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第一章
ぼくのなかのたましいのかけら
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カリナの声に応じつつ、ドアを開ける。
執事には、暴漢対策も含め、窓もドアも開けるなと聞いていたのだが、カリナは執事よりも上の立場に当たる人物だ。開けて構わないだろうと判断する。
「……済まないわね。これを返しに来たわ」
カリナは片手に蝋燭の皿を持っており、片手には<黒裂>が握られており、少しだけ、声も肩も、蝋燭の炎も震えている。
「泣いていたの?」
「違、……わないわね。そうよ、兄のために泣いていたの」
一瞬違うと虚勢を張りかけて、ユウキに宿る兄の魂に嘘を吐くことを躊躇い、カリナは本当のことを告白した。
カリナはルイージが大好きだった。もちろん肉親の情としての範囲内ではあったが、皆に大好きなのだと臆面もなく言える程度には大好きだった。
ニーナを引き取った頃から、ルイージは【西方街】のこの屋敷に住んでいたのだが、カリナが来た頃から徐々に町の外に出かけることが多くなり、ついには【北西街】に居を構え、ここには戻って来なくなった。
もちろん伯爵家の第一子としての立場や仕事などがあったからだが、カリナにはそれが不服だった。何故なのかと父親にも聞いてみたが、当たり前のことしか言わず、当たり前に諭され、遂には「我儘を言って困らせるな」と叱られた。
カリナが悲しい顔をするので、「余計なことを聞いちゃったかな」とユウキは少し申し訳なくなった。
「……何だか、ごめんね」
悲しい顔をさせてしまったことを詫びる。
少しだけ、カリナの顔が驚いたようにユウキを向いた。そして、その顔が徐々に俯いて。
カリナの手から、蝋燭の皿が落ちた。
あっ、と声を上げる暇もなく、ユウキがそれを拾い上げるためにしゃがみ込む。
頭上から、空気を切るような音が聞こえ、ワンテンポ遅れて「チッ」と舌打ちが聞こえたところで、ユウキはようやく何が起きたのかを理解した。
「……そうね、命は大切なものよね」
ひどく冷たい声で、カリナが呟く。
「でも、兄様の命はすでに失われてしまった。……とても悲しいことだわ」
手には、いつの間にか鞘から抜き放たれた<黒裂>。空気を切るように聞こえた音は、きっと<黒裂>を振った音だろう。
彼女は、ユウキを殺すつもりなのだ。
何故、などと聞くまでもない。大切な兄を殺した張本人。本人に頼まれたのを聞いたとしても、到底理解できる話ではないだろうし、もし理解したとしても、感情はそれを許さない。
ユウキでも同じことを考える。
もしユウキに兄がいたとして。それが誰かに殺されたとして、状況を聞いてどうにもならない、手の施しようがなかったとして、苦しむ自分の兄が本当に相手に「殺してくれ」と懇願したとして、それを相手から聞かされたとして。
許せるだろうか。
ユウキは、無理だと悟った。自分なら許せない。現代医学ならば万一にも助けることができたかもしれない。間に合わなかったとしても、命を諦めずにいて欲しかったと思うだろう。ここは確かに現代ではないが、それでも命を奪ってくれと懇願されて奪った相手を許せるかと聞かれれば、当然のように答えは否だ。
――もう一度、風を切るような音がした。
咄嗟に左手を振り上げると、その左手に激痛が走る。
暗くてわかりにくいが、<黒裂>が左手のちょうど真ん中に突き刺さったのだろう。
「――死になさい。この<黒裂>は私の名前に書き換える。貴様ごときには渡さない」
