いながら纏わりつけるのは鈍いだとかいうどころの話ではないとしか思えない。
 どこかの感覚がおかしいのではないかと思ってしまうほど。
 否、キューミオ殿下の解釈としては、

「いや、だってあの鉄面日が崩れるんだぞ? 素直になれないだけで、悪からず思ってるはずだ!」

 というようなことになるようなのである。
 なお、いずれに通りすがりに聞こえてきた、キューミオ殿下ご自身の発言である。
 特に前者は何度となく同じようなことを言っておられるので、本当にそう思っておられるということなのだろう。
 後者は、傍らに女生徒が、

「ルーミス様ったらこわぁーい! なんでキューミオ様は平気なんですかぁ?」

 だとかなんだとかいった時の返答だったように思う。だからあれぐらい平気なのだと。
 怖いとすら思ってもいなさそうなキューミオ殿下の発言には、私も周りも思わず眉を潜めそうになるほどだった。
 よくそのように解釈できるな、と驚くばかり。
 キューミオ殿下と対峙するルーミス殿下のご様子には、嫌悪しか見当たらなく見えるのにと。
 否、もしかしたらあるいは。それを通常と思う程、そのようなお顔ばかり見せられていらっしゃるようだからこそ、キューミオ殿下は、照れ隠しだとかなんだとか、お思いになられたのかもしれない、そんな風にも考えることが可能だった。
 なにせルーミス殿下がキューミオ殿下に示されるのは、表情と態度程度で、流石に言葉にはされていないようだったから。
 おそらく、何をどう言っても、友好国の王族だという認識がおありになるからなのだろう。
 折に触れ、

「不愉快だ」

 などと言うようなことはおっしゃっておられるようではありつつ、基本的にはそれだけで、眉をひそめて、嫌悪を顔に出して、そして出来るだけ避けようとして避け切れていないようだった。
 つまり、邪険にもし切れずにいたのである。
 そのような部分がおそらく、キューミオ殿下を助長させてしまっていたのだろう。
 とは言え、やはり私の目にはどうにもルーミス殿下はキューミオ殿下達を嫌っておられるようにしか見えなくて、あのような対応など取られたことのない私は、つまり少なくとも嫌われてはいないのだなと、そう考えるようになっていったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました

Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。 「彼から恋文をもらっていますの」。 二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに? 真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。 そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

隠れ蓑婚約者 ~了解です。貴方が王女殿下に相応しい地位を得るまで、ご協力申し上げます~

夏笆(なつは)
恋愛
 ロブレス侯爵家のフィロメナの婚約者は、魔法騎士としてその名を馳せる公爵家の三男ベルトラン・カルビノ。  ふたりの婚約が整ってすぐ、フィロメナは王女マリルーより、自身とベルトランは昔からの恋仲だと打ち明けられる。 『ベルトランはね、あたくしに相応しい爵位を得ようと必死なのよ。でも時間がかかるでしょう?だからその間、隠れ蓑としての婚約者、よろしくね』  可愛い見た目に反するフィロメナを貶める言葉に衝撃を受けるも、フィロメナはベルトランにも確認をしようとして、機先を制するように『マリルー王女の警護があるので、君と夜会に行くことは出来ない。今後についても、マリルー王女の警護を優先する』と言われてしまう。  更に『俺が同行できない夜会には、出席しないでくれ』と言われ、その後に王女マリルーより『ベルトランがごめんなさいね。夜会で貴女と遭遇してしまったら、あたくしの気持ちが落ち着かないだろうって配慮なの』と聞かされ、自由にしようと決意する。 『俺が同行出来ない夜会には、出席しないでくれと言った』 『そんなのいつもじゃない!そんなことしていたら、若さが逃げちゃうわ!』  夜会の出席を巡ってベルトランと口論になるも、フィロメナにはどうしても夜会に行きたい理由があった。  それは、ベルトランと婚約破棄をしてもひとりで生きていけるよう、靴の事業を広めること。  そんな折、フィロメナは、ベルトランから、魔法騎士の特別訓練を受けることになったと聞かされる。  期間は一年。  厳しくはあるが、訓練を修了すればベルトランは伯爵位を得ることが出来、王女との婚姻も可能となる。  つまり、その時に婚約破棄されると理解したフィロメナは、会うことも出来ないと言われた訓練中の一年で、何とか自立しようと努力していくのだが、そもそもすべてがすれ違っていた・・・・・。  この物語は、互いにひと目で恋に落ちた筈のふたりが、言葉足らずや誤解、曲解を繰り返すうちに、とんでもないすれ違いを引き起こす、魔法騎士や魔獣も出て来るファンタジーです。  あらすじの内容と実際のお話では、順序が一致しない場合があります。    小説家になろうでも、掲載しています。 Hotランキング1位、ありがとうございます。

初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました

山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。 だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。 なろうにも投稿しています。

悪魔が泣いて逃げ出すほど不幸な私ですが、孤独な公爵様の花嫁になりました

ぜんだ 夕里
恋愛
「伴侶の記憶を食べる悪魔」に取り憑かれた公爵の元に嫁いできた男爵令嬢ビータ。婚約者は皆、記憶を奪われ逃げ出すという噂だが、彼女は平然としていた。なぜなら悪魔が彼女の記憶を食べようとした途端「まずい!ドブの味がする!」と逃げ出したから。 壮絶な過去を持つ令嬢と孤独な公爵の、少し変わった結婚生活が始まる。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

処理中です...