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昔昔の☆そんなお話(中編)
しおりを挟む『体温も平熱、今日も健康そうだなファイブ、シックス、セブン』
龍児は子供達の体調を専用のバインダーに記録していた。
アメリカに来て2週間、だいぶこの生活にも慣れた。はじめは分からないことばかりだったし、もはや科学というか異世界、魔法の国にでもとばされたかのような日で、3日はろくに眠ることが出来なかった。
でも2週間も一緒に過ごせば全体の大体の性格を把握することができた。
まずこのファイブ、シックス、セブンの3人は同じ時期に生まれたということと同い年とあってかよく3人で遊んでることが多い。
それにレイザの数々の試作を重ね最終形態後半の3人は感性等も人間そのままでシックスとセブンにいたっては外見、内臓配列や数々の細胞すべて人間のままであったため、セブンが時折キメラ細胞を使わない限りは本当にただの人間の子供、シックスにいたってはキメラ細胞を自分の意思で発動し使うことが出来ないため本当にただの子供であった。
そしてスリーとフォー
この双子の研究体は年の離れた兄達は尊敬しているようだ、何せファーストもセカンドも身体的能力テストで最も秀でる結果を残している。
力が強い=かっこいい
もっとも子供の男児が思うことだ。
それに比べ弟達にはよくちょっかいを出すことが多い。セブンは完全に嫉妬ではあるのだが、ファイブやシックスの優しい面がこの子たちには
ただ用心深く神経質な部分やイタズラ好きなのは混ざってるキツネの習性そのもの、群れることを嫌い、双子2人で殆どを過ごしているところからもキツネ特有だ。
最初体温を計るだけでもこの双子には苦労させられたけど。
ようやく、大人しくいうことをきかせる方法を龍児は見つけた。
『さあスリー、フォー、体温を計るぞ!』
龍児はスリーとフォーのいる部屋に入る。
『やだね!体温なんて計らない!』
『スリーが計らないなら僕も計らない!』
そのスリーとフォーの言葉に龍児の目が『来たな』といわんばかりにキラリと光った。
『そうだよねー!体温計りたくないよねー!だってこんな尖って怖いもんねー!怖くて計りたくないよねー!仕方ないよねー!』
するとムッと双子は龍児を見る。
『寄越せ!怖くない!』
『そうだ怖くない!』
スリーが言えばフォーも続き体温計を自分からくわえた。
『よし、2人とも平熱だな!』
体温を計ると専用のバインダーに龍児は記録する。するとそこで双子はのせられたことに気付き龍児のスネや肩に噛みつくのであった。
『痛い痛い痛いってば!!』
『すっかりスリーもフォーも龍児になついたね』
そんな龍児の姿にレイザは微笑ましそうに見ていた。
『これってなつかれてるんすか?!』
『スリーとフォーの本来の顎の力だったら今頃龍児君の肉は食いちぎられているよ。甘噛みは単にこの子達の不器用な愛情表現さ』
ピョンとスリーとフォーが龍児から離れると2人並んで見上げ生意気そう口を開いた。
『おいリュージ!!遊べ!!』
『そうだ遊べ!!』
『遊ぶって……おじさんお仕事が……』
『鬼ごっこ!!リュージが鬼!!使えてみろ!!』
スリーとフォーはタンと駆け出しすばしっこく姿をけした。
『困ったな…スリーとフォーはこれから身体能力テストがあるのに、確かその担当龍児君だったよね?』
レイザは横目で龍児を見る
『だーー!もうっ!こらーーー!待てーーー!』
龍児はスリーとフォーを追いかけた。
違う部屋に行けばファーストは水槽の中から上半身だけだして縁に頬杖をついて口に体温計を咥え、ピピっと音がして計り終えると昌之が体温計を抜いて龍児同様に専用のバインダーに記録していく。
ただ口に咥えていた体温計を抜いただけなのに、もとから艶のあるファーストまだこの当時は今とちがって色気は足りないとはいえ、この頃から色めかしい要素があったせいでたったその行為もどこか艶かしい。
『昌之、毎日毎日研究とかテストと、そんなんばかりでアタシつまらないわ。』
ファーストはザバンと水飛沫をあげて水槽から揚がり壁にかけてあったタオルで頭や濡れている体を拭きながらそういった。
『お前が監査に認められるように研究しているんだ。少し辛抱しろ、認められれば、お前はすぐにでも外の世界で活躍できるようになるんだ。』
昌之は訝しい渋い顔でバインダーを見つめながらいうと、すりっとファーストが昌之の腰に抱きつく。
『やめろ、濡れるだろう。』
『アタシ、昌之と離れて過ごすなら、外の世界なんか行かなくていいよ。認められなくてもいいよ。どうせ人間になりそこねた失敗作さ、前の研究者たちは皆アタシの姿を見て気味悪がったよ。そんな人間のたくさんいるところにいたって、死にたくなるだけさ。』
『なんど言ったら分かるんだ。お前が1人でも幸せに暮らせるように、鑑査にその秀でた能力さえ認められれば、お前は生涯不自由なく暮らせるんだ。俺が必ずお前を認めさせてやる。決してお前は失敗作なんかじゃないんだ!』
ファーストは抱きついたまま昌之の言葉を黙って聞いていた。
『さあ、テストの続きだファースト。』
昌之は抱きつくファーストから離れた、寂しげな表情を浮かべるファースト、しぶしぶ顔を下げてついて行くと
スっと頭に何かが触れてファーストが顔をあげる、それは昌之の手、昌之はすぐに手を引っ込めてしまった。一体何をされたのだろうとファーストは頭を触り、ふと濡れてる床の鏡のようになっている水溜まりに写った自分の姿を見ると
一本キラキラ光る簪(かんざし)が頭につけてあった。
『昌之、これって?』
『安物だ、偶然日本の小物を売ってる所を見つけてな。お前がグダグダ言うときに黙らせるには都合がいいと思って買ってきた。光るもの、好きだろう』
ファーストはそんな昌之の背中を見て頬が緩み笑う。
『なんだい……それって……ずいぶんムード無いプレゼントの渡し方だね』
しかし表情はとても嬉しそうにファーストは笑っていたのだった。
そして別の部屋に行くと七緒が温室で実験で生まれた草木花に水やりをじょうろでしていた。
『ナナオしゃん、ナナオしゃん、何ちてるの?』
するとそこにパタパタと蝶の羽根を広げてファイブが七緒の元に翔んできた。
『お花さんたちにお水をあげてるんですよ』
七緒はニッコリと笑ってファイブにそういった。
『ナナオしゃん、僕もお花しゃん達にお水あげる!』
『まあ、手伝ってくれるの?』
『うん!』
ファイブは子供用の小さな玩具のじょうろに水を汲むと花にみずやりをはじめた。
するとシックスとセブンもやってきて彼らも花にみずやりの手伝いをはじめた。
『皆手伝ってくれてありがとう、テストの前にご褒美にケーキでも食べて休憩しましょうね』
七緒は微笑んで左手にシックス、右手にセブンの手を繋ぎ、ファイブはパタパタと翔んで休憩室に向かった。
『秀一、コレハ、何処ニ、持ッテ行ケバ良イ?』
秀一とセカンドはまた違う部屋で研究機材を片していた。
『その顕微鏡はね、テーブルの上にある箱にしまって地下3階の部屋に持っていってくれるかい?』
秀一は三脚にのぼり棚の整理をしながらセカンドに話した。セカンドは『承知シタ』と返事をすると言われた通りに顕微鏡を箱にしまって3階まで運ぶため、部屋を出ていった。