その冷たい声に、応えることなどできない。
何故なら、どんな言葉も彼女には、もはや通じることはないだろうから。
ただ、死にたくはない。だから必死に、<黒裂>を押し込もうとするカリナの腕を掴み、痛いのを我慢して、血の滴る左手で<黒裂>を抑えるしかない。
「しぶといわね。……そんなに痛みと苦しみにもがきたいの」
言うなり、彼女は<黒裂>を持った手を回転させた。
自然と傷が抉じ開けられ、ユウキの口から抑えていた悲鳴と呻きが漏れる。
「兄様はそんな無様な声は上げたりしないッ」
カリナの声が憎悪に溢れ、ユウキは腹に蹴りを入れられた。
よほど力を入れたのか、ユウキの体はベッドに叩き付けられるが、<黒裂>が手から抜けない程度の距離だ。左手の痛みは露ほどにも変わりはしない。
「兄様はこの程度で息を乱したりはしない!お前などが兄様の魂を受け継いだなどと認めない、認めない認めない認めない!!」
狂ったように腹に叩き付けられる足を防ごうと右手で防御する。
途端、左手の<黒裂>を押し込もうと、カリナの手に力が入る。
「兄様の名誉を汚す愚か者め!貴様などに<黒裂>を持つ資格などない!!」
カリナは言って、もう一度ユウキに足を叩き付け、<黒裂>を両手で持って全力で押し込もうと体重をかけ――
「ユウキ様ッ!」
瞬間、開いた扉から部屋に飛び込んで来た影が、カリナの体を吹き飛ばした。
その手から<黒裂>が叩き落され、瞬時に蹴り上げられた<黒裂>は、天井へと狙ったように突き刺さった。
「ニーナ、お前ッ」
「カリナ様、おやめ下さい!」
ユウキとカリナとの間に立ち塞がるニーナ。
「邪魔をするな!」
憎悪を露わに立ち上がるカリナを見ながら、ニーナが尻尾で軽くユウキの顔を叩くと、ユウキの手がそっとその尻尾に触れるのを感じ、ニーナはほっと溜息を吐いた。とりあえず正常な思考、そして何より生きている。
「そもそもお前は兄様の奴隷ではなかったの!?」
「<黒裂>とともに、ユウキ様に譲られました。ルイジール様から」
ギリッ、と歯軋りをするカリナ。
理屈ではわかっていた。
カリナが許可を出すまでの間、執事が部屋からいなくなっても、ニーナは立ったまま、この男は座って待機していたそうだ。それは、部屋に戻った執事から告げられた。
カリナは、貴族の奴隷であるニーナよりも平民であるユウキの方が下だったから、ニーナの名を執事が先に告げたのだと思っていた。
だが、違ったのだ。
執事は戻って来た際、ニーナにそれを訂正したのだ。
ユウキ様と、ニーナ様がお待ちです、と。
平民であるユウキの方が、ニーナの立場よりも上である理由。それはニーナの立場の方が、下に下がっているという事実だ。平民よりも下に。
「どかないと言うのね?」
「――はい」
脅すかのように告げてみても、ニーナは視線ひとつ逸らすことなく、真っ直ぐにカリナを見つめたまま応えた。
心を決める。ニーナの方も、もはやカリナの敵に回ったのだと。
「闇よ応えよ、炎よ応えよ」
「ッ、光よ応えよ、水よ応えよ……」
カリナの詠唱に、慌ててニーナも詠唱を開始する。闇には光を、炎には水を。発動する属性を相殺する属性を。
それを見てカリナが動く。ニーナの詠唱を止めるために、素早い動きで拳を叩き込むが、ニーナの腕はそれを見切り、体に触れる前に腕で払い、方向を変える。
「カリナが命じる!」
「ニーナが命じる!」
そうこうするうちに、両者の呪文は完成した。
後はもう、お互いの魔法力の勝負だ。
「我が敵を燃やせ!今!すぐに!」
「魔法に対抗せよ!」
カリナの放った巨大な火の玉が、ニーナの張った水の膜に触れ、じゅうじゅうと音を立てる。
