君だけは俺を見てくれた

桐野瀬 螺夢

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動揺

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「えっ、あの……」

「さっきからいるの知ってるよ……んぁっ。」

やはり俺は動揺が隠せない。
どうしたらいいんだ?

「ほーら、入っておいでよ。」

俺は決心して扉を開けた。
そこには……









腹筋しているその子がいた。


「一緒にやる?……変な勘違いしてたでしょ」

俺は図星で真っ赤になり彼女は、それをクスクス笑ってた。

「よし、じゃあした降りよっか。」

何故かわざわざ俺の手を握って階段を降りる。

「あの、そんな手とか握らなくていいっすよ。」

「えええ、手握ってたいんだもん。ダメ?」

ダメかと聞かれると駄目でもないけどでも絶対俺を男として意識してないのが丸分かり。

リビングにつくと二人だけじゃ広いような机がありそこには椅子が並べられていた。

「マドレーヌ、食べられる?ってああ!晩御飯の材料買い忘れた!後で一緒に買いに行こうね!」

そう言って目の前に出されたのは可愛いお皿。
そこにちょこんってのせられるマドレーヌ。本では読んだことあったけどこんなに美味しそうなもの見たことは無い。
それからミルクティーと、フォークが置かれた。

「じゃ、いただきまーす!」

その子はフォークを上手に使い口の中に入れていく。
たいして俺はフォークの使い方もわからずしどろもどろ。
そうしていると彼女は、俺のおさらに乗っているマドレーヌを綺麗に分け

「はい、あーん。」

傍から見ると恥ずかしい光景だが俺は言われるまま口の中に入れてもらった。

……美味しい……。
自然と涙が出てくる。そんな俺を彼女は不思議そうに見つめ黙ったまま抱きしめてくれた。
そのまま俺は時間もわからないまま泣きじゃくった
そんな俺を嫌そうな顔をせずずっとナデナデしてくれていた。






少し時間が経つと恥ずかしくなってきてフォークの使い方を教えて貰うことにした。

これを提案した俺は失敗だった。
後ろから抱きつかれるような感じになって年頃の女の子の胸が頭に当たるようになってしまった。
彼女は大して気にしてないようだが俺の理性は爆発寸前だった。

早く食べきってしまおう。それだけが頭にありモグモグと口の中に放り込んでいると彼女がいきなり

「君の名前は何ていうの?」

って、聞いてきた。

「…………38番」

俺が覚えているのはそれだけ。

「38番かー、元の名前は?」


元の名前?そんなの覚えていない……。
黙っていると彼女はこう言ったんだ。

「じゃあ、思い出すまで君の名前は海人だよ、海の人って書いて海人。でね、私の名前は桃。桃の花とかいうじゃない?あの桃だよ。で、15歳。君は14歳なんだってね。私よか一つ下なんだね。」

まじかよ、よりによってしたかよ。

「まぁ、私は早生まれだからたいそう変わらないけどね。」


その後の沈黙。
その沈黙の間に思ったことがあったんだ。












その年で……親は?

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