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14・もしかして
しおりを挟む「ラーファ嬢。君は何故、そのような態度しか取れないのだっ! 全く、可愛げがないにも程があるっ!」
その日私がキューミオ殿下からそのような、よくわからない言いがかりのような糾弾を受けたのは、ある意味ではすでに、日常と化している出来事だった。
理由はいったい何だっただろうか。
そう、大したことではなかったと私は認識している。
おそらく、だが、私のルーミス殿下への態度を見かけられて、なのだろう。
キューミオ殿下から突然そのようなことを言われる直前、私はルーミス殿下と共にいた。
何のことはない、そこで殿下は、
「今日は提出物のことで教師から呼ばれている。遅くなるかもしれないから、先に王宮に向かっているように」
というようなことを、私に申し付けられたのだ。
その日は共に王宮に向かい、王族教育を受ける予定となっていたからこその、ただのなんてことない伝達事項に過ぎなかった。
近頃はキューミオ殿下との関りがあるので、必ずというわけではないが、私とルーミス殿下は特に何もなければ、学園でも共に過ごしていて、だけどその日のように、提出物だとか、教師から何かを申し付けられたりだとかした場合は、当たり前だがその限りではなかった。
それ以外でも、私は私でルーミス殿下以外の人との関りもあるし、それはルーミス殿下も同じだ。
だから私はいつも通り、常と何も変わらず微笑んだまま、
「かしこまりました。先に向かっておきます」
と、素直に了承した。
ルーミス殿下は軽く頷いて、職員室等のある方へと去っていった。
私はそれを見送って、さて言われた通りに先に王宮へ向かおうとした矢先のことである。
キューミオ殿下から突然、先程のようなことを半ば怒鳴るように告げられたのだった。
この時にはすでに、このようなことは日常となっていた。
ただ、いつもと違うと言えば、ルーミス殿下が傍にいらっしゃらないこと。
いつもならルーミス殿下が不快をあらわにして、その場を去って行かれるのだ。
キューミオ殿下は決まってその後を追って、私への苦言がうやむやになる、というのが、いつもの展開、というようになっていて、だけどこの時はルーミス殿下はいらっしゃらなかった。
私はどうしようかと内心戸惑った。
キューミオ殿下は国賓で、下手に反論などは出来ず、かと言って糾弾されるままでもいられず。
そう思うと、いつも不機嫌をあらわにするルーミス殿下は、もしかして私を助けてくれているのかもしれないとも思い至った。
そのように思考を遊ばせる私の前で、キューミオ殿下はどうやらおそらく私に対して怒っている。
「先程の態度はいったい何だっ! ああいう場合は、名残惜しそうにするなり、寂しそうにするなり反応があるだろうっ! それをっ……! 何故平気な顔をしている! 本当に人形か何かなのかっ、君はっ!」
相変わらず、何をこれほどまでに怒っているのかよくわからないが、おそらくはいつも通り、私の様子が変わらなさすぎることが良くないと言いたいらしい。
そう言われても、私にはどうすることも出来ない。
それよりも、先程のような何気ないことぐらいで、キューミオ殿下が言うように、逐一反応を示す方が問題ではないかとしか思えなかった。
しかしそれも当然口には出せず。ただ、私は。
「ご不快にさせてしまったようでしたら申し訳ございません」
と、いつも通りの態度を崩さずに、口でだけ謝罪するのみ。
もちろん、それでキューミオ殿下が留飲を下げられるなどと言うことはなく、
「それが申し訳なく思っている態度なのかっ! この期に及んで顔色一つ変えないとはっ!」
などとますます激昂し始める始末。
私はそのまま、わけのわからないキューミオ殿下からの糾弾を、変わらない態度で聞き続けるより他になかった。
そしてつくづく思うのだ。
やはりいつもは、ルーミス殿下が、助けて下さっているのかもしれないと、そう。
その日のことは、ただただそう言ったことを実感するだけの出来事だった。
ちなみにその時の終わらないキューミオ殿下からの糾弾は、途中で駆け寄ってきた、例の女生徒の、
「キューミオ様ぁ~! お茶に連れて行って下さるんじゃなかったんですかぁ?」
などと言う、甘えたような態度と言葉で中断されることとなったのだが、あの女生徒に助けられたと思うことがあるなんて、まさか予想もしていなかったなとそう思ったことも付け加えておく。
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