2週間ともに過ごし信頼が築かれる彼ら、しかし変わったのは研究体と研究者達だけの関係だけではない。
『秀一君、どうだい?だいぶ片付いたかな?』
レイザがふと部屋に入ってきた。
『グ、グローリー博士!う、うわあああ!!』
突然入ってきたレイザの姿を見て秀一は顔をなぜか赤らめあからさまに動揺し、そのまま三脚ごと倒れる。
レイザが思わず『危ない!』と飛び出し秀一の下敷きなった。
『グローリー博士!ご、ごめんなさい!お、お怪我は?お怪我はありませんか?!』
秀一はあわてて起き上がる。するとガシッとレイザに腕を掴まれ引き寄せられ唇にチュッとキスされてしまった。
ボンっと秀一は赤くなり固まる。
『私の顔を見て動揺するなんて、もしかして昨日の2人で致した夜のことでも思い出したのかい?』
『や、やめてください!今、こんなところで……その、その話をするのは…』
秀一は語尾にしたがいゴニョゴニョと声が小さくなる。
『可愛いね、図星のようだ』
スルッとレイザ腕が秀一の腰にまわり抱き寄せられる。
『博士……今はダメです…皆持ち場で各々真面目に仕事してるのに……』
秀一は真っ赤になってレイザの胸に手をついて押し返す。
『確かに、それもそうだね。じゃあ……』
レイザの綺麗な顔が秀一のすぐ隣に来て耳元でそっと『今晩も部屋で待っているね…』と囁かれるのであった。
その関係を龍児と七緒が勘づいたのはそのレイザと秀一の皆が知らない間のやり取りがあった出来事の日の夜、研究体の子供達を寝付かせて龍児と七緒は呑みにでも行こうかと昌之や秀一を誘おうと廊下に出たときだ。
秀一が1人、レイザの部屋に向かって行くのが見え、ノックをするとレイザが出てきてそのまま秀一はレイザに招かれるまま中に入っていったのを見てから七緒と龍児はレイザと秀一の親密な関係に気付きはじめるのだった。
かといって、それをとやかく言うつもりもないし、昌之もしばらくすると気づいてるようではあったが彼もまた何を言うつもりもなく、とくに何もなくてその後も日常を過ごしていった。
そしてついに、国の鑑査達がこの研究所に訪れる時がきた。
レイザが鑑査達を案内し、基本龍児達は通常通り実験、研究をいつもどおりにその日の持ち場で行うだけだ。
今日は龍児と七緒が実験室で新しい生物の遺伝子交配の研究をしていた。
マスクと医療用の手袋とキャップをかぶり、淡々と進めているとガラスでしきられた壁の向こう側にレイザとカジュアルスーツを着てサングラスをかけたエージェントのような男達が数人、あれが国の鑑査達。
まるでスパイ映画に出てくるような人達だな……と内心龍児は横目に思いながら実験を進めていった。
ガラス越しから微かにレイザと鑑査達の話す声がした。
『Mr.グローリー、やはり君は天才だ!!我々の想像をはるかに越えた結果だよ!』
『とんでもないお言葉です、まだ奥の研究室に見せたいものがありますので……』
レイザは昌之とファーストのいる研究室に向かった。
『鑑査さん達の印象は良好のようですね、あの様子を見ますと』
レイザと鑑査達が置くに進んでいくのを見送ると七緒が龍児の持ってる試験管にスポイトで薬品をいれながらそう言った。
『そうだろうな、だって細胞共生進化をここまで進ませて具現化したなんて、とんでもない発見だよ。大富豪が巨万の富をはたいて手にいれたいと思う成果さ。』
龍児はその液体が混ざった試験管を片手で揺らし回しながらそう返した。
『生まれたあの子達が今後認められて、ちゃんとお務めを果たせて幸せになってくれるといいんですけどね……』
『透?』
龍児は試験管を混ぜるのを止めてそんなことを口走った七緒見た。
『龍児さん、私、最初は人類が今後の未来のためにという気持ちで研究していたんです。でも研究で生まれた皆と接するうちに人類とかではなく生まれてきたあの子達自身にも幸せになってほしいって思ったの。』
龍児は試験管にゴムをして遠心機にいれると『俺も同じことを考えていたうよ、透』とそう返した。
『願おう透、生まれた子供達が幸せになることを』
そして鑑査達はすべての研究室を訪問しすべての研究成果見終えレイザの書斎に集まる。
サングラスのカジュアルスーツのスキンヘッドの大男が口を開いた。
『Mr.グローリー、君の研究は我々が想像を越える結果を残してくれた。水中深く新海まで自在に泳ぐことのできる人語を話す生物や嗅覚が鋭い人語を話す生物は今後水中探査や捜索等で様々な場面で活躍するだろう。他の研究成果の子供たちも我々が言葉を失うほどの驚きだった。』
『お褒め頂きありがとうございます。今後もっと研究を進めて行けば人類はいずれ災害や事故に怯える日々が来なくなります。私はそんな日が1日でも早く訪れるように益々精進しようと思います。』
レイザがそう鑑査達に返すともう1人もサングラスのスーツの七三分けの男が口を開いた。
『想像を越えた研究成果だ、直ちにシックスとセブンは国の別の研究機関に移送し生物兵器としての訓練を進め、他の人外の生物達は今いる人類に危険を及ぼす失敗作、直ちに破棄し研究をやめよ。これは我々鑑査全員で下した結論だ。』
レイザは初め一体何を言ってるのかすぐに理解ができなかった。
『今、何ておっしゃいましたか?』
レイザの声が震えた。
『シックスとセブンは今後我が国の隠密行動部隊の即戦力とするため、軍事下におき、研究を進める。もちろんMr.グローリーや他の優れた研究者たちもついてきて今後は軍の協力のもとシックスとセブンの研究を続けてくれ。そして他の人外の生物達は人類に脅威をもたらす存在になりかねない。直ちにその研究体は破棄し生命活動を止め即刻研究をやめるんだ。』
『ふざけるな!シックスとセブンは国のスパイにさせられるあげく他の生まれた皆は殺せということか!!話が違う!』
普段温厚で穏やかなレイザが身を乗り出して声を荒げた。
『失敗作の殺処分は当たり前だ、用があるのは成功作のみ、失敗作にかける費用などない。』
『なんの罪も無く生まれてきたあの子達を、殺せというのか?!』
『Mr.グローリー、そもそもの研究目的は人類がよりよく過ごせる為の研究を進めることであって決して新たな命を生み出すことではないのだよ。成功したセブンは今すぐにでも訓練を始め、スパイとして育成し、秘めたる力のシックスは覚醒させたのちに訓練を始める。』
『失敗作などいない!!どの子も優れ、心の優しい子供たちだ!確かに外見には人間と違う特徴が現れてしまったかもしれない、でも心は人間そのものだ!それに、スパイ行為を強いることが人間のためになるのか?私はそんなことをしたいために研究していたんじゃない!!』
『心とか精神論は必要ないのだよ。Mr.グローリー、これは国からの命令だ。3日後この地下にあるラボを強制的に埋め立てるそれまでに研究員達と成功作が出る準備と各失敗作の殺処分をしておくように、特にあのフォーという生物は最初に処分する事、何せ私の肩に噛みついたからな。防弾チョッキを着ていたから無傷ではあったがあの牙は危険だ。即刻破棄しろ、明日また別の鑑査を送る。もし破棄されていないようならMr.グローリー、君自身の命が危ないと思え。』
