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しおりを挟む俺の視線が、あまりに不躾だったのか、和凪は気まずそうに顔をそむける。
「いいだろ、別に……いいな、と思う子がいなかったんだよ」
告白をされたこと自体はあるらしい。
「いや、そりゃ、別にいいんだけど……意外で」
つい、そのまま、自分のこれまでを振り返ってしまった。
これまで、彼女と呼べる相手がいなかったことこそほとんどない。
自分から声をかけることもあれば、相手から近づいてくることもあった。
むしろ高校に入ってからの数ヶ月の、特定の相手がいない期間自体、おそらくは最長記録と言うやつだろう。本当に、思い出せる限り、物心ついてからずっと、女の子と親しくしていないことなんてなかったのだから。
半面、和凪ほど、親しく接した男子がいないことも事実だった。
勿論、仲の良いクラスメイトがいなかったわけでもなければ、いじめられていただとか、避けられていただとかいう経験もない。ただ、より親しいのが女の子の方だったというだけの話。
和凪とこれほど長く共に居続けていることの方が自分でも驚きだ。それはひとえに和凪の方から声をかけてくるからだった。
「そういう利悠はどうなんだよ」
聞き返されて、何故だか一瞬躊躇してしまう。とは言え、別に隠したり誤魔化したりするようなことでもない。
「俺か? 俺はむしろ、彼女とか、あとはカナたちとしか来たことないよ」
女の子たち数人と俺と言うのも少なくないぐらいには。
それを聞いた和凪はなぜか苦く笑って。
「利悠は……そうだろうな」
と、曖昧に頷いた。次いでどこか眩しいものでも見るかのように目を細めて俺を見る。その様子が、寂しそうだと思ったのはどうしてだったのだろうか。
その後向かったゲームセンターでは、勿論、それなりにはしゃいで楽しんだし、テキトーに入ったファーストフード店で摂った昼食もいつも通りと言えばいつも通り。通りかかった店を冷かしたり、互いに服を見立て合ったりだとか、ごく、当たり前のやり取りしかしていなかったと思うのだけれど。
俺は何故だか、しばらくの間、その日の初めに見た、寂しそうな和凪の眼差しが、目に焼き付いて離れなかった。
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