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4・初めての国内視察
4-68・誰かの話②(???視点)
しおりを挟む母の言うとおり僕は父に似ていた。
とは言え、そっくりというほどでもないのだけれど、ただ、美しい母に似ていないことだけは確かで、それが決して悪いことではないことも、また間違いのない事実だった。
何故ならもし僕の見た目が美しければ。きっと僕は母と大差ない状況となっていたことだろう。
否、ここ以外知らない僕は、もっとひどいことにまでなっていたかもしれない。
例えば僕より4つ年下なだけの二人目の弟のように。
弟は大変に美しい容姿をしていた。
その所為で今も、地獄の只中にいる。
僕は決して美しくはなく、その所為で父は僕に興味を持たなかったようだった。
父が関心を示すのは見た目の美しいものだけだ。
あとは余程、何かの能力に優れてでもいるか。
どちらも持たない僕は、父からほとんどいない者のような扱いを受け育てられた。
母は、少なくとも一度は正妃という立場にいたことのある存在で、それでなくとも国内の有力貴族の血を汲んでいる。
その上、第一子の第一王子だ。本来なら尊重されてしかるべきなんの瑕疵もないはずの出自を持つ僕は、だけどこの国の中では価値などなくて。
一応はある程度の教育は受けることが出来た。
だが、それだけ。
あとは息をひそめるように過ごす日々。
子供の時は気付かなくても、年齢を重ねるにつれて、この場所の異常さには気づかざるを得なくなる。
特に僕はそう言った意味では放置されていたし、避けられている部分さえあり、また、僕の教育係だったものが、祖父の用意した人員であったのもよかったのだろう。
僕はそのうちに母という存在は、ただ悲鳴や喘鳴だけを上げ、特にちらとこちらを見るだけの打ち捨てられたような憐れなだけのものではないのだということを知った。
本当はもっと違う存在であるのだと。
そして父とは、自分を一瞥だにしないようなものを指しはしないのだと。
だが、それらを知った所で、いったい何だというのだろう。
僕は母のような扱いは受けない。あんな、苦しめられるだけのような扱いなど。
だけどかと言って誰かに大切にされた記憶もない。
僕は臆病で、それなりに大きくなって、母と部屋が分かたれた時、ただひたすらほっとしてしまったのである。
だってもう、あんな。心をかきむしられるような母の苦鳴を、もう耳にしなくてもいいのだから。
それはなんて薄情なことだっただろう。
僕がこの場所で、まだ悪くはない状況で育つことが出来たのは、母が母だったからだ。
母の実家の影響だった。
なのに母から離れられてよかったなどと。
母を助けようともせずに。
「なんて……浅ましいっ……」
僕の呟きを拾う者なんてどこにもいたりしなかった。
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