そう言い残すと鑑査達はズラズラと部屋を出ていこうとする。
『そんな……脅しじゃないか、横暴だ!待ってくれ、話は終わっていない!』
レイザが出ていこうとする鑑査達をひき止めようとするが鑑査に押し返されてしまいドンと壁に叩きつけられズルッと壁づたいに倒れた。
鑑査達はバンとドアを開けて廊下に出ると偶然レイザに用事があって部屋の前まで来ていた秀一と鉢合わせする。
思わず鑑査に秀一はぶつかりそうになり鑑査に『あ、すいません』と軽く謝るが鑑査達は無愛想になにもいわず去っていく。何だよ、感じ悪いな……と空いた部屋のなかを見ると倒れているレイザを見て秀一はハッして慌ててレイザに駆け寄った。
『グローリー博士!グローリー博士大丈夫ですか?なにがあったんです?!』
秀一はグッタリとするレイザの肩を揺さぶった。レイザはユラリと顔をあげた。
『秀一君……私はどうすればいい?実は………』
その事実を最初に知ったのは秀一だった。
『お、2人とも1センチピッタリ身長伸びたな!』
龍児はスリーとフォーの身長を測定していた。2人とも胸を張ってエヘンと龍児にする。
『体重も全く同じだし、どんどんお兄さんになっていくなー次ぎはファイブ、計るぞ』
『はーい!』
龍児はバインダーに書きながら微笑ましく2人を見て、次はファイブの身体測定をしようとしたときだ。後ろでシャッと自動ドアが開くのを感じ龍児は振り向くと今日持ち場が一緒の秀一がそこに立っていた。
『秀一、ファーストからフォーまでの身体測定は終わったぜ。あとはファイブからだ。』
龍児は秀一にそういった時だ。
『龍児、終わってるならでいいんだけど……フォーをこっちに寄越してくれないか?』
『え?まあ、終わってるけどもれなくスリーもついてくるぞ絶対離れないと思うし』
龍児は手をガッシリ握っているスリーとフォーを指差して話した。
『はは……そうだね。ファイブ、スリーとフォーを寝かせる鱗粉を撒いてくれないか?』
ファイブが『え?』という顔をして恐る恐るスリーとフォーを見た。龍児が『秀一?』と聞いた。
『個別の研究が必要なんだ……さっき鑑査が来ただろう?まずフォーを連れていくと、大丈夫、すぐに帰ってこれるから少しの間おとなしくしてて欲しいだけなんだよ……』
秀一がフォーにそっと手を伸ばしたときだ。ガブッと秀一の手をフォーは噛みついた、しかもいつものジャレた甘噛みじゃない、本当の牙をむき出しにした噛みつきだ。秀一は思わず手を引っ込めると血が一筋、細く流れた。
『おい!フォー!』
龍児はフォーを叱りつけた今まで噛んで研究員達にじゃれついていたことがあった。しかし怪我をさせるようなことは決してしなかったのに、龍児がフォーを見るとゾクッとするような、獣が警戒して毛を逆立てるようにフーフーと秀一を威嚇している。スリーも一緒だ。
『おい、お前達、どうしたんだ急に?!』
龍児が慌てて2人をいさめようとすると秀一が血を袖で拭い今まで聞いたことのない低い声で口を開いた。
『ファイブ、早くスリーとフォーを寝かせてくれ』
ファイブはオドオドとスリー、フォー、そして秀一を見る。
『ファイブ、早くしなさい、スリーとフォーを寝かせるんだ』
『あ、あの……僕……』
『早く寝かせろって!!』
『ひ……!』
ファイブは秀一の剣幕に圧されて蝶の羽根を広げキラキラとした甘い香りのする鱗粉をまくとその頃まだ耐性がなかったスリーとフォーはあっという間にパタンと眠ってしまい、一緒にいた龍児も巻き添えに鱗粉を吸い込むところだったが龍児は咳き込み口をハンカチでおさえ難を逃れた。
そしてファイブは秀一の剣幕が怖かったのかボロっと大粒の涙を溢しえーんえーんと声をだして泣き出した。
秀一は深く眠ったフォーだけ抱き抱える。
『秀一どうしたんだよ、いくらなんでも可哀想だろ?!』
龍児がそういうと秀一は『時間がないんだよ』と言ってフォーを連れて研究室を出ていってしまった。
そしてフォーは戻って来なかった。
『うわあああああん!!フォーが、フォーがいないよ!!』
次の日の朝、スリーは目が覚めるなり大声をあげて泣き出した。それは部屋の違うすぐに彼らに何かあった時のために駆けつけられる隣接した研究者達の部屋に聞こえるほどの、スリーは滅多に泣くことがない。
スリーの泣き声を聞き付けた龍児、七緒、昌之は寝起きの着の身着のままでスリーからセブンのいるカプセルのベットのある部屋に入ると
スリーの泣き声で起きた別室にいたはずのファーストが泣きじゃくるスリーを抱き抱え背中をポンポンと撫でてあやして、同じく別室にいたも聞き付けてセカンドも心配そうにファーストに抱かれるスリーを覗いていた。
他の子供達は泣き声で起きて各々ベットの上でスリーを不思議そうだったり心配そうに見ていた。
スリーはずっと『フォーがいない!フォーがいない!フォーがいないよ!』と泣き叫ぶ顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃに汚れている。
『よしよし、三男坊いいこいいこ、大丈夫よ、フォーは研究で一旦お引っ越ししただけらしいじゃないか、すぐに戻ってくるって話さ。』
ファーストは泣きじゃくるスリーを優しく抱き締めてまるで母親のようにあやす。するとシュッとスリーの背中から植物のツタがのびてバシンとベットに座っていたファイブを凪ぎ払った。
『キャア!!』
ファイブはベットに倒れ声をあげた。
いつもはペシッという可愛らしいものなのだが今日は違った。鞭のように激しく、ツタがファイブを凪ぎ払いファイブの白い頬はみるみる赤くなりファイブもウルッとしたと思えば一気にワンワン泣き出した。
あわててセカンドがファイブにかけよりファイブを抱き上げ、再びファイブ目掛けてとんできたスリーの鞭のような体から生成されたツタをセカンドは片手でクモの巣をブワッと一瞬で生成しまるで分厚いクモの巣のバリアにしてそれを食い止めワンワン泣いてるファイブを抱き抱えた。
『ファイブ!ファイブのせいだ!昨日シューイチ様子変だったのに無理やり寝かせやがって!!フォーに何かあったらお前本当に許さないからな!!』
スリーはビエビエ泣きながら叫んだ。ファーストが『分かった分かった、喧嘩はおよし』とスリーを宥める
『次男坊、こりゃおいそれすぐに落ち着くもんじゃないさ、あんたの部屋に三男坊一旦連れていくから他の弟たちを頼むよ』
『承知シタ』
ファーストは泣きじゃくるスリーを抱えてベットのある普通の男子の部屋のようなセカンドの部屋に連れて行くのだった。
『ファイブ、顔を見せてちょうだい』
セカンドに抱き抱えられてるワンワン泣いてファイブに七緒が向かってソッとファイブの叩かれ赤く腫れた頬の様子を見る
『冷やしましょうね。』
セカンドからファイブを受け取り七緒はファイブの腫れた頬を冷やすために自室に連れていくのだった。
『龍児、スリーの言ってた秀一の様子がおかしかったとは?』
昨日秀一と同じ持ち場であった龍児に昌之は問いかけた。
『いや、特に……』
ー早く寝かせろって!ー
『うーん……あれはおかしかったのか?』
龍児は昨日の秀一の様子を思い返していたが人間イライラすることだってあるし、変だったといえば変だったかも…?
