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4・初めての国内視察
4-33・見つめ直すこと⑭
しおりを挟むティアリィが恋を知ったのはそれよりずっと後、6年前。ようやく自覚したのは、自分が疾うにミスティへと心を傾けていた事実で、今となってはアルフェスとミスティを、同列に考えることなんて到底できなくなっている。
だけど確かに、11年前は違っていた。
それをアルフェスは正しく、今は理解できているのだという。
アルフェスはティアリィの方へと振り向かなかった。入り江にいるルーファを見たまま、ティアリィが何も返さないのにも構わず更に話し続ける。
「元々僕が好きなのは貴方だった。ルーファじゃない。ルーファのことは、ただの幼なじみとしか思っていませんでした。それはきっとルーファも同じ。ルーファはただ、彼女なりの正義感で、僕を選んだに過ぎません。あの頃、貴方は僕を避けていた。それがルーファには蔑ろにしているように感じられたのでしょう。それぐらいなら自分が。そう思ったのは間違いなく恋心じゃなかったはずだ。でも、生涯を共にしてもいいと思うぐらいには僕を大切に思ってくれていた。その後も実際、ルーファは僕を大事にしてくれました。僕のことを一番に優先して心を傾けて。いつしか僕がそれに絆されるぐらい、ルーファは僕に誠実であってくれたんです。結局、何処まで行っても自分からはルーファに触れることも出来ない僕に、ルーファの方から触れてくれて。それで……」
それはティアリィの知らない、ルーファとアルフェスの11年間の話だった。
恋心などなくとも二人、大切に積み重ねてきたのだろう時間。
ティアリィとミスティの間にはなかったものだ。否、違う、二人とは違っていても。ティアリィとミスティの間にも同じよう、共に寄り添った11年間は流れてきている。
ただそれは二人と違って、お互いに劣情に押し流されるかのような、静けさとは無縁な11年間だっただけ。
ルーファが遠めにも、穏やかな表情でこちらを見て微笑んでいるのがわかる。
それとはとても落ち着いた大人の女性らしい様子で。
ああ、そうか、ルーファも、もうすっかり大人なのだ。
ティアリィは今更そんなことを痛感した。
きっと自分はわかっているつもりで、何もわかっていなかったのだろうと、そう。
と、そうしてアルフェスの視線を追うように、ルーファを見ていると程なく、アルフェスの視線が、ティアリィの方を向いたのに気付く。
ティアリィもまた、アルフェスに向き直った。
アルフェスの視線も静かで。
そこには11年前の、媚びるような熱情など何処にもなかった。
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