水が蒸発するのが早いか、火が打ち消されるのが早いか。
魔法力が続く限り、お互いの魔法の威力は続くのだ。
「諦めなさいなニーナ。お前じゃ私の魔力量には敵わない」
「――っ」
カリナの言う通りだ。魔力の絶対量が、種族的にも素質的にも、そして鍛錬量的にも。圧倒的にカリナの方が優勢なのだ。
水蒸気が部屋中に充満していく。すでに視界は霧でもかかったかのように悪い。
――だがこれこそがニーナの狙い。今回の勝利条件は魔法勝負ではない。
ニーナは、そこに水の膜を残したまま動き出す。
「――ッ!」
驚いたようなカリナを無視して無言のまま、カリナへの拳の応酬を開始。
このままカリナを制圧し、魔法を強制的に止める。それが狙いだ。
タイムリミットは魔力切れまで。すでに時間は1分とない。
右腕で一度フェイントを入れ、カリナの鳩尾を狙うが、途中で気付かれ叩き落された。
それを死角に左腕で腹に一発。命中はしたがあまり効いていないようだ。
ならばとカリナの右から通り過ぎ様に足をかけ、体全体でカリナを巻き込んでから足払い。素早くバックステップされ、思わずそれを追うが、カリナがニヤリと笑うのを見て思わずバックステップ。何か来るかと思ったが何も来ない。……ハッタリだったか。
視界の悪いままいくらかの応酬が続くが、ニーナに決め手は訪れない。
そろそろ時間がない。こうなれば、ユウキを担いで一度離脱するべきか。
濃くなってきた水蒸気に紛れるように、ユウキの傍らまで移動する。
「そろそろ幕引きと行きましょう。死になさい、ニーナ!」
まずい。カリナの方で勝負を仕掛けて来た。
「――いいえ、カリナ様。それは美しくない」
唐突に、炎の熱気が消えた。
何が起きたのかわからぬまま、それでもユウキを担ごうと奮闘していると、唐突に風が部屋を吹き荒れ、水蒸気をドアの向こうへ押し出して行く。
「大丈夫ですか、おふたりとも」
そこには、カリナを支える執事の姿があった。
執事には、暴漢対策も含め、窓もドアも開けるなと聞いていたのだが、カリナは執事よりも上の立場に当たる人物だ。開けて構わないだろうと判断する。
「……済まないわね。これを返しに来たわ」
カリナは片手に蝋燭の皿を持っており、片手には<黒裂>が握られており、少しだけ、声も肩も、蝋燭の炎も震えている。
「泣いていたの?」
「違、……わないわね。そうよ、兄のために泣いていたの」
一瞬違うと虚勢を張りかけて、ユウキに宿る兄の魂に嘘を吐くことを躊躇い、カリナは本当のことを告白した。
カリナはルイージが大好きだった。もちろん肉親の情としての範囲内ではあったが、皆に大好きなのだと臆面もなく言える程度には大好きだった。
ニーナを引き取った頃から、ルイージは【西方街】のこの屋敷に住んでいたのだが、カリナが来た頃から徐々に町の外に出かけることが多くなり、ついには【北西街】に居を構え、ここには戻って来なくなった。
もちろん伯爵家の第一子としての立場や仕事などがあったからだが、カリナにはそれが不服だった。何故なのかと父親にも聞いてみたが、当たり前のことしか言わず、当たり前に諭され、遂には「我儘を言って困らせるな」と叱られた。
カリナが悲しい顔をするので、「余計なことを聞いちゃったかな」とユウキは少し申し訳なくなった。
「……何だか、ごめんね」
悲しい顔をさせてしまったことを詫びる。
少しだけ、カリナの顔が驚いたようにユウキを向いた。そして、その顔が徐々に俯いて。
カリナの手から、蝋燭の皿が落ちた。
あっ、と声を上げる暇もなく、ユウキがそれを拾い上げるためにしゃがみ込む。
頭上から、空気を切るような音が聞こえ、ワンテンポ遅れて「チッ」と舌打ちが聞こえたところで、ユウキはようやく何が起きたのかを理解した。