『キツネ、哺乳綱ネコ目(食肉目)イヌ科イヌ亜科の一部。用心深ク警戒心ノ強イ生物。些細ナ異変ヲ察知シ即座ニ警戒スル。』
セカンドが静かに口を開いた。
『何ガ可笑シイノカ理解不可、シカシ、スリーガ異変ヲ察知シタトイウナラソレハ事実』
龍児と昌之は顔を見合わせた。
実の事をいうと彼らもフォーを連れていくにあたり大した説明を受けていないのだ。聞いているのは『一旦特別な研究のために別の機関に一時移される』しかしそれがなんの研究なのかどこに移送されたのかも具体的な説明はまだ聞いてなかった。
でもあの真面目で熱心な秀一のことだったし皆からの信頼もあつく『そっか、了解』という軽い気持ちでしかなかったけど。
『何があったんだい?』
騒ぎを聞き付けたレイザがあとから少し遅れて昌之と龍児の元にやってきた。彼もまた寝起きのまま来たようだ。
『いや、ほら、昨日一時的移送されたフォーのことでスリーがフォーがいないってギャンギャン泣いちまいまして…』
龍児がそう説明するとレイザはハッとした表情を一瞬見せるもすぐに元に戻る。
『……スリーは今どこに?』
『セカンドの部屋で、ファーストが一緒に付き添っております。』
『そうか、ありがとう。』
レイザはそういうとセカンドの部屋に向かっていった。
『お前たちは大丈夫か?』
龍児は残されたシックスとセブンを見て回ると2人は『うん』と頷く。
『セカンド、スリーの攻撃を止めてくれてありがとうな』
そして立っているセカンドにそう言えばセカンドは表情はあいかわらず無のまま尖ったエルフのような耳をピクピク動かした。
彼らはそのまま起きることにし、一旦着替えをしようと龍児は七緒とファイブのいる自室に戻ろうと廊下を引き返し自室のドアノブに手をかけたときだ。
ふと、隣の部屋の秀一の様子が気になった。龍児の部屋にも聞こえるほどのスリーの泣き声、秀一にまで届かない訳がない。龍児は一旦自室のドアノブから手を引き、秀一の部屋のドアをノックした。
『おーい、秀一、起きてるか?』
返事は無かった。
龍児はもう一度ノックし秀一に声をかける、やはり返事はない。思わず龍児は秀一の部屋のドアノブ手をかける、するとガチャっと音がなり開いた。
龍児はソッと秀一の部屋をのぞきみる、すると部屋の中は真っ暗で電気は付けてなく、そんな部屋の片隅で布団を深く頭から被りベットの上でガクガク震える秀一が居て龍児は『秀一!』といって慌てて駆け寄った。
『秀一!秀一!どうした?具合でも悪いのか?』
龍児は秀一の布団を剥ぎ取ればガタガタ震え、真っ青な顔で目尻に涙を浮かべている秀一がいた。龍児は秀一の肩を抱く。
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ぼ、ぼ、僕は、僕は、取り返しのつかない事を、取り返しのつかない事を……』
秀一は真っ青な顔で歯をガチガチさせながらいった。目は血走り、クマは益々目の下にいつにもまして色濃く出ており一晩中寝ていていなかったようだ。
『何があったんだ秀一!落ち着け!』
龍児は必死に秀一に訴える。秀一は龍児にしがみつき歯をガチガチさせながら言葉をつむいだ。
『龍児、龍児……!僕は、僕はとんでもない事をしてしまった……!フォーを、フォーを……子供を、子供を、子供を殺してしまった!!!!』
秀一は泣き崩れた。龍児は思わず聞き間違いかと思っていたがどうもこの様子ただならない、龍児は動揺した気持ちを抑えあえて冷静を取り繕った。
『……秀一、ゆっくりでいい、詳しく聞かしてくれ』
そこで龍児は秀一から昨日の一連の鑑査の話を聞くのだった。
シックスとセブンは国のスパイ行為に利用されてしまうこと、他の人外の生まれた生物は殺処分しなければならないこと、まず鑑査にジャレて噛みついたフォーを今日まで破棄しなければレイザの身が危ないこと
レイザを守るために秀一はフォーを手にかけてしまったこと。
『それで……フォーは?』
『フォーは寝かせたあとに外に連れて………毒の入った注射をして………そのまま森のおくに置いてきた………グローリー博士は皆の代わりに国に逆らうつもりだった……でも、でも、グローリー博士の命がかかってると知ったら僕は……でも、なんて恐ろしい事をしてしまったんだ!僕は……僕は!』
秀一は自分の犯した過ちを悔いて押し潰されそうになり頭を抱えて震えた。
『でも、やらなきゃ、今日また来る鑑査が来るまでに実行しなきゃグローリー博士が……でも、また今日誰かをって命令が下ったら……』
『何ですぐに相談してくれなかったんだよ!』
『言えるわけないだろ!グローリー博士が黙って身代わりになろうとしたんだ、でも、でも、僕はグローリー博士がいなくなってしまう世界なんて考えられない、僕さえ罪を被れば……で、でも、でも、』
秀一は震えた。
『無実の子供を、無実の子供を手にかけた……耐えれない、本当は僕さえ死ねば良かったんだ』
秀一はボロボロと泣き歯をガチガチ震え止まることは知らない
『秀一、今は落ち着くんだ。いいか、絶対にバカな事を考えるなよ』
龍児は一旦秀一から離れて部屋に備え付けてある内線を使い昌之と七緒を秀一の部屋に呼んだ。
七緒は一旦泣き止み腫れた頬を手当てしたファイブを子供部屋にいるセカンドに預けてから秀一の部屋に来る。
秀一の異変に七緒も昌之も部屋に入った一瞬で悟った。しゃべるのもままならないくらいに動揺し取り乱す秀一に変わり龍児が2人に事の経緯を話す。
