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結婚式の前日に怪我を負ってから2年後、カーラの13歳の誕生日パーティーの日にもう1つの大きな事件が起こる
それに備えなければいけない

 「カーラは…妹は怪我を負いました。その事がこの先どう作用するか分かりません」
 「そうですね、もしかしたら最悪の場合、早まって起こってしまうかも」
嫁いだラステルは夫の家に住む事も出来る
だか、ラステルは首を縦に振らなかった

 「もう、逃げたくありません…やられた事はお返しして差し上げないと」







祝言を挙げて3ヶ月 その日はやって来た
兄アルステインの宰相就任祝いにより公爵家でパーティーが催された
両手に怪我を負ってから私への直接的な攻撃は減ったものの、難癖をつけるのだけはヒートアップしていたカーラと夫人もこの日ばかりは浮き足立っているようだった
 「お姉様!パーティー楽しんでますか?」
 「ええ、お兄様の晴れ姿が見られてとても嬉しいわ」
 「そうですね!お兄様もとっても素敵!」
巻き戻る前、兄は祝いなど不要だと言ってパーティを催す事はなかった
今思えば、私が怪我を負って婚約を解消された手前、沢山の人が集まる催しを避けていたのだろう…やはり何処までも妹思いな兄だ

 「…カーラとお義母様は、ドレスを新調なさったのね」
 「あら!気が付きました?お母様が買ってくださったの」
ふふんと裾を翻しドレスを見せびらかすカーラ
調、ねぇ…


 「お姉様」
 「なに?」
急に怪しげな笑みを浮かべながら擦り寄ってくるカーラに寒気がした
 「お部屋に忘れ物をしてしまったの…一緒に来て下さらない?」
 「…メイドにお願いしたら?」
 「お姉様への結婚のお祝いもあるから、お渡ししたいの…お願い」
 「……分かったわ。行きましょう」

カーラと私の部屋へ向かう階段
時を戻してもらう前は彼女のお誕生日パーティーで起こした事件を、やはり…今日実行しようとしているのか

ピッタリと腕に寄り添うカーラ
を狙っているのだろう
…そうはさせない


 「カーラ」
 「…なあに?」
 「貴方の次は、お義母様よ」
 「え?」

パシッ
カーラの手を跳ね避け、重心を後方に傾ける

 「は!?!」

あらあら、間抜けな顔ね
驚いたでしょう?を私がしたんだから

 「ッキャーーーーッッ!!!」

ガタガタバタンッ!

 「何事だ!」
 「きゃ…!ラステルお嬢様よ!」
 「ラステル様!?」
 「階段から…?」
悲鳴と鈍い音を聞きつけた人々が集まり、その視線は階段上部へと移る

 「ひっく…痛いわ…っ、カーラ…どうして…?」
 「は?」

事態が呑み込めない様子のカーラ
肩を震わせ怯えた目でカーラを見上げるラステル

 「…カーラ様?」
 「まさか…」
徐々に周りもカーラを疑い始める

 「ち、違う!私じゃないわ!そいつが自分から…!」
 「いつも…私に、“出来損ない”って…
私が結婚する時も…“幸せになんてなれっこない”と…っ」

まぁ、時を戻す前に言われた言葉もあるのだけれど…彼女に言われた事に変わりはない

 「だからって…っ、こんな事をするなんて…」

さぁ…どうする?貴女が私にやった事よ

無実の罪で周りから非難され誰も自分の言葉に耳を傾けてくれない
結局は皆、目に見えた被害者の話しか信じてくれないのよ…?

 「なんて事…」
 「姉に対してそんな事を」
皆の疑いが確信に変わった時、思いもよらない人が登場した


 「なんの騒ぎだ」
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