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13・嫌悪
しおりを挟む私はルーミス殿下に決して好かれてなどいない。
だけどもしかしたら、嫌われているわけではないのかもしれない、そう思うようになったのは、他でもないキューミオ殿下と、キューミオ殿下とよく一緒におられる女生徒への、ルーミス殿下のご対応を見かけるようになってからのことだった。
なにせ彼らに対してルーミス殿下は、本当に嫌悪をお隠しになられなかったのだ。
私には、まさかあれが、キューミオ殿下の言うように、照れ隠しや素直になれないご様子のようには思えない。
おそらくは本当に嫌がっている。
そうとしか見えなかったし、私の周りの方たち皆も、同じ意見であるようだった。
と、言うか、あれほどまでにルーミス殿下に邪険にされておきながら、一切気にした様子を見せず、それどころか、
「おいおい、素直になれよぉ、そんな振りしなくたっていいんだってぇー」
などと言いながら纏わりつけるのは鈍いだとかいうどころの話ではないとしか思えない。
どこかの感覚がおかしいのではないかと思ってしまうほど。
否、キューミオ殿下の解釈としては、
「いや、だってあの鉄面日が崩れるんだぞ? 素直になれないだけで、悪からず思ってるはずだ!」
というようなことになるようなのである。
なお、いずれに通りすがりに聞こえてきた、キューミオ殿下ご自身の発言である。
特に前者は何度となく同じようなことを言っておられるので、本当にそう思っておられるということなのだろう。
後者は、傍らに女生徒が、
「ルーミス様ったらこわぁーい! なんでキューミオ様は平気なんですかぁ?」
だとかなんだとかいった時の返答だったように思う。だからあれぐらい平気なのだと。
怖いとすら思ってもいなさそうなキューミオ殿下の発言には、私も周りも思わず眉を潜めそうになるほどだった。
よくそのように解釈できるな、と驚くばかり。
キューミオ殿下と対峙するルーミス殿下のご様子には、嫌悪しか見当たらなく見えるのにと。
否、もしかしたらあるいは。それを通常と思う程、そのようなお顔ばかり見せられていらっしゃるようだからこそ、キューミオ殿下は、照れ隠しだとかなんだとか、お思いになられたのかもしれない、そんな風にも考えることが可能だった。
なにせルーミス殿下がキューミオ殿下に示されるのは、表情と態度程度で、流石に言葉にはされていないようだったから。
おそらく、何をどう言っても、友好国の王族だという認識がおありになるからなのだろう。
折に触れ、
「不愉快だ」
などと言うようなことはおっしゃっておられるようではありつつ、基本的にはそれだけで、眉をひそめて、嫌悪を顔に出して、そして出来るだけ避けようとして避け切れていないようだった。
つまり、邪険にもし切れずにいたのである。
そのような部分がおそらく、キューミオ殿下を助長させてしまっていたのだろう。
とは言え、やはり私の目にはどうにもルーミス殿下はキューミオ殿下達を嫌っておられるようにしか見えなくて、あのような対応など取られたことのない私は、つまり少なくとも嫌われてはいないのだなと、そう考えるようになっていったのだった。
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