話し終えると七緒は『そんな……』と絶句し昌之はワナワナと震えバッと秀一の胸ぐらを掴んだ。
『なぜ黙っていたんだ貴様あ!?』
『おい昌之!落ち着けって!』
秀一の胸ぐらを掴み感情的に怒鳴り付ける昌之、今にも殴りかかりそうな勢いで龍児は慌てて割って入り昌之をいさめる。
『これが落ち着いていられるものか龍児!!!人類の未来のための研究は他国との戦争の道具にされ、生まれた無実の子供達を処分しろだ?!それに我々に黙ってこの男は無実の子供を手にかけた、確かに人間ではないかもしれない、端から見れば殺人ではなくあくまで殺処分という部類なのかもしれない、しかしだ!!我々研究員は知っているはずだ!!彼らは心を持った優しき生物だったという事を、俺はいまからグローリー博士に話してくる。そして来た鑑査達に断固意見してやる!ぶん殴っててでも守ってやるんだ!』
昌之は秀一を怒りのままドンと突飛ばしクルッと背を向けて部屋を出ていこうとした。
『昌之待てよ!!気持ちは分かるけど国に逆らえばグローリー博士の命もかかっているんだ!今は冷静になってどうすべきか落ち着いて話し合うのが先決だろ!』
昌之の肩を掴み龍児は引き留めたが昌之は振り払う。
『真壁君、落ち着いて下さい!私もグローリー博士のところに行くことは賛成です。でもそんなに感情的では話し合いできるものもできません!だから、落ち着いて!』
七緒は出入り口をバッと腕を広げて封鎖し昌之を落ち着かせた。細く華奢な七緒はまっすぐ真剣に昌之を見る。
昌之はしばらく立ち止まり七緒と龍児に『声を荒立ててすまない』と謝った。
『まず、皆でグローリー博士のところに行きましょう。そして博士も、残された皆も守る方法を探すんです。』
七緒はそう言うと、龍児と昌之は頷き、一人で歩く事もままならない秀一は龍児が抱えレイザの部屋に向かおうとしたときだ。
『来る必要はないよ、私から来たからね。』
4人はハッとして顔をあげるとレイザがドアのところにやってきてた。
表情は寂しそうなどこか困ったような顔。
『この様子だと、すべてを知ったようだね。まず、私から説明せず申し訳なかったよ。私も動揺してしまってね、気持ちが整理つくまで言えなかったんんだ……しかしすぐに話すべきだった。そして秀一君、私を助けてくれてありがとう』
秀一はレイザに悲しそうに微笑みかけられた『ありがとう』を言われるとブワッと涙が溢れそれは床を濡らすほど大粒の止めどない涙だった。
『3日後ここは強制的に埋め立てられる、その前に皆で抜け出そうと思った。しかし外の防犯カメラを見ればもうすでに国からの命令を受けた軍に囲まれてしまっていたうえに鍵のパスワードを変えられ中から出れなくなってしまって今逃げ出すことは不可能だ。』
『そんな………』
レイザの言葉に七緒は絶望の声をあげた。
『でも、望みはまだある、3日後爆発前にシックスとセブン、そして私たちを移送するために鑑査が再び来る。シェルターはその時開く、その時だ手荒ではあるが彼らの力を使う。ファースト、セカンド、スリー、ファイブ、セブン、彼らの力は本気を出せば今いる人類をはるかに越える、彼らを先陣に他の研究体で一斉に移送車を襲撃し、逃走を計る。本当は彼らにはこんなことさせたくなかった、そしてこんなことをすれば私たちは国の反逆者と言われるだろう、それでも皆は、私のこの考えた作戦にのってくれるだろうか?』
レイザはそうきくとそこにいた皆は顔を見合せそして満場一致で頷いた。
『皆、ありがとう……』
レイザは皆に頭を下げた。
その作戦を遂行させるため、まず子供たちに説明しに研究員たちは向かった。フォーの事実を聞けばきっとスリーはまたパニックを起こしてしまうかもしれない、作戦の話をしたあとにフォーの事実を話したのはファーストとセカンド年長の2人だけに話した。
いつも無表情なセカンドもエルフの耳を垂れ下げて悲しそうな目をしてファーストはため息をついてガッカリはしていたものの大きく取り乱しはせず
『弟達を守るには私達がしっかりしなきゃね、次男坊』
『無論、承知シテイル』
2人は顔を見合せてそういった。
『ふたりとも……その……』
秀一が小さい声で口を開こうとするがファーストがピシャッと話を遮断するように口を開く。
『今は聞きたく無いよ。あんたが言いたいことはアタシたちが生き残ってから聞いてやる。だからアタシ達の残った弟達を守るにために全力尽くしな。』
秀一は何もかも言えなくなった。
『スリーニハ、アマリ顔ヲ見セルナ、スグニ異変ヲ見抜カレル』
セカンドは秀一にそう言った。
『気を使わせてすまないね』
小さい声で秀一はセカンドに返事をすると思わずまた涙が溢れてくる。フラッとする秀一を龍児が支えると後ろのドアがギイと開く音が聞こえた
『ふぁあしゅと兄しゃま、しぇかんど兄しゃま……』
すると子供部屋からファイブ覗きこむようにドアを開けてそっと入ってきた。
スリーに叩かれた頬にはガーゼがあてられてテーピングが施されとても痛々しい姿だった、七緒から秀一は事前にファイブの怪我の原因は聞いていた。それを見た瞬間心が痛んだ。
『なんだい、作戦聞いて怖くなっちまったのかい?ムリもないね……ほら、おいで』
ファーストが屈んで腕を広げるとトテトテとファイブは走っていきファーストに抱きつく、そしてファーストはファイブを抱き上げた。
秀一の目線にファイブがくると、ファイブはクリクリとした目で秀一を見る。
『シューイチしゃん……泣いてりゅの?』