「……そうね、命は大切なものよね」
ひどく冷たい声で、カリナが呟く。
「でも、兄様の命はすでに失われてしまった。……とても悲しいことだわ」
手には、いつの間にか鞘から抜き放たれた<黒裂>。空気を切るように聞こえた音は、きっと<黒裂>を振った音だろう。
彼女は、ユウキを殺すつもりなのだ。
何故、などと聞くまでもない。大切な兄を殺した張本人。本人に頼まれたのを聞いたとしても、到底理解できる話ではないだろうし、もし理解したとしても、感情はそれを許さない。
ユウキでも同じことを考える。
もしユウキに兄がいたとして。それが誰かに殺されたとして、状況を聞いてどうにもならない、手の施しようがなかったとして、苦しむ自分の兄が本当に相手に「殺してくれ」と懇願したとして、それを相手から聞かされたとして。
許せるだろうか。
ユウキは、無理だと悟った。自分なら許せない。現代医学ならば万一にも助けることができたかもしれない。間に合わなかったとしても、命を諦めずにいて欲しかったと思うだろう。ここは確かに現代ではないが、それでも命を奪ってくれと懇願されて奪った相手を許せるかと聞かれれば、当然のように答えは否だ。
――もう一度、風を切るような音がした。
咄嗟に左手を振り上げると、その左手に激痛が走る。
暗くてわかりにくいが、<黒裂>が左手のちょうど真ん中に突き刺さったのだろう。
「――死になさい。この<黒裂>は私の名前に書き換える。貴様ごときには渡さない」
その冷たい声に、応えることなどできない。
何故なら、どんな言葉も彼女には、もはや通じることはないだろうから。
ただ、死にたくはない。だから必死に、<黒裂>を押し込もうとするカリナの腕を掴み、痛いのを我慢して、血の滴る左手で<黒裂>を抑えるしかない。
「しぶといわね。……そんなに痛みと苦しみにもがきたいの」
言うなり、彼女は<黒裂>を持った手を回転させた。
自然と傷が抉じ開けられ、ユウキの口から抑えていた悲鳴と呻きが漏れる。
「兄様はそんな無様な声は上げたりしないッ」
カリナの声が憎悪に溢れ、ユウキは腹に蹴りを入れられた。
よほど力を入れたのか、ユウキの体はベッドに叩き付けられるが、<黒裂>が手から抜けない程度の距離だ。左手の痛みは露ほどにも変わりはしない。
「兄様はこの程度で息を乱したりはしない!お前などが兄様の魂を受け継いだなどと認めない、認めない認めない認めない!!」
狂ったように腹に叩き付けられる足を防ごうと右手で防御する。
途端、左手の<黒裂>を押し込もうと、カリナの手に力が入る。
「兄様の名誉を汚す愚か者め!貴様などに<黒裂>を持つ資格などない!!」
カリナは言って、もう一度ユウキに足を叩き付け、<黒裂>を両手で持って全力で押し込もうと体重をかけ――
「ユウキ様ッ!」
瞬間、開いた扉から部屋に飛び込んで来た影が、カリナの体を吹き飛ばした。
その手から<黒裂>が叩き落され、瞬時に蹴り上げられた<黒裂>は、天井へと狙ったように突き刺さった。
「ニーナ、お前ッ」
「カリナ様、おやめ下さい!」
ユウキとカリナとの間に立ち塞がるニーナ。
「邪魔をするな!」
憎悪を露わに立ち上がるカリナを見ながら、ニーナが尻尾で軽くユウキの顔を叩くと、ユウキの手がそっとその尻尾に触れるのを感じ、ニーナはほっと溜息を吐いた。とりあえず正常な思考、そして何より生きている。
「そもそもお前は兄様の奴隷ではなかったの!?」
「<黒裂>とともに、ユウキ様に譲られました。ルイジール様から」
ギリッ、と歯軋りをするカリナ。