『え?』
『ヨチヨチ、僕、がんばりゅから泣かないで』
ファイブは小さな手を伸ばして秀一の頭を撫でた。秀一はその優しさに思わず涙が溢れた。
『ごめんな、ごめんなファイブ……』
かえって、胸が張り裂けそうになった。
『秀一、もういい。今は作戦のことだけ考えよう』
龍児は秀一の震える体を支え続けた。
『ああ、ああ、』
『今日は休みましょう、秀一君、眠ってないでしょ?作戦を成功させるのにはしっかりと休息が必要だから。』
そっと七緒がそういって秀一に優しくそう言うと龍児と七緒の付き添いで秀一を部屋で休ませるために連れていった。
『ファイブ、怪我は大丈夫かい?』
ファーストに抱かれてるファイブの頭をレイザが優しく撫でた。ファイブは『うん』と頷く。
『ファイブ、あとで君の鱗粉を採取させてもらってもいいかい?』
レイザはファーストに抱き抱えられているファイブに頭を撫でながら聞いた。ファイブは『はい』とニッコリ笑い返事をする。
『昌之くんも手伝ってもらっていいかい?ファイブの鱗粉を採取して即席の手榴弾を作るんだ。ファイブの力で鑑査達を眠らせたとしても一体何人の鑑査が来るか想定できない。ファイブだってそのとき鱗粉を生成するのにこんなに小さい体では限界がある。だから事前にストックしてそれぞれに護身用として持っておくんだ。』
レイザは説明した。昌之はもちろんと即答するとファーストからファイブを受け取り、レイザと共にべつの研究室に向かうのであった。
レイザと昌之が研究着に着替え、マスクをしてファイブが伸ばしてくれた蝶の羽根から鱗粉を採取しているとガタンと音がしてドアを見れば、研究着に着替えた秀一がマスクをつけて立っていた。
『秀一、お前休んだ方が』
昌之が一旦採取する手を止めて秀一を見た。
『30分寝させてもらったよ。もう、大丈夫だから僕にも手伝わせてくれ』
秀一はツカツカと研究台の上に利口にちょこんと座るファイブのところにくればファイブの頭を撫でて棒のついたキャンディーを渡す。ファイブは『くれるの?わーーい!』といって無邪気な笑顔を見せて秀一から受け取りペロペロと舐めはじめる。秀一はその様子を見て微笑むとすぐに作業に取りかかる。
『僕は、と取り返しのつかない過ちを置かしてしまった。でも彼らは法的には人間でもなく、動物でもない存在。国からは命令どおり廃棄を遂行した人間として僕が罰せられることは無いだろう。でも、生まれてきた無実な子供を手にかけた押し潰されそうな罪悪感は僕から一生消えることないだろう。でも、もう泣いてばかりじゃ、残された子供達を守ることが出来ない。今のの僕が出来ることはここで生まれた皆を全力で守り最善を尽くすこと。だから昌之、僕にもこの作業、手伝わせて欲しいんだ。』
秀一のその言葉に昌之は反論せず、『体調管理はしっかりしろよな』と言葉を残し2人は作業にかかった。残った七緒と龍児は温室の生物たちに話をして来るべき明日に迎え各々急ピッチで作業に取りかかった。
そしてそのときはやって来た。朝から鑑査達がぞろぞろと中に入ってくる。荷物をまとめ大人しく下ったように見せかけた研究者達は鑑査に破棄された生物たちの確認を求められた。
彼らは静かに応じて研究室に鑑査を通す、そこには研究台に横たわるスリー、ファイブ、シックス、セブン、そして溶液の入った水槽2つに入れられ眠っているようなファーストとセカンドの姿があった。
『生命反応を確認する。』
1人の鑑査がまず水槽に近づいた時だ。
カッとファーストの目が開きガシャン!というけたたましい音を立てて水槽をタコの足で割りドシャと外に出れば、瞬く間にファーストのタコの足に鑑査達が絡められボキボキと骨の折れる音が聞こえた。
ファーストに続きセカンドの水槽が割れれば近寄ってきていた鑑査めがけてあっという間にクモの巣を張り巡らせて身動きをとらせなくした。
『アンタたち、走るよ!』
ファーストはバンと温室を解放すると二足歩行犬や猫、植物や虫達がワッと出てくる。
龍児はまだ力を制御できないシックスを背負い、七緒は怖がり泣きそうになるファイブを抱き抱え、オドオドするスリーを昌之が抱えて秀一はセブンを抱き抱えレイザと共に出口に走った。
次々に向かってくる鑑査達をファーストとセカンドが先陣をきり次々倒して出口への道を切り開く。
『銃だ!シックスとセブン以外の人外生物は皆撃ち殺せ!』
とある鑑査の声が響くすると銃口が向けられ一斉に射撃、二足歩行の犬や猫たちは次々倒れていった。
先陣をきっていたセカンドとファーストは危うくクモの巣を幾重にも張ったセカンドのバリアで難を避けたが、助けられなかった動物達を見て『クッ』と顔を歪める。
『ふ、ふえええええん……』
ファイブは七緒の胸で泣き出してしまった。
『ファイブ!今泣くのはおよし!泣く暇があったら、アンタの力を貸しな!アタシ達2人だけじゃ、いくらただの人間だけでも銃じゃ部が悪いのよ!』
ファーストがピシャッと言いはなった。
『ふ、はあいファーシュト兄しゃまああ』
ファイブは泣きながら蝶の羽根を広げ『わーーーーん!』と泣きながら七緒の手を離れ敵陣めがけて突っ込んでいった。
鱗粉が舞い、それを吸い込んだ鑑査たちはバタバタと倒れて深い眠りにつく。
ファイブはヒクヒクと泣いていると『よくやったよ!助けてくれてありがとう!』七緒はファイブに走りよりだきかかえよほど怖かったんだろう、震える小さなファイブの体を抱き締めた。
『出口まであともう少しだ!
龍児がそういえば一同出口に一斉に走るがピタッと秀一が走るのをやめた。
『みんな!ちょっと待ってくれ!』
『止まる暇何てないんだよ秀一、早くいくぞ!』
『そうよ秀一君!』
龍児と七緒はそう言った。
『簡単過ぎないか?こんなに、まるで早く出口に迎えと言わんばかりに、どうして地上の鑑査は応援に来ない?』
『待ち伏せしてるというのか?』
昌之が聞いた。
『わからない、でも、一概に一気に走って向かうのは危険だと思うんだ。』
『でも出口は1つしかないんだ、どうするって、今さら……』
『僕が先に向かう。』
秀一はセブンをおろしてファーストとセカンドの前にスっと出た。
『僕の後ろに皆続くんだ、僕が先にラボの外に出る。それに続くんだ!』
『ま、待つんだ秀一君!万が一君のいうとおりだったら、生身の人間じゃより危険だ!ここはキメラの特殊能力に任せて……』
秀一がそういえばレイザはオロオロと話し出す。しかし秀一は利かなかった。
『優れたキメラいえど、無数の銃弾を回避するのは限界です。人間である僕が行けば、発砲を断念してくれるかもしれない。』
『万が一撃たれてしまっては人間である君の方が確率的に危険だ!もちろん、他の子供達が撃たれても嫌だが、最悪彼らには超再生能力が備わっている、手のほどこしようがあるんだ!』
レイザは前を進もうとする秀一を必死に止めようとする。
『確率の問題じゃないんです、博士。彼らが傷つく姿を、僕は見たくないんです。』
『秀一君!』
『彼らは、貴方の作った立派な人間の子供達です、セブンを頼みました。』
秀一は再度セブンを抱きあげレイザにセブンを引き渡し先にスタスタと出口に歩き出した。
するとレイザがボソッとおもむろに呟いた。
『シックス、起きなさい……』
一同『え?』と聞き返す。レイザは今一度同じことを呟いた。
『シックス、起きなさい、作戦変更だよ。』
『グローリー博士?』
龍児は様子の変わったレイザを呼びかけたときだった。龍児の腕の中で抱き抱えていたシックスがレイザに呼び掛けられるとドサッと気を失ったように腕の中で脱力したのだ。
『シックス?!おいどうした?!』
龍児が声をあげシックスを揺さぶる。その声に秀一は歩みを止めて振り返り一同龍児とシックスのもとを見る。
レイザだけが唯一セブンを抱いたまま俯いていた。
その時だ。
バチバチと大きな稲光のようなものが走り、ついていた蛍光灯がパリンパリンと割れていき非常用の薄暗いライトだけがわずかに残った。
研究所の電気という電気がどんどんシックスに集まっていく、思わず龍児は『うわっ!』と声をあげてシックスを離してしまった。シックスは頭から床に落ちる。
『しまった!』
龍児がシックスに慌てて手を伸ばそうとしたときだ。
シックスは宙でクルンと旋回しっフワリと静かに爪先から着地する。
『シックス!大丈夫……か?』
いつも大人しくて端っこに隠れているようなシックス。でも何かがおかしい、龍児は思わずそのシックスから漂った一瞬の殺気めいたオーラを察してのばした手を思わず引っ込める。
『シックス、作戦変更だよ。君の力で皆を一旦眠らせておくれ』
レイザがシックスにそう指示をするとバチバチとあたりを電気が走り閉じていたシックスの目がゆっくり開いたその瞬間シックスの髪の毛は逆立ち目は獣のように鋭い瞳孔が細くなった獲物を狙う目、さらに尖った牙がますます鋭利になった。
それはそこにいた皆、はじめてみるシックスの姿だった。
『博士!これは…それに作戦の変更ってなんのことですか!』
秀一はレイザに慌てて問いかけた。
そのときだ、レイザに抱かれていたセブンまでガクンと気を失ったように首をうなだれた。
『セブン?!これはいったい……』
『許しておくれ……でも、こうするしか方法がなかったんだ。でも大丈夫、皆、シックスとセブンと1つになって永遠に生き続けることができるよ』
レイザのその言葉に秀一は今一把握出来ず『何を言ってるの……?』おもわずこぼれるように言葉を漏らし敬語も忘れた。
『このまま外に行けば、私が出入口に設置した自動麻酔銃がキメラめがけて発砲されるはずだった。そして動けなくなったキメラを回収したのち、成功作のシックスとセブンに彼らの能力を移植する。』
レイザの言葉に一同愕然とする。
『な、なにをこんな時にそんなたちが悪い冗談を……博士、だって博士、皆家族だって、この元々の計画だって皆を守るために博士が……だって、え?』
秀一はワナワナして震えながらレイザに問いかけた。
『こうでも芝居しておかないと、ここにいる皆納得して成功作をより高めるためとはいえ皆、情けの気持ちがわいてしまった研究体を成功作の糧としておいそれ簡単に差し出さないだろ?私も波風は起こさず穏便に済ませたかったからね。逃走の失敗、鑑査による攻撃による死だとすれば私達の絆にも傷はつかないし、君たちの中で今後も優しいままのレイザ・ロック・グローリーのままでいられただろうからね。もちろん最初鑑査から話があったときは生まれた無実の子供達を手にかけれない、生物兵器のような使われ方など、とは思ったけれど、1日考え、更にあのあと鑑査から電話があってね…………』
ーMr.グローリー、政府は今回の研究成果を非常に高く評価している。危険物質を破棄したのち、今後も研究員たちに毎月10万ドルずつ、さらにMr.グローリー、貴方には10万ドルにくわえ功績と今後の研究の活躍も期待して、100万ドルをさらに上乗せした報酬を与えよう。さらなる研究の飛躍を、期待しているぞ、Mr.グローリーー
『いくら資金を積まれたって、私は彼らに手をくだすことはできなかった。そこで私は考えた、皆が生き延びる方法そしてなにより、君達研究者達にも恩恵を与えられる方法を……セブン、君も起きなさい』
グッタリとしてたセブンはレイザの声を聞けばカッと目を開き、バッと床に着地してシックスの後ろについた。
『シックスとセブン成功作の中にファーストからファイブの能力を取り入れ、共に生きる。皆が生き延びれそして尚且つ私達研究者たちは国からの恩恵も与えられる。シックスの目を見てごらん、すでにフォーはシックスの中で生きているんだ。スリー、君なら分かるだろう?威嚇したときに見せるキツネの瞳孔を。』
七緒の腕に抱かれていたスリーがふとフォーという言葉を聞いてハッと覚醒したシックスの瞳を見た。
そしてスリーは気づく、威嚇し、計画的したときに獣の瞳孔が細くなる目。
キツネの目
スリーはブワッと涙が溢れた途端背中から植物のツタがバッ伸びた。
『ああああああああ!!!』
ガシャンガシャンとスリーの叫び声と共に伸びた植物にツタはあちこちに無造作に暴れまわりそのツタがスリーを抱き締めていた七緒にバシンとあたると七緒はキャア!!と声をあげてスリーを思わず離して床に倒れる。
龍児が慌てて倒れた七緒に駆け寄り倒れる七緒を抱き起こした。龍児は怒鳴った。
『何が、何が共に生きるなんだ!!結局金に目が眩んだだけじゃないか!!アンタは俺たちを騙したんだ!!』
『そうだ!都合よく寝返り、自分は悲劇のヒーローを演じていた最も姑息なやつだ!』
龍児に続いて昌之もレイザに怒鳴りつける。するとレイザはクスッと笑った。
『悲劇のヒーロー?何を言うんだ、昌之君、君も私のこの最終的な計画に助力してくれた1人だろう?ファーストとセカンドのカプセルを満たした溶液、配合は君に任せたよね?君のような有能な研究者が気づかないわけないだろう………オキトニシチン溶液はキメラ細胞の能力を著しく下げることぐらい。……そろそろかな?』
『なに……?』
そのときだ。バタンと後ろで何かが崩れる音がして昌之が振り返るとファーストとセカンドが痙攣し、呼吸を荒くして床に倒れていた。
『苦しい……体が……痺れて……動かない……』