理屈ではわかっていた。
カリナが許可を出すまでの間、執事が部屋からいなくなっても、ニーナは立ったまま、この男は座って待機していたそうだ。それは、部屋に戻った執事から告げられた。
カリナは、貴族の奴隷であるニーナよりも平民であるユウキの方が下だったから、ニーナの名を執事が先に告げたのだと思っていた。
だが、違ったのだ。
執事は戻って来た際、ニーナにそれを訂正したのだ。
ユウキ様と、ニーナ様がお待ちです、と。
平民であるユウキの方が、ニーナの立場よりも上である理由。それはニーナの立場の方が、下に下がっているという事実だ。平民よりも下に。
「どかないと言うのね?」
「――はい」
脅すかのように告げてみても、ニーナは視線ひとつ逸らすことなく、真っ直ぐにカリナを見つめたまま応えた。
心を決める。ニーナの方も、もはやカリナの敵に回ったのだと。
「闇よ応えよ、炎よ応えよ」
「ッ、光よ応えよ、水よ応えよ……」
カリナの詠唱に、慌ててニーナも詠唱を開始する。闇には光を、炎には水を。発動する属性を相殺する属性を。
それを見てカリナが動く。ニーナの詠唱を止めるために、素早い動きで拳を叩き込むが、ニーナの腕はそれを見切り、体に触れる前に腕で払い、方向を変える。
「カリナが命じる!」
「ニーナが命じる!」
そうこうするうちに、両者の呪文は完成した。
後はもう、お互いの魔法力の勝負だ。
「我が敵を燃やせ!今!すぐに!」
「魔法に対抗せよ!」
カリナの放った巨大な火の玉が、ニーナの張った水の膜に触れ、じゅうじゅうと音を立てる。
水が蒸発するのが早いか、火が打ち消されるのが早いか。
魔法力が続く限り、お互いの魔法の威力は続くのだ。
「諦めなさいなニーナ。お前じゃ私の魔力量には敵わない」
「――っ」
カリナの言う通りだ。魔力の絶対量が、種族的にも素質的にも、そして鍛錬量的にも。圧倒的にカリナの方が優勢なのだ。
水蒸気が部屋中に充満していく。すでに視界は霧でもかかったかのように悪い。
――だがこれこそがニーナの狙い。今回の勝利条件は魔法勝負ではない。
ニーナは、そこに水の膜を残したまま動き出す。
「――ッ!」
驚いたようなカリナを無視して無言のまま、カリナへの拳の応酬を開始。
このままカリナを制圧し、魔法を強制的に止める。それが狙いだ。
タイムリミットは魔力切れまで。すでに時間は1分とない。
右腕で一度フェイントを入れ、カリナの鳩尾を狙うが、途中で気付かれ叩き落された。
それを死角に左腕で腹に一発。命中はしたがあまり効いていないようだ。
ならばとカリナの右から通り過ぎ様に足をかけ、体全体でカリナを巻き込んでから足払い。素早くバックステップされ、思わずそれを追うが、カリナがニヤリと笑うのを見て思わずバックステップ。何か来るかと思ったが何も来ない。……ハッタリだったか。
視界の悪いままいくらかの応酬が続くが、ニーナに決め手は訪れない。
そろそろ時間がない。こうなれば、ユウキを担いで一度離脱するべきか。
濃くなってきた水蒸気に紛れるように、ユウキの傍らまで移動する。
「そろそろ幕引きと行きましょう。死になさい、ニーナ!」
まずい。カリナの方で勝負を仕掛けて来た。
「――いいえ、カリナ様。それは美しくない」
唐突に、炎の熱気が消えた。
何が起きたのかわからぬまま、それでもユウキを担ごうと奮闘していると、唐突に風が部屋を吹き荒れ、水蒸気をドアの向こうへ押し出して行く。
「大丈夫ですか、おふたりとも」
そこには、カリナを支える執事の姿があった。
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