ファーストが苦しそうに声を絞り出していった。昌之はハッとしてファーストとセカンドに駆け寄る。
『おい!おい!しっかりしろ!どういうことだ……』
昌之は困惑した。
『昌之君、君が調合してくれた溶液のおかげでファーストとセカンドの廃棄、無事成功だ。ありがとう。やはり念には念をいれておいてよかったね』
レイザがそう呟く。
『昌之……あ、アンタ……アタシ達を騙していたのかい?』
ファーストが震えながら消え入りそうな声で昌之に語る。
『違う!俺は知らなかった!俺は博士から言われた通りにしただけなんだ!』
『嘘……つき……アタシ……あんたのことが……』
ファーストの目尻には涙が浮かびあがり、しかし最後まで言い切ることなく力尽きてガクンと目を閉じ動かなくなり、セカンドもあとを追うように目を閉じて動かなくなった。
『ファースト……ファースト!うおおおおお!貴様ああああ!』
昌之が感情を露にしレイザに殴りかかった、レイザは静かに『シックス』とシックスの名前を呼んだ。その瞬間、シックスは昌之に向けて手をかざす、すると昌之めがけてバチバチと電気のような閃光が走る。
『うわあああ!!』
昌之にその閃光があたればバチっと感電し、昌之は倒れた。
『電気ナマズって知ってるかい?自分の体に危険が迫った時に体内で電気を生成して体外に放出するんだ。シックスはそんな電気ナマズ遺伝子と共生進化させたキメラでね。体外に電気を放出するだけじゃなく物資に帯びた微量の静電気も操ってものを自在に操ることができるんだ。唯一キメラの中で物理攻撃ではない、遠距離で尚且つ広範囲で攻撃ができる存在。でもそんな彼が毎回この力を使ったら危険だと思ってね。唯一シックスが覚醒する、キメラの能力発動条件をプログラムしたんだ。』
『プログラム……』
龍児が問いかける。
『それはこの私、レイザ・ロック・グローリーの声で起きろと言われるかこの私と5秒以上目をあわせたらこの、最終兵器、さしずめ不吉のシックスは発動する。』
『シックスは自分で能力が発動出来ないんじゃなく、発動を制限されていたの?』
七緒は龍児腕の中でゆっくり起き上がりそういった。
『ああ、何せ凶暴で攻撃的なところがあるし感情で暴れられたら危険だからね、シックスの能力を制御、発動できるのはこの私と、そして私によく似た瞳をもつ、セブン。この2人だけだ。この子が大人になってもし声も私に似るのであれば、いずれセブンの声でもシックスは発動できるかもしれないな。ちなみに、セブン方にも、私の声で発動する能力がある、それはね……』
レイザはスっと横目でセブンを見るとセブンが目を瞑りそらをあおぐように一度上を見る、そしてバサッと羽音がした瞬間セブンの背中から真っ白な鳥の翼が大きく開き、グレーの髪は真っ白になりゆっくりと目を開けると真っ赤な瞳にセブンは変わっていた。
それは幼少にしてあまりにも美しすぎる、それは例えるなら天使、そのものだった。
『これがセブンのキメラ化した姿、最終形態さ。必要に応じて彼らの能力を抑えたり引き出すことができる、この成功作2人は唯一そういう特性を持って生まれてきた子供たちだ。次は……スリー、そしてファイブ君たちを眠らせてあげよう、大丈夫、少し眠るだけさ。目が覚めたらちゃんとシックスとセブンのなかで生きていられるからね』
ファイブがビクッとしてスリーが涙目でギンとレイザを睨む。
『お前許さない!フォーを、フォーを返せよ!返せええええええ!!!』
スリーから伸びたムチのようなツタがレイザめがけてとんでいくするとシックスがレイザの間に瞬時に割り込み、ツタをバシンと掴み大量の電気を放出すればツタを伝ってスリーは感電し『ギャウ!!』と声をあげて倒れる。
スリーも人知を越える速さだったのにも関わらずシックスはそれ越える速さだった。
スリーがピクピクと痙攣する。
『さあ、シックス、スリーを眠らせてあげなさい。』
シックスの電圧があがったのが空気中に目で確認できるほどの電気が無数にバチバチ音をあげる。
『スリー!!』
龍児が声をあげたそのときだ。
ドゴッっと鈍い殴る音が聞こえレイザがドンと壁に叩きつけられる。唇を切ったのかユラッと顔をあげたレイザの口の端から血がつたい、その音に気をとられたシックスは一旦電気を放出するのをやめてレイザを見た。
『秀一君……』
『嘘つき、僕が、僕がどんな思いだったのか……どういう気持ちだったのか分かりますか?博士!』
レイザを殴った人物は、なんと秀一であった。秀一は小刻みに震え涙を溜めてレイザをみる。
『信じてたのに……信じてたのに!!あんまりだ……こんなの……!!』
『秀一君、君は私を一番に理解し信用してくれたね。そして、尊敬し私を愛してくれた。だからフォーのときも、私を守ろうとしてくれたね。』
『うるさいうるさいうるさいうるさい!』
秀一はボロボロ涙を溢しながらレイザの胸ぐらを思い切り掴んだ。
『確かに嘘はついたかもしれないな……でも、秀一君にたいする私の気持ちには今も昔も偽りは無いよ。』
『え………』
『シックス』
秀一がレイザに言われ動揺した瞬間レイザがシックスを呼ぶとシックスはバシュンと秀一目掛けて電気を放出し秀一はバリバリと当たれば、秀一はドサッとレイザの中で気を失ってしまった。
『あと残すのはファイブ、君だけだね』
レイザがゆっくり怯えて固まり泣いて動けなくなってしまったファイブに詰め寄る。
『お願い!!やめて!!』
七緒がバッと立ち上がりファイブを庇うように抱き締めた。
『お願い!!この子は優しい子なの、お願い、この子だけでも博士、お願いです!この子だけでも助けてください!』
七緒はファイブを強く抱き締め、レイザに背を向けるように丸くなりファイブを庇う。
『七緒君避けてほしい。出なければ君に電流を流さなくてはいけないことになる。』
『嫌です!退けません!』
七緒のファイブを抱き締める腕がいっそう強くなる。
『七緒しゃん、七緒しゃん……ありがとう……でも僕、七緒しゃんがビリビリされるの、見たくないの……』
七緒の回りに甘い香りが漂った。
『ファイブ!なんで……』
それはファイブの羽から分泌した鱗粉だった。もろにその鱗粉を吸い込んでしまった七緒はずるっと倒れる。
『七緒しゃん、守ってくれてありがとう、こわいけど、七緒しゃん、このままじゃビリビリさせられちゃうの見たくないの……』
七緒の消えいく意識のなかでファイブが涙を流しながらそう伝えた姿が見えた。
『はかしぇ……はかしぇ……』
ファイブはカタカタ震えながらレイザの元にパタパタととびたった。
『ファイブ!戻ってきなさい!!』
龍児がレイザのもとに投降しようとするファイブを止めようと立ち上がろうとしたがバシュンとシックスの容赦ない電流が放出され体の自由を奪われ龍児も倒れる。
セブンも翼を広げてファサっと飛び立ちファイブの前に来ると腕を広げるファイブは泣きながらセブンの腕のなかにポスッと入るとセブンはフワッとファイブを抱き締めるセブンがなにかファイブの耳元で囁くとファイブはストンとセブンの腕の中でファイブは気を失ったのであった。
『……全キメラ、排除、成功。』
そう呟くとレイザはポケットからスマートフォンをだして電話をかける。
『もしもし、遅くなって申し訳ありません……いえ、その、予想外のアクシデントが……でもご安心ください。結果的に失敗作の排除は終わりました。あとは予定通り、軍の新しい研究室に移送すれば終わりです。あと救急車の手配を、研究員たちが反抗してきまして、命は無事ですが気絶させています。はい、はい、……よろしくお願いいたします』
そういい終えるとスマートフォンを切ってレイザは一仕事逐えたようにため息をつくのであった。
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